深夜の長文です。『ALTER EGO S』の発売延期について少し補足したいと思い書きました。長文かつ散らかった文章で読みづらいかもですが、気になる方はご覧ください。
カラメルカラムの大野真樹です。
本日『ALTER EGO S』の発売延期を発表いたしました。
http://caracolu.com/notice/1836/
オフィシャルな発表は上記コメントをご覧いただければと思いますが、大野のTwitter見られている方にもう少し補足したいなと思いこの文章を書くことにしました。Twitterに投稿しようとも思ったんですが、告知系ツイートのなか連続投稿するのもノイズになると感じたので、ワンクッション置いた形でまとめることお許しください。
話が散らかって読みづらいかもしれませんが、興味ある方はご笑覧くださいませ。
・開発遅延の原因について
こちらは上記コメントにもありますように、「アプリ版との差別化」「エスのアニメーション表現」の二点が主たる原因となります。
前者の「アプリ版との差別化」は、大野個人の課題です。アプリ版ベースにSwitch版としてリデザインするという形なら、おそらくここまで難産にならずリリースできたかもしれませんが、どうせ作るならまったく違う体験性にしたいと欲を出しすぎてしまいました。それでいて、『ALTER EGO S』としての物語をどこに着地させるべきか、シナリオとしての落とし所も悩んでいる状況です。
アプリ版では「スマートフォンユーザと親和性高い性格診断コンテンツを入り口に徐々に物語に引き込み、2つのエンディングを通じてエスに感情移入してもらい、最終的にエスが自分とはなにかを見つけるという話に繋げる」という大枠がありました。その大枠を変えるべきか否か、アプリ版のその先を描くべきか、はたまた違う切り口で最初から描くべきか、買い切りの新作としてどうあるべきか答えが未だ出せずにいます。
以下、商業的には書かない方がいいのではという気もしますが、素直な気持ちを書いておきます。
TGSに出展した2019年頃の自分は「ユーザはなにを求めているのだろう」と考えてしまいがちで、このまま流されて作ってしまうと『ALTER EGO S』も軸がブレたコンテンツになってしまうと感じていました。その年の4月に追加したDLC「自我とエス」も個人的にはギリギリ (?) の内容で、「自分の作りたいものを作るんだ」という当初の思想から遠ざかってしまいそうな危機感もありました。端的に言うと、ネットで直に感じられるユーザの反応を見すぎてしまっていたように思います。舞い上がってしまっていた自分の頭を冷やすためにも、時間をおいて向かい合った方がいいなと感じたのが、恥ずかしながら遅れてしまった最大の理由です。
その後に作ったスピンオフアプリ『ALTER EGO COMPLEX』については、ユーザが求めていたスピンオフかどうかはわからない変わったゲームだなとは思いつつ、個人的にスピンオフでやりたいこと (特にエンディングの演出) はできたので、良いゲームになったと気に入っています。
後者の「エスのアニメーション表現」は、チームとしての開発練度の課題でもあります。弊社のゲーム開発は、企画やシナリオとして大野、エンジニア1名、デザイナ1名、アシスタント (web制作や動画制作、一部UIなど) 1名の4名で基本的に開発しています。アニメーションツールに慣れているメンバーもいなければ、3Dに詳しいメンバーもいない小規模チームでの開発で、イメージを固める試作をつくるのにも手探りで時間がかかってしまう状況です。部分的な制作外注も視野には入っているのですが、ディレクタとしての自分の力不足と会社の資金力の限界もあり、進め方は慎重に検討しています。
・大野が山ごもりする案はないの?
「アプリ版との差別化」など決めの問題を解決するために、大野が2,3ヶ月山ごもりして決めてくるべきではと冗談半分本気半分で考えたりしますが、そうなるとディレクタ不在で「数ヶ月やることない社員」が出るな……というマネジメント能力皆無な状況が発生しそうなのがネックです。
……というのは言い訳がましい理由づけで、本当は「山ごもり (でもなんでも、考えるだけの時間が用意されても) してなにも思い浮かばなかったら、だいぶ鬱になりそう」という自分への信頼のなさが最大の理由で、山ごもり案は自ら却下しています。
・今後の新規開発予定について
『ALTER EGO』関連ではないんですが、新作開発中です。スマートフォンアプリで、詳細は6月のINDIE Live Expoに合わせたいと計画中です。アートを中心にかなり良くなってきているので、早くお披露目したいとソワソワしています。
このスマホ新作のリリース後、すぐに『ALTER EGO S』に取り掛かれるかどうかは、現時点ではわからないというのが正直なところです。上記の課題がクリアできるか見通しが立っているわけではないのが理由ですが、他にも課題はあります。
弊社ではSwitch対応ゲームの開発経験もパブリッシュ経験もなく、いきなり会社としての勝負作でもある『ALTER EGO S』に手をつけるべきか判断が難しいというのが、そのひとつです。『ALTER EGO S』のまえに短編ゲームを一本でもSwitchでリリースして、開発実績を積むことが必要かもしれないとも考えています。
先の予定を立てるのが得意な方ではないのでどうなるかわかりませんが、開発中の新作スマホアプリが完成したら、リリース経験を積むため (まだ企画は白紙ですが) 軽めのSwitchゲームを1作開発しつつ、『ALTER EGO S』について仕様やプロトを進めていくという流れになるかもな、と考えています。
・で、『ALTER EGO S』はちゃんと発売されるの?
大野が生きてる限りは必ず発売されます。
リリースまえの下記ブログ (βテスト参加者向けのプロデューサーレター) にも書いたように、『ALTER EGO』は自分にとっても思い入れのあるゲームです。
http://caracolu.com/egoletter/
会社経営者としては「つべこべ言わずさっさとリリースしろ!」というのが正解だと思いますが、自分がきちんと納得できる内容とクオリティでリリースしたいというエゴに従って作りたいと腹をくくったので、完成まで時間かかることお許しください。
以上、こんな長文を最後まで読んでいただきありがとうございます。『ALTER EGO S』は言わずもがな、開発中の新作にもやはり同じくらい色々気持ちを込めて作っております。作家としても、ゲーム開発者としても、経営者としてもまだまだ未熟ですが、一作一作丁寧に作っていこうと考えていますので、どうぞ気長にお待ちいただけると幸いです。
楽しみにお待ちいただいているユーザのみなさまには大変ご迷惑おかけしますが、何卒今後ともALTER EGO、カラメルカラムへのご支援のほどよろしくお願いいたします。
カラメルカラム 大野真樹