サンタは会員制🎄
10歳差五夏/クリスマス幼夏編/小説でなくいつもの語り/無駄に長いので伏せました
幼夏と初めて迎えるクリスマスシーズン。
街中になんとなくイルミネーション増え始めてるの見て心なしか嬉しそうにしてる幼夏。おでかけ嫌いがだいぶなくなってきたな〜て微笑ましく思ってたら「さとる、あれなに?」てクリスマスツリー指さして聞かれて「ツリーだよ」「ツリーってなに?」「えっとね…直訳だと“木”?」「??」て 無限に続くなになぜ質問に答えてる。
テレビ観ててもクリスマスに因んだCMが増えてきて、「クリスマスってなに??」ってとうとう聞かれ、本当の意味教えても小さいからわかるわけないし…って言葉につまりながら「ごちそうとケーキ食べる日だよ!」て言ってみたら全然ぴんときてなさそうな顔されるから(やべぇこれだとわかんないか。じゃなに?クリスマスって何する日だっけ?イベントにかこつけてセックスしまくる日??だめだこんなの言えない)てぐるぐる考える。そもそも自分が子ども時代にクリスマスを楽しみにした経験がなく、イヴはかつての親友の命日だから毎年しんみり過ごしてた。五の返事を待つ幼夏の目は心なしかキラキラしてる。なんとか子どもでも理解できてわくわくできる説明を……て考えてたら偶然見てた子ども向けの番組にサンタが出てきて(これだ!!)て思いながら「サンタが来る日だよ!」て教える。
「ほら、あれがサンタだよ」てプレゼント配ってるテレビの中のサンタを指さして教える。幼夏はしばらくして「そっか」て頷くから(あれ?クリスマスは知らないのにサンタは知ってるのかな??)て不思議に思いながら聞いたら「プレゼントくれるおじさん」て。「そうそれ!そのおじさんがプレゼント持ってきてくれる日だよ」って教える。そっか「サンタ」て名前知らなくても存在はなんとなく知ってたのか〜〜てほっとしたのも束の間、幼夏はツリー嬉しそうに見てたときと違ってサンタには反応薄い。
(もしかしてサンタは存在しないってこともう知ってんのかな……俺もガキの頃そんなかんじで冷めてたしな)て思ってたら幼夏が「ぼくのとこはこない」てちっちゃく呟く。(※幼夏の一人称は五の影響で「ぼく」)
バッッて勢いよく振り向いたら幼夏が露骨にさみしそうな顔してるから「来るよ!!」て思わずクソデカ声で叫ぶ五。「こない」「今年は来るよ!!!」「いいこじゃないから」って言われて(なんっっでそんなことだけは知ってるんだよ教えたの誰だ)て憤りながら否定する五。びっくりした顔の幼夏に「なんで?」て聞かれて(えーっとえーーっと)て高速で頭まわした後真剣な顔で「すぐる、サンタは会員制なんだ」て言い出す。
「会員制」の意味がまるでわかってない幼夏がぽかんとする中で「サンタは会員になってないと来てくれないの。すぐるは今までしてなかったけど、今年は僕がちゃんとすぐるの会員登録しといたよ」「とうろ…?」「えーっと、サンタが来るように手配しておいたよ」てまくしたてる。いきなりよくわからない言葉並べられて混乱してる幼夏見て(えっうそ今のじゃ説得力ない?!)て勘違いして咄嗟に財布の中に入ってた適当なカード取り出して「はい!これすぐるの会員証!」て渡す。英語や数字ばかりでなにが書いてあるのか全くわからないカードを不思議そうに見つめる幼夏。(えっうそこれでも足りない?)て焦りながら「ぼ、僕が選んだサンタはすごいよ!すぐるにすごいプレゼントくれるよ!あとそのカード持ってると全国の百貨店で割引きいたり、空港で特別なラウンジ使えたりって色んなことが…」てVIP御用達カードの特典まで話し出す。ますます混乱する幼夏に「とにかくサンタ来るよ!」て説く。
幼夏がそろそろと顔あげて「ほんとう?」てそわそわ聞いてきた瞬間「来るよ!」て力強く言う五。途端に幼夏がぱぁーーって顔明るくして「やった!」て喜ぶから五も内心(…ッッシャァ!!)てなりながら一緒に飛び跳ねて喜んだ。
以来五からもらった会員証(※チタン製のクレカ)を毎日持ち歩いて度々取り出しては嬉しそうに眺める幼夏。「す、すぐる〜〜それなくしたらサンタ来れなくなっちゃうから僕が預かっ」「やだ!」「……はい」て会話何度か繰り返し、しぶしぶクレカ利用停止の手配する五。(まぁこんだけ喜んでくれるならいっか)て今日も嬉しそうにカード眺めてる幼夏見ながら思う。傍目から見ると「クレカ掲げて嬉しそうにしてる幼児」だからなんか風刺画みたいな光景だけど。
