サンデー本誌「葬送のフリーレン」第118話「フィアラトール」感想!ヒンフリの叫びとグラオザーム考察多め。ヒンフリは両想いなの?グラオザームの収穫とはフリーレンの持つディーアゴルゼの解除魔法では?等々想像が広がり大興奮でした!
「葬送のフリーレン」サンデー本誌第118話「フィアラトール」感想・考察もどき
とっても長くて約23000字ありますので御注意を。
大まかには、Ⅰ全体的な感想、Ⅱグラオザームの「収穫」をめぐる考察、Ⅲヒンフリ民の叫びの三部構成、+12/9追記アニメ第14話「若者の特権」感想になっております。
なお、直前に注意書きしますが、小説「奏送」及び山田鐘人先生の前作「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」のネタバレを語る箇所がありますので、御承知おきください。
Ⅰ<叫びの多い全体の感想と考察もどき>
・「大増22p!」との触れ込みでしたが、本当に中身がたっぷり詰まって満足度の高い1話でした……。勇者ヒンメルは本当に、出る度にイケメン株が上がっていくなァ!フリーレンの冷静さは頼もしいなァ!ハイターの友情は熱いなァ!アイゼンの戦士としてのスタンスには痺れるなァ!そして俺の推しCPヒンフリは……概念結婚した……💒💍💐🤵♂️👰♀️。今話は間違いなくヒンフリのサビだったな……💗もうお腹いっぱいだょ……。前話117話感想で色々と展開を予想したんですけども(第117話感想→https://fusetter.com/tw/t5iLfwrl)、フリーレンもヒンメルと同じ幻影を共有している可能性と、フリーレンがヒンメルに発破かける展開になる可能性しか当てられていなかったな(笑)全体総括としてはファンの予想と期待を最高の形で超えていく、最良のバトル回になったと思います!
・まずはしょっぱなから、ハイターが「敬虔な僧侶」呼ばわりされてる今話唯一のギャグには笑わしてもらいました。まぁシリアスにとらえるなら女神様なりの何らかの「敬虔」度判定があって、その高低によって女神の寵愛の深さが決まる、というような仕組みとかあるのかもしれない。女神の聖典には「戒律」が書かれていることが第116話で明かされましたが、おそらく「戒律」で飲酒は戒められている、もしくは勧奨されていないと思われるので、戒律をどれだけ遵守しているかということよりも、信心深さのような要素の方が女神様ポイントが高いのかもしれません(全然関係ないけど「剣の魔物」エピソードによれば女僧侶も存在していて良さそうなので、女神様の寵愛は女でも受けられるずですが、未だに出てきていませんね。私としてはシスターっぽい僧侶の登場を希望しています。シスター属性がヘキです。両先生方、よろしくお願いしますw)。
・ハイターの実力や能力については、これまで不死なるベーゼとの戦闘回想や初期のダンジョン攻略等で隠密魔法を使っていたという情報の他には、ほとんど明らかにされてきませんでした。なので、呪いの耐性等の類についてはザインの描写から予想されていたとはいえ、今話でハイターもまたエグいほどに深い女神の寵愛を受けた大天才であるということがわかったのはとても嬉しかった。グラオザームの驚愕が痛快でした。ハイターTUEEEEEEE!!!!!!!グラオザームざまァあああwwwってちょっとだけ下卑たテンションが上がったのは内緒ですw
・やはり旧パーティーは前作主人公達の位置付けだから、その格は上等であれば上等であるほど嬉しいですな。。。第117話感想でもふれましたが、試験編で扱われていたフリーレンのファイアーウォールもとい精神防御の件はどうするのかな~と思っていたら、フリーレンの精神防御<グラオザームの幻影魔法<ハイターが受ける女神の寵愛の加護、ということのようです。ハイターと比べたら呪いの耐性はフリーレンの方が弱くて当たり前だけど、魔族が行使する魔法の影響に対する耐性もハイターの方が優れているんですね……。うーん、これってやっぱこれから先は強力な女神の寵愛を受ける僧侶が旅路に必須では。僧侶アゴヒゲ、早くカエッテキテ。
・魔法使いにとっての魔力探知は、知覚に等しい第六感のようなものだということは、これまでも描かれてきましたね(封魔鉱でフェルンが魔力探知に頼れず怯えるエピソードや、黄金郷を気味悪がる場面など)。そのことが再確認され、魔法使いにとって魔力に対する知覚を塞がれることは大きな弱みになること、逆にヒンメルのような「持たざる者」にはそれが強みになるのだというギミックになる展開も、王道ではあるもののワクワクして良かったな。「グラオザーム、お前は甘く見過ぎたんだ。持たざる者の研ぎ澄まされた感覚を」の勝利が確定したとでもいうような断定口調にはアウラへの「お前は見誤ったんだ、アウラ」を思い出す。フリーレン様はもう確信しているのです。さすがヒンメル。さすが勇者。俺達もお前を信じていたぜぇ!とはいえ、五感が研ぎ澄まされているにしても勇者ヒンメル、それはさすがにチート過ぎやせんか……。視覚が完全に塞がれている状態で、ソリテールの剣から仲間と自分の身を守りながらグラオザームに近接して大ダメージを与えるとか、ヒンメルの強さ、人類をやめてバケモノの境地に足を踏み入れかけてるんよ……。速過ぎて残像が見えちゃってんじゃんヨォ……。これではアウラちゃんが天秤を使う前に裸足で逃げ出すのも道理だぜ。あと、この後の場面でヒンメルが剣を一振りしただけで触れてもいない木を伐採したのには笑いました。おまえ、衝撃波だけで木を薙ぎ倒せるとかどんだけ……。ファンの間ではヒンメルはスピードタイプだとささやかれてきましたが、パワータイプでもあるでしょ絶対……。
・ハイター、自分のことは信じていなくても不可能を可能にしてきたヒンメルを信じているという理屈は、第112話「信頼」や第115話「親友」のエピソードがここでシッカリ生きてきていますね。正直なところ、女神の石碑編の短編エピソードの質は低い気がしていた。第115話以前にはいつもの台詞まわしに感じられた軽妙さやウィットやユーモアのキレがないうえ、エピソードの意義自体が不要なものが多いと感じていたんですよね。特に第115話はヒンメル&ハイターの関係性の掘り下げとしても希薄だったし、「何のために必要なんだ?」と首を傾げていたので、第118話でハイターがヒンメルに寄せる信頼の伏線として機能したとわかったのは嬉しかったです。
