大奥バチボコ概念バトル的なのが好きな人に刺さるシナリオだったオリュンポスのネタバレなんだけどさ、ゼウスvsロムルス・クィリヌス周りのこと話していいか?まずギリシア神話のゼウス=ローマ神話のユピテルかつディアーナです
そも。
ギリシア神話とローマ神話は時代が下るにつれでまぜまぜになってるわけですわ。 正確にはローマ神話はギリシャ神話と神様やエピソードを輸出入している。
たとえばですが、
ゼウス≒ユピテル
みたいに、ギリシャ神話の神様をローマ神話体系の中で違う名前で呼び習わすとかしてるんです。Wikipediaとかローマ神話の神様の名前を見ると、「ギリシャ神話でいうところの〇〇」って書いてあると思います。
さらに、
ユピテル=ディアーナ
みたいに、ギリシア神話とは別解釈が起きたり別の逸話をもってたりする。
ちなみに、ユピテル(天空の神さま)とディアーナ(月の女神さま)は別神のこともあればユピテルの女体化がディアーナであるってときもある(基本は別柱として扱われるかなってかんじ。でも同一とみなす文脈もある)
天空と雷の神さまユピテル(ジュピターって呼ぶとセラムン世代にはわかりやすい)(=ゼウス)と、月の女神さまのディアーナ(ギリシア神話ではアルテミス)。
はい、ディアーナ。
そうです、カリギュラ帝を呪い祝福し狂わせ確率でスキル宝具ともに3ターン封印してくれる破格の女神様ですね。 カリギュラ帝はゼウスに縁遠からぬ男なんですよ。
で、ギリシアのゼウスといえばそれこそ全知全能の神様な訳なんで、ギリシア神話体系の世界観のまま倒せるはずがないんです。
でも、あの場にはローマ神話ではゼウスと同一の存在とされるユピテル、ときにはその化身ともされるディアナの加護を受けたカリギュラ帝がいたんです。いたんですよ! ゼウスを破神する切り札として!!
今回の異聞帯のテーマそのものが『神に愛されること』(海神ポセイドンに愛されてしまったフランシス・ドレイクとカイニス、月の女神の愛が重い超人オリオン、そして全能の神ゼウスの愛の大きさを知っている汎人類史のエウロペ。寵愛と愛玩。)なのは自明なわけで。そこに、オリオンと同じく月の女神ディアーナに愛されたカリギュラ帝がいるわけで。
あの場で、ゼウスへのカウンターとして召喚される、ローマ神話体系の主神ユピテル、軍人マルスとならぶローマ建国神話の主人公でありローマ神話3大神の一角、クィリヌス(≒ロムルス)の触媒になるのはネロでも嫁ネロでもカエサルでもダメだったんです。
天空の神の変わり身である月の女神ディアナに突如として愛された、
ローマ皇帝第3代皇帝である、
他ならぬ!
カリギュラ帝でなくてはいけなかった!
えもい。わかる。ありがとう。
で、ゼウスがローマ神話体系に組み込まれてユピテルになるとどうなるかというと、ゼウスほどに絶対神じゃなくなるんですよね。
FGOでも「アレスの末裔!」とか「アレスの血よ!」とか言う人々が多いところからもお察しのとおり、軍神アレス(ゴールデン!)はめたゃくたゃ人気の神様であったと認識しています。ローマ神話だとマルス。セーラームーンで言うとマーズ。(ギリシャ神話界最大の噛ませ犬でも歩けどそれはまた別の話)
そもそもユピテルはローマ神話の主神ではありつつも、オリュンポス12神――またの名を、『調和ある神々』のうちのただの1柱なんですよ。全知全能という特性はなくなり、ただの天空のかみさま、雷の神さまとされてるんです。
・ユピテル(天空神)
・マルス(軍神)
・クィリヌス(建国神)
がスリートップとされることがあります。ローマ神話では。
はい。ローマに連なる国々で信仰を厚く集めるアレスが召喚されてました。
そしてロムルス・クィリヌスは敵味方すべてを「ローマである!」と断じます。ローマ特性を付与します。
わかりましたね、そうです。
ロムルス・クィリヌスあるあの場においてゼウスは、ギリシア神話における絶対的な全知全能の主神ではなく! ローマ神話体系の! 主神ではあるが絶対ではない1柱ユピテルとして再定義されていたんです!! なぜなら、そこがローマであると――ローマであると!! 神祖ロムルス・クィリヌスが決めたから!!
はい、お得意のバチボコ概念ひっくり返し合いバトル!!
しかも、3大神といわれることもあるユピテル、マルス、クィリヌスのうち、2柱を敵にまわしてるユピテル! 不利!! 圧倒的に不利!!
今回のあの周りのシナリオ、大奥の概念バチボコバトル好きな人たちは絶対楽しいとこだったはずなんですよ!! もっとホームズあたりがしたり顔で解説してくれたら!!! 惜しまれる!! 惜しまれる!! もっとしたり顔で解説してほしかった、このへんも!!!
……とにかく、あの場で触媒になるべきはカリギュラ帝を置いて他にいなかったんだという話でした。推しの活躍と『カリギュラ帝でなければれなしえなかった偉業』を見届けて僕は満足です。
アトランティスでは、ギリシアの月の女神に愛されたグランドアーチャーが活路を開いてくれたんだ。
オリュンポスではローマの月の女神に愛された悲劇の狂皇帝を触媒としたグランドランサーが活路を開いてくれることに、なんの疑問があろうか……。
ありがとう、ありがとう。
すべての道は浪漫に続くのだ、、、