ナイトメアアリー、前半のカーニバルパートで丁寧にばらまかれた種を、後半の街パートで着実に拾っていく感じがめちゃくちゃ丁寧というか、なんかこう、真摯だな…と感じる。描写が丁寧というか、真摯って方がしっくり来るな。本当に好き
原作未読ゆえにあんまりどうこう言えないのだけども…。
最後、スタン以外の「その後」が誰ひとり明言されないまま、なんとなく匂わせ程度の情報だけまいて終わるのめちゃくちゃ好き。
「過去」も「その後」も、なんとなく察せる程度の情報だけ匂わせて、明確に何があったとかどうなったと言われないままなの、本当に好き。
出る情報と出ない情報のバランスがちょうどいい。
前半、カーニバルで丁寧にまかれたフラグたちや未来の暗示が、終盤にかけて(悲しいほど)丁寧に回収されていくのがとてもきれいで良い。
スタンのあの結末は、ブラッドリーいわく「彼自身が望むもの」らしいので、最初からずっと「獣人」に対してやや同情的だったのも、むしろエンパシーに近いものがあったのかもしれないな。
ラスト、原作では獣人にならないかと勧誘されるところで終わるらしいけど、その勧誘で終わると「この世の理」って感じなのが、スタンのあの反応で終わることで「スタントン・カーライルという男」の作品になるのが良いなあと思う。
スタンが「アルコールの瓶を間違えた」のが、本当に間違えたのか、わざとやったのかが未だに悩んでいるのだけど、
あれ本人は本当に「間違えた」と思っているけど、深層心理では自ら望んでやったっていう感じなのかなあと思っている。
どうなんだろうか。
リリスは博士だから、知識としても技術としても相手を読むことに長けているし、それに伴う危険性も理解しているけれど、
スタンはあくまで技術としてだけで、知識はないし本質的には理解しないままやっている、というあの違いも良い。
ピートやジーナはそれを理解して限度を超えたショーをやめたし、スタンのことも止めたけれど、彼はそれでもやめない。
誰もが父や母との間に問題を抱えていたり、愛するものを失っていたりするけれど、その深さは実際に触れてみないとわからない。
作中のメインキャラたち、その誰にでもある穴をショーとして触れたら思いのほか深くてずぶずぶ沈んじゃう、みたいな感じあったね。
おやおや。
エノクについてもっと考えたい。エノク…母殺しの子…ただ全てを見つめる一つ目の胎児…