・アイゼンは「臆病」だからこその引き際を心得るスタンス、リヴァーレへの死の予言がカッコよかった。前話のリヴァーレの「長生きに秘訣などない」に対するアンチ哲学だろうな。アイゼンは戦いに熱くなって自分を忘れたりしない、リーダーのヒンメルの判断を信じている。こうしてこのパーティーは全員で無事に生き残ってきたんだね。リヴァーレが自分より遥かに格上であることを認めた上で、その討伐を未来の世代に託したのもカッコいい。まぁその因果によってシュトルツの兄達は命を落としてしまうことになるのですが……。でもそれはアイゼンの責任じゃない。託された側のシュタルクとリヴァーレの宿命の会敵が待たれます。ところでアイゼンがリヴァーレにトドメをささずに退却したような描写になってるけど、リヴァーレの方も崖から落ちるに任せて飛行魔法で反撃に転じようとはしないから継戦していたら死にかねないとの判断でひいたな、これ。死に物狂いでやり合っていれば決着はついただろうが勝者も大ダメージを負いかねない、お互いにそういう暗黙の妥結に至って、リヴァーレの方も退却したんだと思われる。やっぱりアイゼンは人類最強の戦士だったんや。
・ソリテールちゃんとグラオザームの遠慮ない掛け合い、この二人絶対仲いいだろ。見ててニコニコしちゃうくらいかわいかったです。意外にもグラオザーム、やられてカッとなったら冷静さを失うタイプのようで、まだまだエゲツない奥の手を隠していた様子。タイムスリップしてくるまでのフリーレンには今回グラオザームと戦闘した記憶はなかったので、勇者パーティーがグラオザームをきちんと討伐するのはこの先のことなのだろう。もちろん、グラオザームが現代まで生きている可能性もあるにはある。例えば巷で言われているように、グラオザームがこの先二度目の勇者パーティーとの戦闘を経て幻影魔法を使って死んだと見せかけ、実は現代まで生き残っているという筋もなくはない。第117話にはそれが充分あり得るようなフリ(グラオザームが大魔族をも欺ける幻影を見せられること)はあったが、そうするとメタ的に考えてプロットがごたつくし、勇者パーティーの戦績の格が落ちるので、ヒンメル達の時代で討伐しきったんだと私は思いたいね。ていうか第118話読む限り、ハイターにはグラオザームの誤魔化しが効かないからこの線はどの途ないのかも。ただグラオザームが今後勇者たちによって完全に討伐される場合、グラオザームが今回得た「収穫」を誰に託したのかという問題は発生するけれども……順当に考えたらソリテールだろうね。
Ⅱ<グラオザームの「収穫」とは何か?>
・いずれ明らかになるんだろうけど、一応、仮説としてまとめておきたい。まずは結論から順を追って説明します。
Q.1グラオザームが未来のフリーレンから奪った情報とは何か?
A.1私の予想は、フリーレンが未来で開発した「万物を黄金に変える魔法」(ディーアゴルゼ)の解除魔法の情報です。
Q.2上のQ1.が正しいとして、ではなぜ、ディーアゴルゼの解除魔法がグラオザームらにとって有用になるのか?
A.2南の勇者との戦闘で黄金化した可能性のある七崩賢のうちの誰かか、シュラハトをよみがえらせるのに役立つと考えます(※1)。シュラハトがグラオザームにマハトの記憶を消去させてまでフリーレンに見せたくなかったのは、七崩賢の誰かまたはシュラハトもしくはその両方が黄金化している情報を見せたくなかったからだと推測すれば整合は付きます。
Q3.なぜ、シュラハトは七崩賢or己自身をマハトに黄金化させたのか?
A.3仮定という砂上にさらに仮定を載せる形になりますが、人類との共存を目指していた当時の魔王の統制が継続した場合、結果的に種の絶滅に至ってしまう未来をシュラハトは視てしまったのではないでしょうか。そこで当時の魔王を始末し、種の存続に貢献する新たな統制者としてNo.2以降の実力者を魔王のポジションへと繰り上がらせようと謀った。そのための工作の過程としては①まず、次代の魔王候補をマハトにディーアゴルゼで黄金化させた(※2)。ここがフリーレンにマハトの記憶を見られて困る部分だったわけですね。魔王候補をわざわざ黄金に変えるメリットとしては、南の勇者やヒンメル達の脅威から次代の魔王を約80年間以上守り続けられるということが挙げられます(また、もしも仮にシュラハトの真意に魔王が気付いたとして、魔王が次代の魔王候補を殺してしまう展開を避けられる、というメリットもあります)。②次に、勇者ヒンメル達一行に当時の魔王を討伐してもらいます。③それから、未来から来たフリーレンからディーアゴルゼの解除魔法を奪います。④最後に、適切なタイミングでグラオザームかソリテールか誰がしかが次代の魔王の黄金化を解きます。これで魔王の代替わりが無事に成るという寸法です(※3)。
・要するにかつてマハトがヴァイゼを黄金郷に変えることで、街を一つまるまるタイムカプセルにしてしまった現象を、七崩賢(&シュラハト)幹部魔族達に応用再現した形です。しかしこれはフリーレンが解除魔法を開発することで封印が解けて、タイムカプセルとして機能できるという、未来のフリーレンの挙動が視えていてこその作戦です。フリーレンがいて初めて、有能な魔族をヒンメル達&魔王の脅威から守り、80年先の未来に直送できる仕掛けが完成するのです。
・もしもこの仮説が正しければ、不自然にインフレしまくっていた南の勇者の強さの想定にも抑制が効きます。さすがの人類最強の南の勇者も、同時に七崩賢三匹+シュラハトを葬ったりはできなかったのではないでしょうか(もちろん一匹~二匹は討伐できた可能性もあります。ソロでそれだけでも充分過ぎるほど強いので何ら南の勇者の格は下がりません……)。また、シュラハトがわざわざ南の勇者一人打倒のために七崩賢を集結させたのも、実力ある魔族を未来にむけて温存させるこの作戦を、魔王や七崩賢らに怪しまれずに実行するためだと考えると、一応辻褄は合うように思います(南の勇者の排除作戦は魔王の「勅命」によるものとされていますが、未来視ができる魔王の腹心のシュラハトなら魔王の意向を操ることもできたのではないでしょうか)。この仮説が正しければ、ヒンメル達が魔王を討伐した功績の価値を無に帰することなく、現在のフリーレンたちのラスボスとして新たな魔王を誕生させられる。そういう、メタ的に都合のいい状況もつくれます(笑)
・この仮説が正しいならば、フリーレンがマハトの黄金魔法の解除魔法を開発してしまったこと、女神の石碑に触れてタイムスリップ現象を引き起こしてしまったことは、現代に大ピンチをもたらす大災厄になっちゃうわけですね。下手すると最大で七崩賢三体+シュラハトが蘇ってしまうことになってしまう。。。どうする、フリーレン……!!!(予想が外れる可能性が高いので杞憂でしょうが)
・飽くまで憶測に過ぎませんが、上記の仮説なら、シュラハトの考えに共鳴していたっぽいグラオザームと、種の存続&自己保身を旨とするソリテールを満足させられるほどの収穫とは何かという謎や、現段階でお出しされている南の勇者&シュラハトをめぐる数々の謎に一応の説明が付けられるよ、というお話でした。予想が外れている可能性も全然ありますが、部分的には当たっている気もする。どうだろ。
