…………

…………さま……

……魔女さま！


えぇ、スイレンよ
といっても、これは魔女さまの夢の中だから。
魔女さまが起きる頃には、忘れてしまわれてるのだろうけど。


魔女さま、スイレンはずっと一緒にいるわ
それは魔女さまも感じてくださってると思うのだけれど
スイレンが好きだったお菓子を見ると、スイレンの笑い声が聞こえてくるわ、って、魔女さまおっしゃってたけど、
あれは魔女さまの中のスイレンが本当に笑ってるの


魔女さまは今後、どうなさるのか、スイレンにはわからない。
また弟子をとって、儀式を行って、魔女として生きるのか
それとも……枯れてしまうのか。
スイレンは、魔女さまに生きていてほしい。スイレンと共に、ずっとずっと。
でも、儀式はとても悲しいこと。それはよくわかっているわ。それに、魔女さまがスイレン以外の弟子をとるって考えたら、ちょっと、ううん、とっても嫉妬してしまうし。
だから、スイレンはもう何も言わない。
魔女さまが選んだことなら、それが、正しいことなのだと思ってるわ


ねぇ、魔女さま
スイレンは、魔女さまの養分になったこと、ちっとも後悔してないわ。
もちろん本当は、魔女さまのおそばにいたかったけれど。
でもほら、こうやって魔女さまの中にいられるから、一番近くでいられてるわ！
だってスイレンたち、約束したもの。何があっても、ずっと一緒よ、って。
何よりも、最後まで「魔女さまの弟子」としていられたことが、スイレンは良かったと思うの。


魔女さま。
スイレンはわがままだから、悪い子だから、おねがいしちゃう。
スイレンのこと、ずっと覚えてていてほしいの。
忘れてしまったほうが、楽なのかもしれないけど
それでも、スイレンは忘れてほしくない。
魔女さまが覚えてていてくれる限り、スイレンは生き続けるの。
これからも色んな場所に連れて行ってほしいの。
色んな景色を、見に行きたいの。
美味しいものも、たくさん食べたいの。
魔女さまと同じ時を、過ごさせてほしいの。



そろそろ朝かしら。魔女さまのお目覚めの時間。
……魔女さま、泣かないで。起きたらビックリしてしまうわよ？
たしかに魔女さまは泣いているお顔も綺麗だけど、スイレンは魔女さまの笑顔が一番だわ！

…………え？

……えへへ、スイレンも、魔女さまのこと愛してるわ
これからもずっと、ずっと。ずーーーっとよ！