ラストマイル2回目観てきたので、五年前からブラックフライデー初日までの事象を時系列順に整理したメモ。
あと「緑のダウンジャケットの女性」について
【五年前】
・山崎の恋人である筧まりかが「ブラックフライデーが怖い」という山崎の呟きを聞いている。
・デリファスジャパン・西武蔵野ロジスティクスセンター、チーフマネージャーの山崎佑がブラックフライデーの前に職場のロッカーの扉内側にマジックで「2.7m/s→70kg→0」という数字を書く。
・山崎佑が、ブラックフライデーの期間中に倉庫の三階から飛び降りる。
ベルトコンベアに落下したものの一命は取りとめ、東央医大で処置を受けるが植物状態のままで五年間意識がない。
・山崎は事故から十日間ほどは意識があり、「ばかなことをした」という呟きを、当時学生アルバイトだった久部六郎が聞いている。
・五十嵐は当時センター長であり、ベルトコンベアから山崎を下ろして床に寝かせた後、即座にベルトコンベアの稼働を再開している。
・山崎の事故を直接目撃した緑のダウンジャケットを着た女性が、血まみれで床に横たわる山崎の足元で非常にショックを受けている。(後述)
・勤務中の事故のため労災は降りたが、継続勤務は難しいということでデリファスから見舞金が支払われる。その際「デリファスを訴えない」という誓約書に(まだ意識のあった)山崎がサインしている。(ただし、これらは五十嵐による証言であり、山崎本人がサインをするシーンはない)
・山崎拓の父親は、息子の自殺未遂はデリファスのせいであるという訴えを起こすため、三澄夏代弁護士に相談するが、誓約書があったため訴訟を断念する。
・筧まりかが山崎の事故に関してデリファスの責任を追及するため証拠を集めてSNSに訴えようとするが、誓約書があることにより莫大な違約金を払うことを恐れた山崎の父親に協力を拒絶される。
【四年前】
・筧まりかが渡米し、「山崎の自殺未遂の理由を知りたい」と、デリファスを告発するために船渡エレナに協力を要請する。エレナは「無理じゃない?」とまりかの要請を断る。(その後、エレナとまりかは会っていない)
【事件後~二か月前】
・山崎の落ちたベルトコンベアの近くにいた緑ジャケットの女性が、チーフマネージャーに山崎のロッカーを見せ、「2.7m/s→70kg→0」の数字を「消してはいけない」と伝達する。(※この女性に関しては後述)
・チーフマネージャーは頻繁に交代したが、交代のたび、山崎のロッカーの件は申し送り事項として引き継がれた。
・二か月前にチーフマネージャーに就任した梨本孔が、前任者から山崎のロッカーの鍵を受け取る。
【三か月前】
・船渡エレナが三か月休職する。(バーンアウトと鬱病のための休養と思われる)
復帰後、西武蔵野ロジスティクスセンターのセンター長に任命されるが、その際、アジア統括部長のサラに「山崎佑に関するデータを社員データベースから削除しろ」と、暗に証拠隠滅を促される。
【時期不明だが、おそらくこのあたりだと推測】
・筧まりかが、メールで春日しんじに12個の爆弾製造を240万で依頼する。(メールのやりとりは山崎のノートパソコンから)
・広告制作会社に勤務する筧まりかが、自分自身が依頼人になりますまして「DAILY FAUST」の偽CM作成の依頼を受ける。(リモートで打ち合わせしたと偽ったため、社長は気づかなかった)
・筧まりかが里中という四十代男性から戸籍を買い、その名義でアパートを借りる。
【五日前】
・事前に告知された、ブラックフライデーの目玉商品を筧まりかが12個購入する。
・購入した商品の箱に爆弾を仕掛け、物流代行サービスで西武蔵野ロジスティックセンターに納品する。
・筧まりかは倉庫での勤務中に、自分で納品した商品(中身は爆弾)と、デリファス発送の同じ商品のバーコードシールを貼り替えて商品のすり替えを行う。
【ブラックフライデー初日】
・筧まりかが12個の爆弾のうち、スイッチに不具合のあった1個を使い、アパートで爆発事故を起こし焼死する。
【緑のダウンジャケットを着た女性について】
どのシーンもほんの一瞬映るだけなので、初回鑑賞時にはあまり注意を払いませんでしたが、この人ってめちゃくちゃ重要な役どころではないですか?
この人が映ったシーンは、わたしが気づいた限りだと次の三か所(推測含めて四か所)です。
・山崎が落下したシーン。(山崎が落ちたベルトコンベアの近くで梱包作業をしている)
・これは推測ですが、「死んでも止めるな!」と怒鳴る五十嵐に対して「止めます…!」と半泣きで返答している女性がこの人なのでは?
・ベルトコンベアから下ろされ、床に寝かせられた血まみれの山崎に、五十嵐がシルバーのウインドブレーカーをかけるシーン。(山崎の足元にいて、非常にショックを受けている様子)
・孔の回想シーンで、山崎のロッカーについて代々のチーフマネージャーが引き継ぎを行うシーンの一番手。
この緑のダウンジャケットの女性、パスの色を覚えてないので社員だったのかブルーパスの派遣だったのかわからないのですが、派遣社員の中でも古株でリーダー的なポジションだったとか、もしくは、山崎の穴埋めのために暫定的にチーフマネージャーの役割をしていたんじゃないでしょうか。
彼女が山崎のロッカーの数字を知った経緯は不明ですが、事故後、五十嵐に「山崎のロッカーを片付けておけ」と命令されたか、もしくは五十嵐は会社の責任逃れの書類を作るほうに必死でロッカーまで気が回らず、この女性がそっと山崎のロッカーの鍵を回収したんでしょうか。
(最後、「五十嵐から連絡があったよ。ここに来るって」の後、慌てふためく五十嵐が社員ロッカーを手当たり次第に開けようとするシーンからして、五十嵐は山崎のロッカーがどれだか知らないですよね)
とにかく、この女性は山崎が書いた「2.7m/s→70kg→0」の数字に気付いた。
その数字の意味はわからなかったけれど、山崎の飛び降りの原因が過労であり、デリファスに要因がある、そしてこのロッカーの数字がその証拠になる、と思ったんじゃないでしょうか。
だからこそ、自分が辞める時に、後任者に「絶対に消してはならない」と言って鍵とともに引継ぎをした。
初回鑑賞時は、誓約書まで書かせて自分や会社の責任逃れに必死だった五十嵐が山崎のロッカーを丸ごと処分しようとしなかったのが不思議だったんですが、この女性が先回りして「山崎のロッカーは片付けておいた」と五十嵐に報告し、実際には証拠保全を行っていたとすれば整合性は取れます。
頻繁に変わるチーフマネージャーたちも、着任した時にはただの事務的な申し送りだったのが、そこで働いて自身が辞める時、同じ役職であった山崎が飛び降りた理由や、ロッカーを保存していく理由についてなんとなくだけど理解したのではないでしょうか。
だからこそ、梨本孔のところまで山崎のロッカーの鍵は引き継がれ、エレナの「答えはロッカーの中にあったのに」という台詞になったのではないかと思います。