※1ところでディーアゴルゼで黄金化した魔族に対する魔法をマハト自身が解除できてしまうと、上の仮説は成り立ちません。なぜならグラオザームはフリーレンではなく、マハト自身から魔族の黄金化を解くノウハウの情報を奪えばこと足りるからです。なので私はマハトには魔族の黄金化解除はできない、と仮定しています。マハトは自分の黄金化を解除することはできますが、人類に対しては「理解できない」ために解除できませんでした。そのため、たとえ黄金化対象が自身と同じ魔族であっても、他者理解の視点に乏しい魔族マハトには解除できない可能性が充分にあると思っています。
※2黄金郷編でデンケンがソリテールから逃れるために呪い返しの魔法を解いて自らを黄金化して防御に代えたことを思い出されたい。マハトの黄金は破壊できないので、解除さえされなければ最強の防護魔法になります。
※3なお、ソリテールはかつて「シュラハトも魔王もマハトも、魔族の宿命に抗えなかった」と語っています。ひょっとしたらシュラハト自身も魔族の自己保存の本能にしたがって、マハトの黄金魔法を利用して自分の身を守ったのかもしれません。あるいはシュラハト自身が魔王に成り代わるつもりだったのかも。
Ⅲ<ヒンフリくんさァ……>
・公式が最大手っていうベタな表現があるじゃないですか。陳腐に聴こえるのはわかっているんだけどあえて言わせてほしい、公式が最大手だと。
・まず扉絵がね。。。これは二次創作なんですか???ってくらい完璧な絵で泣ける。是非ともカラーで観たかった。新郎新婦に注ぐやわらかなひかり……女神様のアイコンの前で厳かに向かい合うヒンメルとフリーレン。。。この宇宙の完璧な調和がここにある……。幸福というのを図にしたらこんな感じなんですね……。扉絵のアオリ文は「勇者は誓う。魔法使いのいる未来を守ることを」。あぁ~~~それが……ヒンメルが女神の前で誓うフリーレンへの愛なのね……。
・これたぶん気付いたの私だけだと思う。画がとても小さいけど、ヒンフリの結婚式の参列者にフォル爺っぽい人とノルム卿(先々代)っぽい人がいる。芸が細かすぎる。。。
・司祭様の役割がハイターではないところがグラオザームの幻影の解像度の低いところかもしれない(笑)それともハイターが幻影に囚われていないからなのか。
・誓いのキスを促されて合法的?にフリーレンにキスするチャンスがあっても、ここでキスしないのが勇者ヒンメル。さすが勇者ヒンメル"""男"""を見せた。キスしないなんて男じゃねぇっていう異論もあってもいいが私は認めねぇ。ルパン三世だってクラリスを抱きしめなかったろハイ論破~。だって抱きしめたら壊れちゃうからね(M.H監督談)。フリーレンも同じだよ。ヒンメルにだってそりゃア葛藤はあったと思うよ。無言でフリーレンを見つめてから、思わしげに切なく目をそらす二コマが彼の複雑な心境を物語っている。あの瞬間には恋の欲と無償の愛との内なる、静かなせめぎ合いがあったに違いない。でもその後でフリーレンの唇にふれるヒンメルの指の優しいことを見よ。こんな勇者ヒンメルのパーフェクト・アガペー・ムーブを見たらもう「抱け、抱けェ~」なんてノスタル爺みたいな台詞は吐けなくなっちまうんよ。指の腹の正面を唇に押し当てるのではなく、「静かに」のジェスチャーのように指の側面でそっとふれるのがなんとも奥ゆかしくていじらしいじゃないですか。これぞ愛ですよ、愛。無限の愛。勇者ヒンメルの精いっぱいの自制こそが、永遠に近い時を生きるフリーレンの未来をも慮った、真の慈しみなんだなぁと思うと胸がいっぱいになる……。この男はきっとフリーレンに自分の欲望を微塵も感じさせたくないんです。今回の幻影のせいでおそらく恋心はフリーレンにバレちゃったのに、この期に及んでもちゃんと自分の想いも願いも性欲も抑え込んでいる。自分を恋愛対象として全く意識していないだろうと思えるフリーレンに、男の欲を察知させて不快な思いをさせたくない、そんな思いやりによるものではないかという解釈をしました。惚れた女を幻影の中でモノにできるチャンスがあるってのに、勇者くんさぁ……。ちょっとばかし高潔が過ぎるんじゃねぇかなぁ……。俺達はお前のことを聖人じゃないって知ってるけどよ。。。それでも、思わずそっと触れずにおれなかったのは御愛嬌だよね。ほんと切ない。ほんのわずかに漏れ出してしまった人差し指ぶんの欲望にたまらんエロスを感じてしまったことだよ。。。結局はどんなに強く抑圧したとしても欲の存在そのものを消せはしないんですよね。押さえ付けられているからこそ逆にたまらなくえっっっっっっっち。。。ということもこの世にはあるんです。果たしてこの絶妙な人差し指の向きは、山田鐘人先生発の指示によるものなのか、それともアベツカサ先生のアイデアなのかが気になるところです。
・一方のフリーレンさんのこのキス待ち顔はどう解釈したらいいですか?まずこのお顔いつになくめっちゃしおらしい感じじゃないですか?おとなしくされるがままになってるのはどういうことなんですか。こっちもドチャクソえっちじゃないですか。フリーレンさんがこんなにえっちなんて聴いてない。ちゃんとヒロイン(?)してるのとか初めて見たんですケド???????お師匠大好きフェルンちゃんもフリーレン様のこの顔は見たことないって言ってる。間違いなくレア中のレア顔だよな?????ヒンメルの人差し指を唇に受けてそっと睫毛をもち上げるコマのかんばせの麗しいこと。。。フリーレン、雪花石膏のような肌をしているな。まつげ、意外とながいんだね。くちびるは少しも震えていないのが、君らしくも憎らしい。ずいぶん落ち着き払っているね。作画がマジで神過ぎる。あなたは麗しい君はきれいだ生きろそなたは美しい。女神か???フリーレン様が女神様だったのか???このフリーレン様を見ているとどうにもイルカのなごり雪の歌を思い出して困るんだよな(((世代ではないです、念のため)))。いーまー春が来て~君はキレイになった~🎶のフレーズはじめ、全体的な歌詞のコンセプトがフリーレンを未来へと見送るヒンメルの心境にはピッタリだよネ。。。でもフリーレンの心の氷を溶かして彼女の孤独にあたたかな春をもたらしたのはヒンメル、他ならぬお前自身なんだよ。。。。。お前もっと自信持てよ……(私は何を言っているんだ)。
・というかフリーレンは一見キスとかに頓着なさそうにも思えるけど1話でハイターに頭なでられるのは嫌がってたし、意味の感じられない身体接触とか親しくない相手からの接触はふつうに嫌がる人だと思うんだけど、そんなフリーレンがヒンメル相手にはおとなしくキス待ち顔になってたということはもうそういうことなんですよな???なっ???精神防御を破られた形跡、感覚がある、つまりこれが幻覚だとフリーレンは少なくともうすうすは気付いていたわけで、だけどおとなしくされるがままの状況に身を任せていた。つまりヒンメルになら、キスされてもいいってことなんだよな???
