極豊前くんの総角結びが人型(魔除け)から入型(招福)になったことで、自分の持ち主である審神者に幸せになってほしいという気持ちと、己の役割が大幅に変わったと思う。
今までは武具として戦う役割のために、魔除けや護身の意味を持つ人型の結び方をしていた。
これは、唯一豊前くんの身に付けるものに宿る【願い】だった。
人型は武具につける為のものだから、まさに豊前くんは刀ということ。
顕現時から身に着けてるものだから、自分自身の魔除けを願ってのものだと思う。主の所有物という意識もかなり低かったと思うし。
一方、極では人型から入型となり、幸福が入ってきますようにという願いが込められた結び方になっている。
やはりこれも、豊前くんが身に付けるものにおいて【願い】が込められた唯一のもの。
その身を招福を祈る縁起物で飾るのは、自分自身より主を思ってのことだと思う。なんせ自分が何者であるかを託した相手な上に、大切な存在だとはっきり認識している。
幸せになってほしい、自分が主の幸せを招く存在でありたい。その思いは、主との付き合い方にも変化を及ぼしている。
初でも気の利くいいやつだったわけだけど、極では「安心してほしい」とか「主に休んでほしい」とか、とにかく主思いの刀になっている。
豊前くんはサービス精神は旺盛だったけど、献身的かというとそうでもなかった。自分にメリットがないことに関しては渋々だったり、自分目線でものを見るのが基本で、主がどう感じるかをあまり考えている様子はなかった。
でも、極になってから、目に見えて主を大切にしている。できるだけ、主の心に寄り添ってあげたいという気持ちが言動に表れている。
戦いの道具としての役割に加え、主を支え、寄り添う存在として新しい役割を得て、豊前くんは変わった。
主の日々の生活がより良いものになりますように。そんな願いを抱きながら。