猫葉との二者面談
要するにこいつは……重い……
「戒理さんが幸せでいてくれれば、それで」
その言葉の真意を探るべく面談を開始した我々がそこで見たものとは——!!
自分の幸福を他人におくと大抵碌な死に方しないんですけど(相手が)(何故かいつも先立たれる)(吐かれる呪い)(さようなら)(来世に期待)、猫葉叶倫という人間にとって夜明戒理という人間は「日常の象徴」であるらしく。
いや、「今」だけならいいんですけど「"現在"の日常」「"過去"の日常」両方らしく。
それはまあ喪いたくない嫌われたくない離れたくないになりますね…お前の妙な喋り方と強迫観念もわからないでもないな……となりました。が。
スタンスが「嫌われてもいい、離れてもいい。それが貴方のためになるのであれば、いくらでも貴方に嫌われてみせましょう」かつ「貴方が気に病まない範囲でわたくしは何でも致しましょう。その範囲では収まらないことなのであれば、心まで演じ切って、綺麗に貴方を出し抜き欺いてそれを成し遂げてみせましょう」なんですよね……。
深層ではこうだけど〜ではなく恐らくこれは「嫌われたくないけど必要とあらば嫌われる覚悟もできている」どうして…。
これは恋ではなく愛。
しかし恋愛的なそれは一切含まれていないようで個人をと言うよりは「貴方がいる日常を愛している」なのでこれは……これは……。
下手すると結構呆気なく生きる理由がなくなりかねないのでは?いや、支部長そんなにスタンスとか軸がぶれたりしなさそうな人には見えるけど。
先立たれたら言葉で呪われない限り生きられないやつですね、見たことがあります。進研ゼミでやった。人間師でもやった。はいおしまい。
ここしか縋るところがなかったんだろうな……こいつもな……。
「貴方がいてくれる世界」を愛してるから「貴方」が幸せでいてくれればいいので恋愛とかはめちゃくちゃ応援したいみたいなんですよね。高校生トークしていいなら「気になる方はいらっしゃいませんの?!」から始まります。教えて応援させてときらきら迫ります恋バナを始めたおなごは強い。
だし、自分の恋愛も自分の恋愛で誰かを好きになるんだと思います。
なんだろう、「貴方」は最上位の別枠?みたいな感じ。
結局昔の関係性とかは吐かなかったんですけど
「むかしむかしに、ですけれど。そういえば、御守りにと紐を渡した事がありましたわね。髪紐にもミサンガにもなる程度の長さのものを」
「もうとっくに擦り切れてゴミになってしまっていましょう、振り返っても何にもならないわたくしだけの思い出です」
などとは言っていた。淡い思い出。
物が渡せて受け取ってもらえるってことは近かったんだろうか、と思うと即座に
「こちらから、は何時でも見えていましたが。あちらの視界には入っていたかは怪しいものです。人の心なぞ誰にもわかりませんから」
とか言うのでわからんし好感度の話はしていないのよ。変な誤魔化し方やめて。