・もーっと大胆な解釈すれば、ヒンメルとならフリーレンは結婚してもいいかと思ってたってことじゃないですか???だって「現実」と認識してしまうような状況が、ヒンメルとの結婚だったんでしょ。ヒンメルと結婚してもおかしくないとか、ヒンメルとなら結婚もあり得るとか、ヒンメルとなら結婚してもいいとか思ってないと、その状況を落ち着いて受け容れたりはできないやろ???えっこれでヒンメルの片想いってマジ???グラオザームの魔法って「楽園へと導く魔法(アンシレーシエラ)」じゃないですか。たとえグラオザームがこの中で最も脅威が高いと判断した相手が勇者ヒンメルで、ヒンメル特攻効果を最優先にしてヒンメルをターゲットにした幻影を生成したのだとしても、それがフリーレンにとっても違和感のないものとして受容できるものでなければこれは幻覚だとソッコーではっきりとバレてしまうと思うんですよね。いや、もっと言えばグラオザームの魔法、ヒンメルとフリーレン双方にとっての「楽園」(決して叶わないと諦めた願い)が「結婚」だと読み取ったうえで二人に同じ幻を見せるという挙動をした可能性もありますよね。私はてっきりヒンフリは勇者ヒンメルの片想いだと思っていたんです。この世のあらゆる不可能を可能にしてきたヒンメルがたった一つ「決して叶わないと諦めた、幸せな夢」、それがフリーレンと想いを通い合わせて共に生きていくことなのだと。だけど今回のフリーレン様の言動は示唆しています……フリーレンだってヒンメルとのキスや結婚がイヤではなかったのだと。というかまんざらでもなかったまであるかもしれない。さらに調子に乗って想像するなら、つまりこの状況がフリーレンにとっても決して叶わない願いだったのだという解釈もできるっていうコト……。ナンテコッタ。。。何なのこんなのもうヒンフリ両想いぢゃん……。。。ヒンフリちゃんはどうしてちゅーもしなかったのにこんなにも死ぬほどえっちになってしまったのか。フリーレンにふれたいのにふれられないヒンメル(キスしないヒンメル)、知りたい時にはもうヒンメルはいないことを実感し、ヒンメル(天国)を目指す人生という旅路を行くフリーレン。お互いに相手に向かう欲や願いがあるのに、決してもう手が届かない。なぜならもう僕は/私は、君と交わらない道を選んでしまったから。だけど名残熱はいつまでも消えずじわじわと心を炙られていく……。そんなアダルトでえっちな関係性が少年誌で連載されちゃっていいんですか???めちゃくちゃエロいんですけど???R18じゃなくてほんとに大丈夫???
・ロマンス的な見方を横に置いておいても、この二人の信頼は本当に、仲間としても相棒としても戦友のものとしても最高です。冷静にフリーレンに指示を乞うヒンメル。ヒンメルを信じ切って委ねるフリーレン。時系列がいつかはわかりませんが、かつてフリーレンの回想にて勇者ヒンメルは不死なるベーゼの結界を壊すイメージが持てないと弱音を吐くフリーレンに「だったら僕がイメージさせてやる。この世に不可能はないって」と豪語しました。魔法はイメージの世界。フリーレンにとって不可能を可能にするイメージをさせてくれるヒンメルは、魔法使いである自分を最強にしてくれる存在なのです。その時と同じように、というかむしろフリーレンがあの時の信頼をお返しするかのように、ヒンメルに「勇者ヒンメルにならできる」と勇気付けるのがもう最の高。二人はお互いにお互いの足りないところを補い合える存在なのですね。。。二人で一つの無敵の完全体なのです。。。なんというえっち。。。なんというバディ。「私には出来なくても、ヒンメルには出来る。現に勇者ヒンメルは、幻影如きには負けなかった」(※4追記)というのは、ハイターの台詞「勇者ヒンメルは私が不可能だと思ったことですら、いつだって可能にしてきました」と重なりますね。いちいちこういう演出が憎い。
・フリーレンがその細い白磁の指でヒンメルの大きな手にそっと触れて剣の柄を握らせる。。。あああなんてえっちなの……いや、もうこれ、なんてケーキ入刀ですか?????こんなの概念ケーキ入刀過ぎるくない?????グラオザームはヒンフリのウェディングケーキだった……?????グラオザームを打倒する、これが二人の愛の共同(協働?)作業というわけですよ。。。。。夫婦かな?????オーラは既に新婚さんというより熟年夫婦のそれですな???現実の空間では目をつむったままの二人が静かに向かい合い二人の右手が剣の柄に共に触れています。このコマの崇高で静謐で厳かな美しさときたら宗教画そのものですよ……。あまりにも美しくて泣きたいほどに好き。この二人の関係性の全てをこのたった一つの画が物語っている。ここでフリーレンが「体は動かせる?」と訊いてヒンメルが「馬鹿にするなよ」と返すやり取りが本当に気の置けない戦友で仲間という感じで大好きです。「じゃあもう剣の感触もわかるよね」「ああ。任せろ。もう戦える」も頼もしい。二人がパーティーとして積み重ねて来た絶対の信頼の熱さと厚さを感じて泣きそうになる。対ツァルト戦でフリーレンがほぼひとりでツァルトにケリを着けた時とは対照的に、フリーレンは今回直接の戦闘には全く加わりませんでした。珍しくフリーレンが、男三人に守ってもらうヒロインをやっていた……というわけではなく、フリーレンはフリーレンで、冷静に状況を見極めてヒンメルが本領発揮できるように導くのが今回の役割だったわけです。勇者一行の強いところは、適材適所の役割分担をそれぞれがしっかりこなし、仲間を信じて背中を預け合うところ。フリーレンに向いている役割は司令塔とか指揮官だと私は思っています。持ち前の豊富な経験と知識と冷静さを生かして戦局を分析し、厳しい戦況を打開する一手を思考した上で、仲間を信じて任せきる。そんな思い切りと勇気を118話のフリーレンに見たわけですが、このような挙動は第101話でフェルンやデンケンを信じると決めた時のフリーレンを彷彿とさせますね。「勇者ヒンメルならきっと最後まで仲間を信じて背中を預ける。たまにはこんな賭けに出るのも悪くはないか」。ヒンメルが信頼と連携を教えてくれたおかげでフリーレン達はソリテールやマハトを倒すことができたのだし、逆にこの時の経験があるからこそ、第118話でこれまでヒンメルにもらった信頼を返して託すことができて、任せきることができたんだと思う。その信頼の循環が本当に熱くてエモい;;;;
・フリーレンを石碑まで走るように指示するヒンメル、その背中を刹那じっと見つめるフリーレンは何を想ったのか、とても印象的にエモーショナルに演出されていました。フリーレンの目に映るヒンメルの後ろ姿、大きな背中には、アニメ第1話で棺が土中に埋められていく際に去っていくヒンメルの後ろ姿を思い浮かべるフリーレンを思い出して泣きそうになってしまった。フリーレンにとってヒンメルという人は今となっては、自分の遥か先へ行ってしまった人なんだと思う。だから今になって天国まで追いかけに行くのです。その後の一コマのフリーレンの微笑みに万感の想いがこもっている。およそ84年前のフリーレンなら、きっと抱けなかっただろう感慨がその表情に溢れている。勇者ヒンメルやハイターの死を経て、アイゼンにオレオールへ向かう旅路へと背中を押してもらって、フェルンやシュタルクやザインと旅をして。様々な人達との出逢いと別れを経て、今のフリーレンがあるのです。ヒンメル達への全ての感謝を込めた「ありがとう」が美しい。
