異聞帯の王🦌と不可抗力でクリプターになった❄️の設定 眠気に負けた自分の尻拭い FG○二部の話をゴリゴリしてますネタバレ満載
前提
マスター楓は日本の地方大学に通っていたごく一般的な青年。献血のアルバイトに申し込んだと思ったら拉致られてカルデアへ。
突然の出来事に戸惑う楓をカルデアに所属する職員の可不可と先輩マスターの雪風に親切にしてもらい親交を深める。短い時間、たった一瞬の邂逅だったけれど、3人の中には確かにあたたかななにかが芽生えていた。施設案内を終え、ふたりとわかれた楓は一般参加者の説明会での説明を受ける。
その後、楓のレイシフト適正が極めて高いためひとり別室に移動し、カルデア職員の生行から詳しい講習を受けている最中に爆発事故が発生。Aチームとしてコフィンに入っていた雪風の生存は絶望的。瓦礫の下敷きになった可不可を助けるため、楓は炎の中へ飛び込む。
人理修復は終わり、亜種特異点も乗り越えた。多くの出会い、多くの別れを繰り返しながら走り続けた道のりの終点で、楓はそっと息を吸う。これからはきっと、緩やかに世界は元に戻っていく。抱えた悲しみは消えない。受けた痛みはまだ膿んでいる。それでも前を向こうと顔を上げた時、思い出すのは始まりの日のこと。
神名雪風。美しい名と、カルデアの上に広がる澄んだ青より透明な色をした目の人。出会ったのは随分昔のようで。それでも昨日のことのように思い出せる。氷のように冷たいかんばせに、冬の少しさみしい光に似た笑みを浮かべた人。その人がいなければ、自分はここまで走っては来れなかった。
たった一度。交わした言葉は十にも満たない。なにも知らないけれど、そのあたたかさを知るには十分な時間を過ごした。爆弾の真上、炎の中のコフィンに入ったまま冷凍睡眠をしている彼が、もしも険しい特異点の旅の中で今にも目を覚まし、駆け付けてくれたらと夢想したことは何度あっただろうか。それでも。それでも、可不可との旅に後悔はなかった。やりきった、とさえ思うのだ。
懐かしさに胸が傷む。カルデアは新所長を迎え、楓はいつも通りの日常に戻れるだろう。───可不可は?デミ・サーヴァントである可不可は、どうなるのだろうか。過ぎる不安と虚しさに俯いた時、けたたましい警報が鳴り響いた。異常事態を知らせる警報は聞き慣れたもの。けれどその後に投げ込まれた館内アナウンスから流れる絶叫と退避の進言は、これまでにないほど切迫していて。
ああ、なにかが始まってしまうのだと、楓は立ち竦んだ。
シャドウ・ボーダーに揺られながら、クリプターを名乗る來人を初めとしたAチームを想う。異星の神に蘇生された彼らの中には、もちろん雪風が入っている。あの人が。柔らかな笑みの、美しい人が。嫋やかな優しさを見せてくれた人が、敵?
だってあの人は誰かを助けたいと言った。この時代に生きる人のために、戦いたいと言っていた。それが今や人理の敵に回っている。納得がいかなくて、握った拳に力が入る。確かめなくては。雪風に会って、どうしてそこにいるのかと。強い眼差しで空を睨む。ああ、真っ白な大地に、七つの星が降り注ぐ。
クリプター 神名雪風
カルデアAチームに所属する時計塔所属の魔術師。およそ300年前に自然発生した雪の魔女の末裔のためか、ユミナに所属。その性質は魔術師に驚くほど向いていない。父方が名門一族のため、血のにじむ努力を重ねて実力を身に付けた。
時計塔に在籍している間にマリスビリー(仮)(誰も当てはまらん)に誘われカルデアへ。人理修復のために日夜訓練に励むも、爆発事故に巻き込まれ一時死亡。その後來人の七度の旅の果てに、異星の神は來人の願いを聞きいれ雪風に生きて人類の敵になるかそのまま死ぬかの選択を突きつけられる。
そのまま死ぬべきかと考えるも、頭に浮かんだ楓や可不可の元気な姿をもう一度見たいというエゴを貫き蘇生。クリプターとして生き返る。ただし空想樹の育成には極めて消極的。行く先々でそれとなく楓たちを助ける手を整えるが、割り当てられた異聞帯の王の礼光にバレて現在は礼光の異聞帯からの移動を封じられている。異聞帯では客人扱いを受けており、高待遇。本人は首を傾げている。
異聞帯の王 鹿礼光
かつて中国に栄えたという名も無き王朝がキバとの戦いに幾度も勝利を重ね存続し、巨大な国を形成したという異聞帯を束ねる王。何度も生まれ変わりその度にキバに勝利するという歴史を重ね、いつしか歴史そのものを塗り替えるほどの国へ成長。
ひとりの王が幾度も生まれ変わり、幾度も玉座について統治を行うという異常な現象は、鹿礼光という強靭な精神の持ち主を蝕み歯車を狂わせる。人間の精神限界は100年もない。80年が良いところとされているが、彼の国はおよそ500年以上たったひとりで統治されている。故に巨大に膨れ上がった王国は王の狂気によって崩壊寸前まで追い込まれており、どん詰まりのすぐそばまで来てしまっていた。
クリプターである雪風は、繰り返され積み上げられる礼光にとって、青天の霹靂だった。新たな変化、異邦の客人。同じ繰り返しの中に現れた人間に手を伸ばしてしまったのは何故なのか、礼光自身も分からない。