无伝配信 感想考察妄想雑記1
大坂夏の陣図屏風と数珠丸恒次
ネタバレばかりなので、追記に手当たり次第思うままに書いていきます。
#刀ステ #无伝 #无伝考察
泛塵があらすじを解説する時、背景に映る絵巻は『大坂夏の陣図屏風』の右隻三扇から右隻六扇の上半分。大坂城の左側はてっきり左隻一扇だと思っていたけれど、配信止めてよく見ると、映像上黒く霞んでいる右隻四扇の部分が拡大されて配置されているように思う。
この『大坂夏の陣図屏風』は通称『黒田屏風』とも呼ばれるそれは、徳川方で参陣した黒田官兵衛が息子であり、当時の黒田家当主、黒田長政が陣後間もなく描かせた物であるから。右隻には主に武将達のぶつかり合いと大坂城が、左隻には侍でない者達が逃げ惑い、奪われ、非道に扱われる姿が、緻密に生々しく描かれている。『戦国のゲルニカ』との異名を持つ由縁である。
当初、数珠丸恒次がこの大坂夏の陣に出陣することになったのは、この戦国のゲルニカが関係していると考えていました。
歴史が改編され、真田十勇士が活躍することで豊臣優勢となり、または豊臣が勝利し、賑わい取り戻した大坂城下町。数珠丸恒次は自分の刀剣男士としての役目を果たすことで、自身の在り方に正しく歩むことで、そこに暮らし、触れあい、同じ釜の飯を食い、笑い合った歴史に名の残らぬ人々を地獄のような現実に突き堕とさなければならなくなる。仏の道を歩むことを望む数珠丸恒次にとって、それは酷く業の深い行いであり、しかし彼らを救わんとすることは自身の存在意義を否定し、自身を闇に堕とすことに他ならない。燃え盛り焼け落ち逃げ惑い死に絶える世界を、ただただ、正しい歴史の守り人として見つめなければならない。それでも彼はその道を選ぶしかない。
そういう、数珠丸の地獄ストーリーを想像してました。
結果として、今回の彼の役目は「天下五剣」という存在であることでした。だからこそ最後の桜の伏線に繋がるのですけれど…。
あえて左隻のゲルニカ部分を載せていないのは、「あくまで今回の物語は戦を行う侍達の物語を描く」という意思表明でもあるのかもしれない。
いやぁ、まさか末満さんより残酷なストーリーを想像していたなんて…ごめんね数珠丸。この世はそこまで地獄じゃなかったよ。
まぁ真田十勇士に秀頼に三日月に高台院に、さらに長谷部に如水に…ってなると、さすがに物語が飽和して入りきらないし。でも、表立って描かれていなくても、彼はきっとそんな名も残らぬ人々の生き様をその開かぬ瞼の奥で見つめて、仏の道を祈り、経を読んだに違いない。
どうか「閉ざされた歴史」の中で懸命に生きた彼らにも、幾ばくかの御仏の救いがあらんことを…