・「いいってことさ。お陰でとても良い夢が見れた」(※5※6※7、追記部分、後述)。この台詞はほぼ愛の告白のようなものだけど、このセリフが遠ざかっていくフリーレンに聴こえたかどうかは微妙だな。個人的には聴こえていてほしい。ていうか「お陰で」ってなんだ……???フリーレンのお陰というわけではないだろうに……やっぱりあの夢はフリーレンの方の願望だったとか……???ところでこのセリフに「いい夢見れたかよ?」っていう台詞を思い出した人は私と同世代だと思うので握手しましょう。美堂・グラオザーム・蛮ちゃんの邪眼には、ヒンフリの民にもマジでいい夢を見させてもらいました^v^
・最後に個人的に気になったこと。今回のマリッジ幻影騒動でヒンメルの恋心はハッキリとフリーレンにバレてしまったっぽいこと。この事実が今後フリーレンにどう扱われるのだろうか?フリーレンのことだから、例によってスルーするかもしれないけれど、グラオザームの幻影に無抵抗だったのを見るに、フリーレンもヒンメルのことを憎からず思っていたような気がしてならない。自覚があるのかないのか、それとも今回のことで自覚したのかはわからないけれども、今後何らかの形で今回のタイムスリップがフリーレンの精神に明確な影響をもたらしたということを示してほしい。でないと「物語」における「女神の石碑編」の意義そのものが締まらないと思うので、その意味でもぜひ頼む。
・というかこの話の掲載のタイミングな。今度の金曜日にはアニメでいよいよ満を持しての「鏡蓮華」の回ですよ。で、このタイミングでエピソード人気投票の結果発表ね。エピソード人気がいちばん高いのが「鏡蓮華」なのは偶然だと思うけど、原作第118話とアニメ第14話と人気投票結果発表をほぼ同時期にぶつけてきたのはこれ、絶対にヒンフリの盛り上がりを狙ってるだろ(笑)しかもメガハウスというメーカーさんからバディコレというコンビ図柄のラバーマスコットが出るのですが、図柄未発表の最後の一つが、シルエット的に「鏡蓮華」のプロポーズシーンのヒンメルとフリーレンなんですよねw図柄の発表は「鏡蓮華」の放送後になるそうですw
※4追記:アニメ版のYOASOBIによるOP「勇者」の原作小説として書き下ろされた「奏送」に似たようなセリフがありますので、その台詞との類似をめぐる考察について補足しておきます。ネタバレを知りたくない方は次の※5まで読まないようにしてください。
「奏送」の小説の中に、魔王討伐後の帰途で受けた依頼で、必要があってフリーレンが仮死状態になる魔法をヒンメルに使うくだりが出てきます。加減を間違うと本当に死んでしまうその魔法を躊躇うフリーレンに、ヒンメルは背中を押します。ヒンメルは「君ならできるだろう?」と勇気付け、「フリーレン。撃て」とフリーレンを信じて命を預け、無事に仮死状態を解いて息を吹き返した際にも「ほら、君ならできただろう?」とねぎらいます。フリーレンが今回ヒンメルにかけた「勇者ヒンメルになら出来る」の言葉やヒンメルに命を預けたくだりととてもよく似ていますよね。もうすぐ特装版に「奏送」の小説が付属する12巻が発売ですし、たぶんここの台詞とシチュエーションは意図的にリンクさせたんじゃないかと思えます。この点についてもう少し深堀りするとつまり、フリーレンはかつてヒンメルに自分がもらった勇気が出る言葉を第118話で贈り返した。そのヒンメルは魔王討伐後の依頼の時に、同じ励ましをフリーレンに贈った。そのさらに81年後には過去へとタイムスリップしたフリーレンがまたヒンメルを勇気付ける言葉を贈る……という永遠のループになっているんじゃないかと思います。ヒンフリの愛は時空を超えて無限循環するんですね……。なんて尊い……。
※5 追記:「ありがとう」「いいってことさ」の応酬が前にも女神の石碑編第111話であった、ということをこの感想をいったん書き終わってから他の方の感想ブログ(https://x.com/yamakamu/status/1732385251840905514?s=20)で思い出しました。意図的なリフレイン演出ですね。うーんこういうところが憎らしいッ!
※6追記:「いいってことさ。お陰でとても良い夢が見れた」について咀嚼ができて新たな解釈が生まれたので補足しておく。前回の第117話の掲載直後からファン界隈では、ヒンメルがグラオザームを煽る台詞として「いい夢を見られた」とか言いそうだと予想されていたんですが、ここの台詞がグラオザームではなくてフリーレンに対して発されているのがキモなのではないかと思えてきました。ヒンメルのこの台詞自体はほぼそのまま予想されていたのに、台詞の発信者について読者の予想を裏切ってきたのは、これは単なる逆張りとかではなくて、緻密な計算によるものだと思う。先述したように、私の考えではフリーレンは84年前には今回のような激励をヒンメルに送ることは難しかったのではないかと思う。これは当時のフリーレンがヒンメルを信じていなかったというわけではなく、戦況を分析してヒンメルに指示を与えられるような経験に乏しかったという意味でもなくて、ヒンメルの想いに情緒的に寄り添った上で勇気付けることは当時の彼女にはできなかったのではないか?ということです。ヒンメル達はフリーレンのコミュニケーションのあり方が普段と違うことに、タイムスリップ当初から気付いていました(フリーレンの「ごめん」に驚く場面があります)。フリーレンをよく理解するヒンメルは、彼の知る当時のフリーレンからは決して得られない励ましをもらったことを「良い夢」と形容したのではないか。ヒンメルが生きて決して会うことのない未来のフリーレンに会えたこと。未来のフリーレンが楽しくて幸福な旅を仲間と続けていて、感情表現が豊かになっていて、ヒンメルのことを「励み」にしてくれていることを知れたこと。そしてグラオザームの幻影の中で、フリーレンと心をふれ合わせられたこと。フリーレンとの結婚は幻であっても、フリーレンがヒンメルへの信頼を、想いをちゃんと言葉にして伝え、ヒンメルがそれに応える、心と心が通い合った瞬間は決して嘘ではない。第117話のサブタイトル「奇跡の幻影」とはグラオザームの魔法が見せたものではなく、女神の魔法によってタイムスリップしてきたフリーレン、ヒンメルが本来は会うことの叶わないはずの未来のフリーレンと出逢い、心が結ばれる幸福な瞬間を分かち合えたことを指していたのではないか。そのうたかたの奇跡の時間をもらったことに対して、ヒンメルは「お陰で良い夢が見れた」と言ったのではないか。そう解釈したら女神の石碑編で描かれてきたパーティーの関係性の描写が全部がつながって「あーーーーーーーッ」という気持ちになりました(語彙力不足)!女神の石碑編の全ての話はこの第118話に集約されていく……。山田鐘人先生の構成力、恐るべし……。フリーレンと心が通じ合った時間は、フリーレンと共に生きることを諦めつつも、未来の彼女が幸せに生きることを願って働きかけと努力を続けていたヒンメルにとってまさに報酬だったのだと思う。今回の未来のフリーレンとの出逢いを全ての時間軸の自分自身に贈り続けるためにも、ヒンメルは余生で女神の聖典の解読に励むんだなと思うとさらに泣けてくる……(余談だけどなんかこういうのドラえもんの道具でなかった?先取り約束機だっけ?)。それに付き合ってやるハイターとアイゼンの方は本当に聖人だと思う。
