#ねぶらま
書き忘れていたこと。
本作は横溝正史ミステリー&ホラー大賞に送る作品なので、いわゆる「因習村」をやるかどうか考えるところからスタートしました。この概念はもともと金田一耕助が実写化され「この日本にはまだまだ迷信深い田舎がある……」という70年代からある古い概念で、受賞作にもたびたび因習村は登場します(ミスホラなら『ナキメサマ』と『お孵り』)。
都会に対する「村」、田舎、奥地、辺鄙な地。多くの人にとっての日常から離れたコミュニティ、すなわち「ムラ」とは……と考えて、「因習村」ではな「因習山」、すなわち動植物が神を崇め奉り、コミュニティを作っていたら怖いのではないだろうか? というアイデアから、「ねぶらま」が生まれました。
作中でも触れましたが、一般に死の概念がないと言われる動物が死の概念を持ったり、「宗教を持った猿」になるというのは中々不気味なものです。いえ、私たちが知らないだけで、実はそういう概念や行動を持つ動物もいるのかもしれません。しかし下手をすれば、それは妖怪と変わらなくなる……。
と、色々なバランスを考えて、最初に考えた形にまとめられたと思います。