映画、ミストのバレミスト、思ったよりもパニックホラー的なモンスターとかドンパチ部分もあって初見びっくりしたんですけど、 多分核にあるのは人間の中に内在する恐怖、恐怖から生み出された怪物なんだよね……
インセインやってる時の味……
最初の攻防戦のあたりはかなり、モンスターモノって感じだったんですけど、
被害がではじめて、人々が怯えだして、宗教が意味を帯び始め……
あたりから、すごくあの監督さんっぽい人間の味がしだした気がします。
霧が覆い隠して見えないことへの恐怖以上に、そこに表れる心の様相というか……
後半の霧の中の景色っておどろおどろしいというよりちょっと美しいんですよね。
圧倒的な力みたいなものに崩れ落ちる瞬間がまた……丁寧ですね。
異界からやってきた物、心に膨らむ恐怖とそれに伴う絶望感……
グロも最低限、めちゃくちゃ恐怖をあおるというよりも
かなりさっぱりとした作風だと思うんですけど、
それでああいう、ああいうオチに持っていく残酷さ……
主人公は先の事を考えても救われないし、
あの場からただ逃げ出して家族を撃ち殺した人間になってしまうんですよね。
俯瞰で見てしまえばきっとさもない事、
けれど本人からすれば、重大な出来事であるというの、つらいな……
生贄を捧げて、誰かが助かる。
この妄言も愚かな吹聴者という形でかなり悪意的に描かれているんですけど
結果だけ見れば、やってることは宗教家の人と同じなんですよね。
異界の神に当てられた、霧の中でもがく人間、なんだよな……
そこをざっくりと、現実に引き戻すような ヒキよ……
スタッフロールのヘリの音が つらいよ……つらい。
いや、もろもろふくめて、いい作品でした。
霧だな……まさにミストだな。
霧が過ぎて、残るものの残酷なことよ……