※7ていうかフリーレン理解度のカンストしているヒンメルのことだからフリーレンも無意識にヒンメルを好いているならば、そんなことくらいヒンメルにはもうずーっとわかっていたような気もするんですよね。鏡蓮華の指輪を贈った当時の言動からは、自分の片想いであるという認識で「僕の恋に気付いてくれ、いや、気付かないでくれ」くらいの相反する想いの葛藤の揺れを感じたけれど、今回の旅7年目のヒンメルからは迷いを秘めつつ、フリーレンの方でも無自覚にも自分を好いていることを察しつつも、好きだと伝えないことを選択しようと舵を切ろうとしている、でも本当にそれでいいのか、今まさにその分岐点、分水嶺にいるかのような気配を感じる。今回フリーレンが未来から来たことで「未来で君が幸せになるためには伝えないのが正解なんだ」とわかってしまったから、結婚の幻影を見せられてフリーレンと心が通い合ったこと、フリーレンも自分を無自覚にでも愛しているのだと改めて確認できたことで踏ん切りが付き、生涯想いを伝えない覚悟が固まったんじゃないかな。次回でそんなヒンメルの老境の心情が語られたら泣いちゃう……。ヒンメルがこういう心境だった可能性が高いと私が考えるのには根拠がある。ここからは山田鐘人先生の前作「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」のネタバレになっちゃうので、見たくない方は回避してください。山田先生の前作に登場するぼっち博士は、不治の病の蔓延により人類がほぼ絶滅した世界で、病気の自分が先に死んでしまうことを見越して、自分より長く生きるロボが未来で孤独にならないために、本編中で色んな準備をし続けてきたという主人公なんですね。しかし最後の最後で、新天地でロボが新しい仲間と生きられる目途が立ちそうになった時に、「ロボと二人だけで一緒に平穏に暮らしたい」という利己的な選択をしたい誘惑に駆られてしまいます。しかしその時、ロボが未来を楽しみにしている笑顔を見て、博士は「――そうか。君は僕とは違うんだ」「いつでも前向きに、希望を持って、未来へと進んでいく」と悟るんですよ。そして微笑みながら涙を流しながらの独白がこれ。
「良かった。僕が君に捧げた時間は、僕の人生は、僕の選択は間違っていなかったんだ」
主人公は自分の願いを叶える選択をしなかったことを後悔しかけたけれど、ヒロインの笑顔を見て、自己犠牲の愛の選択が正解であることを確信して喜ぶ、これが前作のラストなわけですよ。
これって第1話で半世紀流星を観ながら「綺麗だ」と自分の人生を総括して、満足して幸せに天寿を全うして逝ってしまったヒンメルの心境そのものだと思うんです。ヒンメルとフリーレンの愛の関係性とその葛藤は、ぼっち博士とロボ少女のそれと限りなく近似のわけで。だからこそヒンメルも、フリーレンと結ばれたい欲望に身を焦がしつつも、自分より長く生きるフリーレンが未来で孤独にならないこと、幸せに生きられるようにすることを選んだ。自分の人生を愛に捧げる選択には、勇者ヒンメルとて途方もない勇気が必要だったはず。ヒンメルが自分の覚悟を固め切ったのが第118話だったのかなと、そう考えながら第118話を読むと、ヒンメルの意味深な表情の数々が本当に切ないのです。ヒンメルの愛は尊い……。これだからヒンフリはたまらない……。だけどさァ……おれぁ心が二つあるオタクだからよォ……。推しCPには俗の面でも幸せになってほしい過激派民でもあるんだよぉ……。好きなCPにはエロースもアガペーもどちらも向け合っていてほしい厄介強欲オタクなんだよぉ!!!???どうか魂の眠る地オレオール、天国に辿り着いた暁には、フリーレンとヒンメルに幸福な対話が実現するようにと願ってやみません。
<最後に>
・次号は休載……ではなくて、ちゃんと葬送のフリーレンは掲載されるそうです。おじいちゃんヒンメルの話になるそうで、ヒンメルが自分では行くことがないフリーレンの未来のために各地に銅像を建てたり、女神の魔法を解読したりする余生に焦点が当たるのだろうか、それとももっと内面的な、フリーレンに対する想いが語られるのかはわかりませんが、どのみち切ない話になりそうで、今から胸が掻き毟られそうです。おじいちゃんヒンメルの登場は第1話ぶりなので本当に久しぶりですね。どんな切り口のお話になるのやら。
・今回のバトル回、あっという間に終わってしまったんですが、どのキャラにもそれぞれちゃんと見せ場があって、勇者パーティーのみんなが本当にカッコ良かったのが満足感が非常に高かった所以です。いつかのアニメ化の際には是非、第116話~第118話をたっぷり2話分くらいかけて、尺をたくさん取って戦闘をもりもり盛ルトラークして欲しいなぁ……。あとヒンフリの結婚&愛の共闘シーンにも気合を入れまくった作画と演出と音楽でお願いしたいです(気が早すぎる希望)。MAD HOUSEさん、斎藤圭一郎監督はじめスタッフの方々、どうにか、ひとつよろしゅうお願いします。
12/9追記
<アニメ第14話「若者の特権」の放映をうけて>
・何も文句のつけられない完璧な一編を観てしまった。118話までを読んでいるとまた違った感慨もあって、胸がいっぱいになる。
・これを発見したのはおそらく私が最初だと思う。フリーレンの指輪の鏡蓮華は蕾で、フェルンの腕輪は花が咲いているという事実を。というか原作漫画読んでた時からフリーレンが「おそろいのデザインだ」と言っているわりにはフリーレンの指輪とフェルンの腕輪の鏡蓮華の意匠があまり似ていないことが気にはなっていたんですよね。
今回の放送から遡ること約2週間前の11月25日の拙ツイート
「フリーレンはフェルンの腕輪と自分の指輪が鏡蓮華の意匠でお揃いと言ってるんだけどあまり似ていない。アニメではもっと指輪がハッキリ映るのでより似ていないことが明確になる。というか指輪のほうが蓮に見えない。が、もしかしてフリーレンの指輪の方の蓮は蕾だったのでは!?と今さら気付いた」