「それは特別なサンタの会員証だから外では出しちゃだめだよ。見たらみんな羨ましくなっちゃうからね」てあながち嘘ではないこと言い聞かせて幼夏のリュックにしっかりしまわせてクリスマス用の買い物に出かける。部屋に飾る用のツリー選んで、プレゼント入れる用のでっかい靴下も選んで、ついでになんとなく気分出るかなと暖炉型ヒーターまで買う。
後日幼夏の予防接種のために2人の家に訪れたしょこさん。久々に足踏み入れた部屋の壁中にLEDライト貼られてるわでっかいクリスマスツリーはピカピカ光ってるわ暖炉型ヒーターまであるからなんともいえない顔になる。
嬉しそうに「あのね、サンタくるんだ!かいんとうろぅしたから!」て伝えてくる幼夏に「よかったな」て言いつつ五のほうチラ見したらにこにこしながらも(余計なこと言うんじゃねぇぞ)の圧がすごくて笑う。続く幼夏の話をひとしきり聞いて五の作り上げたサンタ設定がなんとなく見えてきたところで(五条やべぇ〜〜どんだけサンタ知識ショボかったらそうなるんだよ)て思い始めるしょーこさん。もはや「サンタ」が年会費製のサービス的な概念になってるのやべーって。でも幼夏は心底嬉しそうにしてるから全肯定してる。
その後「あのね、これはね」て五に買ってもらったツリーや靴下嬉しそうに説明してくる幼夏にうんうん頷き話聞いてくれるしょーこさん。「暖炉まであるしサンタも安心だかな」て言ったら幼夏が「うん!」て嬉しそうに頷くから頭撫でて、じゃーそろそろ仕事もあるし帰んなきゃって立ち上がったら突然「あ、でもえんとつが…」て言い出す幼夏。暖炉型ヒーターは当たり前だが電動なので煙突はない。「サンタは煙突から家に入ってくる」てこの間テレビで知った設定思い出して「えんとつないとサンタこないかな」て突然気づいて不安そうに言い出す幼夏になんて答えようかと考えてたら、しょーこさんが幼夏見てくれてる間にってベランダで洗濯物片付けてた五がすごい勢いで駆けてきて「煙突なくてもサンタ来るよ!」て言い出す。
幼夏の前だからにこにこしながら、でも必死に「僕が選んだサンタはすごいから!任意の場所から場所へ高速移動可能!この暖炉もサンタの移動先に設定しておいたから!」て畳み掛けるように言うからまた知らない言葉ばかりで混乱する幼夏。笑っちゃだめと思いつつ必死すぎる五の姿にこらえきれず俯くしょーこさん。「えっと、つまりすぐるがすきな○○(アニメキャラ)みたいに瞬間移動ができるよ」「…そうなの?」「うん、煙突なくてもいける。そういう特別なサンタ選んでおいたから大丈夫!」て言われて安心する幼夏。耐えきれず吹き出し「まだ仕事残ってるから帰るね」て息も絶え絶えに2人の家を後にするしょーこさん。
段々クリスマスが近づいてきた頃、(そういえばすぐるがプレゼントに欲しいものってなんだろ?)て思い始める五。ここまでサンタ像作ってきたし、ここで外したらだせぇなって慌てて幼夏の欲しいプレゼント探り始める。手始めに「すぐる♡クリスマスプレゼントなにが欲しいの?僕にだけ教えて♡♡」て言ってみたら「だめ」て一言ぴしゃって言われて撃沈する。うそぉ、て思いながら何度かトライしても全くだめで次第に焦り始める。
(迂闊だった、僕なら本当になんでも買ってあげられるからってすぐるの一番欲しいクリスマスプレゼントの調査怠ってた……)て落ち込みながらなんとか普段の幼夏の言動から欲しいものを割り出そうとする。でも幼夏が基本欲しそうにした物は今まで自分が殆ど全て買ってあげてる。おもちゃも絵本もゲームもお菓子も。本人にすら「そんなにいらない」て言われる程にそうそれはもう、見境なく。だから五にとっては尚更のこと謎。ちなみにこの貢ぎ方は五父そっくりなことに五は気付いてない。
正直他にまだ幼夏が欲しいと思ってるものの検討がつかない。(でもこんだけ楽しみにしてるし、絶対なんか一番欲しいプレゼントあるはずなんだよな)て思う五。言ってくれたらなんでも用意するのにって歯痒く思う。でも幼夏は一向に教えてくれないし、むしろ「サンタなら自分の一番欲しいものわかってくれる」て確信があるのか会員証を毎日眺めてにこにこしてる。そんな幼夏と自分の作り上げたサンタ像の関係に嫉妬する五。
