『ベイビー・ドライバー』での、ベイビーとバディの関係について考えた事など。
・本編冒頭での逃走中バディはサングラスを外した時に明らかに笑っていて、それはまさに「こいつ、やるな」とその腕を認めるような笑いをしている。
その後、分け前をもらう為の顔合わせの時にもバディはベイビーをバカにする事はなくて、その辺りの演出によってお前が気に入ったという印象を与えて彼は去っている。
・その後もう一度会う訳だが、その時には完全にベイビーの腕前を信用していて、しかも彼が音楽好きだと判ってバディ自ら歩み寄り、そしてイヤホンを分け合って同じ音楽を聴く。
・Eライト監督において音楽をフード理論に置き換えられると、この時、まさにベイビーとバディは同じ音楽=食べ物を共有して仲間になったという意味があり、それに対して「お前ら何やってる?」と訊くバッツを「クィーン」と同時に言い返す演出など、もうここでこの二人は友達だという符号が立つ。
・実際、バディの過去を鑑みるに音楽好きな兄貴がいただろうし、もしかしたらベイビーのように音楽が好きな息子がいたかもしれない。それらを全て捨て、ダーリンとの略奪する日々を選んでしまったという後悔が今更になって訪れ、それが真夜中に「もう戻ってくるな」と見逃そうとした発言に繋がるかも知れないという妄想。
もしくは、自分とベイビーを重ね合わせ、デボラがダーリンになってしまい、同じ道を行かせてしまうやも、と思っていた矢先に、あの顛末になってしまい、情けをかけておいた自分の愚かさと悔しさと、それを未だ犯していないベイビーとデボラが羨ましくも妬ましくて、あの凶行に及んでしまったのかという妄想。
・まだ2回しか観ていないけれど、ベイビー&デボラはバディ&ダーリンの鏡面なのかもしれない、という自論。