「え???辛くないか???蕾の恋なんですか?社会性が幼いところのあるフリーレンが自覚するには……咲くには早すぎた恋ってことなんですか……???」
「アニメ12話フリーレン『想いは言葉にしないと伝わらないのに』おそらくアニメ14話の鏡蓮華回のヒンメルにブッ刺さるやつ。。。」
(注:てか今回第14話でザインも同じこと言ってましたね……)
先週第13話放映直後の予告を受けての12月1日の拙ツイート
「『葬送のフリーレン』第14話サブタイが『久遠の愛情』ではなく『若者の特権』、ヒンフリ的にキツイ演出がされる予感。未熟故にぶつかれたシュタルク&フェルン、一方で老成して冷めていたフリーレンと成熟した諦めの中で愛を沈めたヒンメルは『若者の特権』を享受できなかった、そんな構成なのでは」
「フリーレンのヒンメル&フリーレンは成熟して見えていたが指輪の鏡蓮華は蕾を象っていて、『想いを言葉にする』ことはなく愛の花が咲くことはなかった。幼くて未熟なシュタフェルは心をぶつけて仲直りして、腕輪の鏡蓮華には大輪の花が咲いた。そういう対比演出を『若者の特権』とういサブタイに仕込まれてそう」
放映終わってみたらば、この推測は当たっていたんじゃないかと思う。鏡蓮華の装飾品は原作のデザインからして蕾と花の違いがあるので、たぶん原作サイドが最初から仕込んでいた演出なんじゃないかな。
・いちばん心が動かされたアニオリは、フリーレンが指輪を見つけるシーンです。原作ではストイックな短い描写だったがアニメではフリーレンが「失くした装飾品を探す魔法」を使うシーンが美しかった。フリーレンは飛ぶ。飛行魔法は風の影響をキャンセルできないから、ぐらぐら揺れている。まるで、フェルンに指輪の意味を指摘されて動揺した内面が映し出されているかのように。フェルンに鏡蓮華の花言葉を伝えられたフリーレンは何を想ったのだろう。取り返しのつかない時間のことをまず考えたと思う。だからフェルンに「どうでもいい。ヒンメルも花言葉の意味なんて知らなかったと思うし」と突き放すように、そっけなく言ってしまう。「なくしものには慣れている」と自分に言い聞かせるように言う。多くのものを失いながら生きていかなければならないエルフの孤独を、これまでそうやってなだめてきたのだろう。指輪の意味を、それを失くすことの重さを深く考えることから目を背けるように。自分がいかに多くのものを取りこぼしてきたのか、ヒンメルが亡くなって後悔したから、人を知る旅を始めたフリーレンだった。だけどヒンメルの想いは向き合うのには重過ぎる。何も言わないまま逝ってしまったヒンメルが、何を考えて自分に関わってくれて、どれだけの葛藤を呑み下してフリーレンと別れたのか。考えると辛い。そんなヒンメルの想いが詰まった指輪が見つからないかもしれない恐怖を考えるのも怖い。そんな気持ちだったと思う。
・フリーレンは感情表現が下手だ。悲しい時に悲しい顔しないし、怒っている時に怒った顔をしない。だけどフリーレンの中ではちゃんと感情が動いている。それがあまりに些細な動きで彼女自身が見逃してしまうか、あるいは、向き合いたくないから蓋をしているだけなんだと思う(なぜ抑圧していたかは、ヒンメルにフランメを思い出すから花畑の魔法を使いたくなかったと語るエピソードが全て物語っている。同じ歩調で時間を歩めるエルフの仲間を失っているフリーレンにとって、人と関わって生まれる感情に素直になることは、孤独を増幅するリスクを孕むものだったのだ)。
・飛行魔法で空を飛び、画面の左側から光がフリーレンの視界に入る。光がフリーレンの瞳に反射してとてもきれい。作画 is そーグッド。。。原作ではその直後に回想が始まるが、アニメでは飛行する間に指輪が光る前と後で、回想が二度に分けて挟まる演出がなされる。これによって、フリーレンが失くした装飾品=想い出を見つけたことを暗示しているのだ。光の条が天にのびていくあの瞬間に、ヒンメルがあの時伝えなかった想いをもようやく「見つけた」んだと思う。この時、指輪を示す光が左側から差してくるのも演出意図があると思う。漫画とか舞台では右から左に向かって時間が流れるという法則に則って演出される。左側(下手)は未来の方向なんですね。つまり、あの日ヒンメルが誓った久遠の愛情(想いを言葉にして伝えないことで完成する愛)がフリーレンの未来を導いてくれる光の標になるんだよね。
・なお、フェルンがフリーレンの指輪探しを手伝う場面では、原作よりもフェルンがかなり語気強く真剣に訴えていて、フェルンの「それでもきっと大事なものです」を聴いてフリーレンが考え込むカットが挿入される。フェルンはフリーレンが取りこぼしてきたり、捨てたりしそうになる感情を拾って手渡してきてくれるんだよな。クヴァールを倒した村でもそうだった。「よくわかりませんが、ヒンメル様はフリーレン様を信じていたのだと思いますよ」。フェルンは本当にいい子。
・原作では必ずしもフリーレンがヒンメルの恋に気付いていたかどうかはハッキリさせていないように思じていた。心地よい行間と程よい余白によって曖昧にぼかされていて、読者の解釈に委ねられていると。でもアニメは初めから、このシーンを「フリーレンがヒンメルの想いに気付いた」解釈で描こうとしていたと思う。なぜなら第1話でヒンメルの葬儀後にフリーレンが指輪を取り出して眺めるシーンがあるからだ。第12話でハンバーグのレシピをトランクから見つける時にも、意味深に指輪を手に取って一瞬見つめるシーンがある。フリーレンは今回、指輪を見つけるのにトランクの中身をたくさん取り出している。そこまでしないと指輪が出てこなかったのも、示唆的だと思う。フリーレンにとっても指輪の存在は引っかかってはいたけれど(第1話・第12話)、トランクの奥底に仕舞い込んで、蓋をしたように、心の深い奥底に仕舞い込んで蓋をしていたんだな。指輪を贈られた意味が、無意識に気になりつつも、考えることを回避していたんだろう。その答えにようやくたどり着いた時の瞬間の、美しいきらめきが、失くした装飾品を探す魔法の効果で表現される……。こんな完璧な演出あります???第1話から周到に用意されていた伏線が、布石が、一連の描写が、フリーレンが80年越しにヒンメルの想いに気付いたという解釈を連れてくる。おかげで、原作の「一解釈」を、違和感なく大きな腹落ち感をもって受け容れられるのです。丁寧なつくりのアニメにマジ感謝。。。
・街に着いた冒頭のシーンでも鐘が鳴り、最後にヒンメルの無言のプロポーズのシーンでも鐘が鳴っていたのもアニオリでいい演出だった。フェルンが誕生日を迎える街とヒンメルがプロポーズした街を、アニメでは同じ街にしたんですね。ヒンメルから指輪をもらった時には鐘が鳴っていたので、Aパートで街に到着した時にフリーレンは鐘の音に記憶を刺激されたのだろう。アニオリ回想がそこで挿入され、最後に現在のフリーレンが思い出の時計塔を見上げる流れ。フリーレン、やっぱりあのプロポーズのことがどこかで印象に残っていたんだね……。二つのエピソードを結び付けて物語に層を与える仕事、ホント丁寧で職人技を感じる……。
