まほやくメインスト。2部13章。フィガロのことを純粋だと思ったのは意志が見えないからなのかも。ここでいう純粋というのは純粋理性批判で使われるような純粋の意です
ファウストのことも純粋だと思うし、それゆえフィガロはファウストに惹かれるんだろうけど、ファウストはフィガロでもフィガロの理想でもなかったんだと思うんですよね。
思ったよりもファウストのことをフィガロは大好きだったのでびっくりしたんだけど、ファウストのことがフィガロは好きなんじゃなくて、この世界で正しくあることに落ち着くだけなんじゃないかなということを思った。道理が立つので安心できるというか…。
私は13章読んでフィガロのことを子供っぽいなと思ったんですが、それは彼の中でどこかこの世界には絶対の真理があると信じていて、その通りに動くことこそが善きものだという信仰に近いようなものを感じだからなのかも。どこまでいってもそういう真理の子供であるというか…。
ミチルのことをどれだけ愛しててもフィガロは始末する気じゃないですか。たとえばミスラは世界がどうなっても自分が選んだものさえ無事ならまあいいじゃないですか。多分そういう考え方ができないところがフィガロが真理の子どもで純粋なんだなあ…と思うところ。
シーンとしてはモーリスとのやりとりが好きなんすよね。ちゃんと彼を心配する振る舞いができていて、あるべきの行動ができるフィガロ…。
ところで流れ的にフィガロはチレッタの石を食べてそうだし、彼がそうしたならミスラと双子にも分けていそうだなと思った。後に出てくる気がする。
彼は幸せを願っているけど、個人の幸せと正しさを天秤にかけたら正しさを選ぶんですよね。(ここでいう正しさは正義や道徳というよりは、物事が斯くあるべしという論理的な正しさ)
アイザックは愚かでいじらしい存在に描かれているけど、フィガロから見てそうでない存在というのは本当に少ないと思うんですよね。彼ほど純粋なものはいない。フィガロの孤独ってそういうものなのかも。誰も純粋になれない。
逆に彼が見そめたファウストは革命軍を組織するまでどうやって生きてきたんでしょう。
アレクが同じように純粋であったから良かったのかな。(しかしアレクは最後の最後で己の恐怖や疑いという感情でファウストを裏切ったわけですが)
おそらくアイザックの立てた問いに答えはなく、フィガロはそれを十分知っているがゆえに悩むんだろうなと思っていて、その純粋さ、単に自分が好ましく思っているということを理由に選ばないところの不自由さが、私は結構好きです。可愛いなと思います。
弔いとして石を食う話が出てきたのは素直に興奮しちゃった…。