・ヒンメルがフリーレンに想いを明確に伝えなかったのは、色んな意味合いが考えられる。鏡蓮華の回の後フォル爺のエピソードがある。先述したフランメの想い出を語るフリーレンの「そんな顔」を見てしまって、フォル爺の壮絶な生き様を見て、下手に関わりを深めてフリーレンを縛る呪いになりたくないとか、彼女を余計に孤独にしたくないとか、そんな高潔な意図が第一義だとは思う。それが第118話でフリーレンにキスしなかったヒンメルの勇気とつながってくる。ヒンメルはフリーレンを余計に孤独にしてしまうような言葉の誓いは贈らなかった。フリーレンと安易に結ばれるよりも、フリーレンのこれから先の生が寂しい孤独なものにならないよう、銅像を遺して思い出の痕跡を散りばめ、仲間と過ごす楽しさや人と関わり合う大切さを魔王討伐の10年の旅で精いっぱいに伝えて来たんだよね。今のフリーレンの変化はヒンメルの愛のおかげなんだと思うと何も言えなくなってしまう。あの日フリーレンに指輪を嵌めて誓った久遠の愛情は長寿であるエルフのフリーレンのために本当の意味での永遠の愛を贈るためのものだと思うし、その覚悟の表れでもあると思う。
・一方でヒンメルは無償の愛だけではなくて、フリーレンと結ばれたい欲望を持つふつうの男性だったことも第117話、第118話で明らかになってしまった。フリーレンのことは好きだから結ばれたい。だけどフリーレンを孤独にしたくない。鏡蓮華の指輪を贈った時のヒンメルも既に、気持ちは一生伝えないことにほぼ決めていたのではないかと思われますが、ずっと恋心を秘めて抑え付けたままにしているものだから、想いが膨れ上がってこぼれそうになる瞬間だってあったと思う。その日たまたまフリーレンが鏡蓮華の指輪を選んだから、その機会を利用して溢れそうな自分の気持ちを伝えたという形にして、自分で自分を納得させたんだと思うな。フリーレンはハッキリ言葉※にしないと伝わらないタイプなのでヒンメルはフリーレンには気付かれないと確信していたと思う。でもほんの少しだけ、縋るような気持ちで、気付いてくれることに賭けていたんじゃないかという気もする(※混沌花の回のザインの回想でハイターが「フリーレンは意思疎通も信頼関係を築くのも拙かった」「だから私はフリーレンの言葉を信じた」と語っている。つまりフリーレンはバーバル=言語的なコミニュケーションを重視するタイプ。ノンバーバルなコミュニケーションもできるヒンメルとはコミュニケーションの型が違う)。
・そういうわけで私は最近、もう一つの説を考えている。それはヒンメルは高潔であると同時に、強欲で独占欲が非常に強かったという可能性だ。ヒンメルは、フリーレンにとって一瞬で過ぎる50年を共に生きるより、その後の彼女の一生全てが欲しくなった可能性があると思うんですね。フリーレンが生きる目的を、天国でヒンメルに会うことへと変えてしまいたかった。決定的に。永遠に。これは単にオレオール(魂の眠る地)=天国と呼ばれる場所へ行く今回の旅のみを指しているのではなくて、フリーレンがこれから歩む悠久の時間を、生きて死ぬまで歩み続ける人生という旅路そのものを、天国へ行く=ヒンメルに会いに行くことを目的のものにさせてしまおうということ。そうやってフリーレンのその後の時間を全部自分のものにしたかったんじゃないか。その作戦は成功したように見える。フリーレンの時間は「ヒンメルの死後」という形で積み重なっていく(ファン界隈がよくアフター・ヒンメルと言っているやつw)。フリーレンは銅像を見る度にヒンメルを想うだろうし、勇気を出す必要に迫られた時には記憶の中のヒンメルに背中を押してもらうだろう。ヒンメルの死によって、人を知って人と関わるようになり、ヒンメルのこともアイゼンやハイターのことも、自分と関わってくれた人のことも知っていく。自分自身のことも。周りからどんなに大切に想われていたか、自分自身がどんなに彼らを大切に想っていたかを知る。そんな風にヒンメルはフリーレンの生き方に革命を起こしてしまう。そうやってゆくゆくはフリーレンが、自分の秘めた想いにたどり着いてもらうことまで含めて、ヒンメルの願いで策略だったのかもしれない。
・フリーレンが天国(ヒンメル)へ行く旅路を全うするまで一生分。そうやってヒンメルはフリーレンの人生をまるごと手に入れるんじゃないかな。結婚の誓いは片方が死んだらそれで終わりだけど、鏡蓮華の「久遠の愛情」っていうのは、遺された方が死ぬまで、両方が死んでからも永遠に生き続ける。だから118話でヒンメルはキスしなかったっていう考えもできるよなって、これは複数の方の感想に刺激されてそんなことまで考えました。
・ちなみに仏教の考えでは「半座を分かつ」「一蓮托生」という言葉があるように、運命共同体の二人は極楽浄土でも蓮の花のうてなに共に座るらしい。「鏡蓮華」にはそんな意味合いも込められていたらすてきだなと思います。
・以上、これらの解釈を踏まえてこのタイミングで勇者MVを観たら鏡蓮華と指輪の意匠にたくさん気付けて泣けると思うのでみんなも見てくれ。特にフリーレンが丸まっているポーズをしている二つのシーンに注目してほしい。一つ目は歌詞でいえば一番サビの「頬を伝う涙の 理由をもっと」で、冷たさを感じさせる青みを帯びた光の中で孤独に涙を流しているフリーレンの場面。もう一つは終盤にある。これは相互さんの発見ですが、鏡蓮華の「蕾」の指輪のカットの直後の卵を抱えるフリーレンのカット、周りの蓮華?の花が「蕾」から花開いていってるんですよね。そしてフリーレンが温める卵の殻にはヒビが入っていく。直後の最終カットではヒンメルにフリーレンが追い付きヒンメルが振り返るシルエットの動画になる。背景には四羽の鳥(赤フリーレン、青ヒンメル、緑ハイター、黄アイゼン)が飛んでいくのにつれて花畑がひろがり、画面の手前では二匹の蝶(フェルン&シュタルク?)が遊ぶ。つまり、この勇者MVはフリーレンがヒンメルの愛を知って蕾だった鏡蓮華の愛の花を咲かせ、大事に温めた卵(愛の結晶?)を孵し、想いを告げることなく先へ行ったヒンメルの愛にやっと追い付いて想いを通じ合わせ、仲間達で撒いた種が大地で芽吹いて未来(いま)をつくる、というストーリーなのだと思う。公式がとんだヒンフリ強火勢。
・最後にちょっとした小ネタですが、中国語の訳ではフリーレンは芙莉蓮と書くようです。蓮の字がそのまま入っているだけでなく、「芙」にも蓮の花という意味があるらしい。狙った訳だとしたら恐ろしい……(なお「莉」の字そのものは特に意味をもたない漢字らしく、ジャスミンを意味する茉と一緒に使われるのが慣用とのことです)。
・というわけで長くなったんですけど総括として。その生き様と切ない別れ方でフリーレンを魅了し、彼女の心に自分という存在を刻み付けた勇者ヒンメル、愛の天使でもあると同時に、恋の策士でもあったんじゃないか。最近はそんな風に思えてならない(笑)