たまらずしょーこさんへ連絡して「うるっさ……」て言われながら「すぐるが欲しいプレゼント教えてくれないんだ」て電話相談。雑に「あーアレは?アレあの、“サンタさんへの手紙”書いてもらうやつ」てアドバイスもらう。要するに「サンタさんに渡しておくから、欲しいプレゼントのリクエスト書いてね」ってやつ。言われた瞬間に「……それだ!!」てなる五。(どこまでもサンタ知識ショボ)とか思うしょーこさん。どうでもいいけどこの3人全員サンタを呼び捨てしてるし誰も“サンタさん”なんてかわいい呼び方しやしねぇ。
うきうきしながら「すーぐーる♡サンタへのプレゼントのリクエスト書いて♡♡」て幼夏に便箋と封筒渡す五。「?」て顔してる幼夏に「すぐるが書いてくれた“サンタへのお手紙”を僕がクラウドへ上げて、サンタはそれを元に世界中のユーザーへ向けて最適なプレゼント届けるからだよ!」とか言い出すから幼夏はまたよくわからない単語に混乱しながらも頷いて、五に背中向けてこそこそ書く。
「できた」てちょっと恥ずかしそうに渡されて「ありがと♡」て受け取る五。いつも通り寝かしつけた後でこっそりベッドから起き出し、もらった便箋読んでみたら「サンタのブーシ」てたどたどしい字で書いてある。(ひらがなカタカナ使い分けられて偉いねすぐる〜♡♡)となると同時に(サンタの武士ってなに??)て宇宙猫顔
アニメキャラかなんかか???てひとしきり考えた後であ!て思い当たる五。これもしかしてすぐるの中では「シ」じゃなくて「ツ」なのかなって。たぶん書きたかったのは「サンタのブーツ」。いわゆるクリスマスブーツ、赤いブーツにお菓子がいっぱい詰まってるクリスマスの定番プレゼントのあれ。(そういえばスーパーとかコンビニ行くとすぐる絶対コレの前で止まるよな)と思い出す五。「買う?」て聞いても首振るから買ったことはなかったけれど。
(サンタからのプレゼントあんなに楽しみにしてたのに、そんな些細な物でいいの??)て思って他の読み方探すも、一番しっくりくるのは「サンタのブーツ」。半信半疑だった五も、その日以来一緒に買い物に行く度にクリスマスブーツコーナーの前を通ると嬉しそうにする幼夏はを見て(やっぱコレか〜)と確信する。一人で外出する暇はあんまりないから通販で幼夏が一番喜びそうなの選んでも取り寄せ、こっそりクローゼットの奥底に隠しておく。
イヴにはクリスマスツリーがとてもお気に入りだった幼夏抱っこして都内のイルミネーション見せに行って、家でごちそう食べてケーキも食べる。お風呂上がり後にそわそわとベッドに登りながら「サンタくるかな」て言ってる幼夏に布団かけて「きっと来るよ。もし来なかったら僕が鬼ほどクレーム入れてあげるから大丈夫」「くれー…?」て話し込んでる。絵本読んであげてぽんぽん寝かしつけ、すやすや眠る幼夏に気づかれないようベッドから起き出してクローゼットの奥に隠した「サンタのブーツ」を取り出す五。幼夏の枕元に用意したでっかい靴下にそっとさしこんで、すやすや眠る幼夏の顔見て(かわいいな)て心底思う。思いながら「おやすみ、すぐる」て囁いて眠る。
翌朝幼夏の興奮しきった声で目が覚める後。「さとる、みて」て急かされながら顔向けたら昨夜自分が仕込んだクリスマスブーツを幼夏は掲げてキラキラした目で満面の笑み。サンタきた、てにこにこキラキラ嬉しそうに跳ね回る幼夏見て(あ〜〜!外してなくてよかった!)てほっと胸を撫で下ろす五。これで「イヤ!」とか言われたら僕泣いちゃうわ。
「よかったねすぐる〜〜♡なにもらったの?」「サンタのブーツ!」「超いいじゃん。あけてみよ」て2人でベッド上にお菓子広げる。幼夏は見るからに喜んでくれてるからまぁいいんだけど、それでも(本当にこんなんでいいの??)て疑問の残る五。お財布に優しすぎる故に五条家坊ちゃん育ち故に思っちゃう。ソフトに聞いてみたら「うん!」て元気に頷かれるから(いいんだ〜)て納得する。
まぁそもそもすぐるの欲しいものはクリスマス関係なく僕が買ってあげるし、てサンタへの謎の優越感にひたってるときにふと幼夏に「さとるは?」(※さとるはどんなプレゼントもらったの?の意)て聞かれて「僕……にはサンタ来てないよ」て答えたら「なんで?」て不思議そうに聞かれる。普通なら「大人だからだよ」で済むもこの頃の五はまだ16歳だしそもそもそんなサンタ知識がないので言葉に詰まる。えーっとえーっと……て考え出した末に「僕は去年サンタ解約しちゃったから」て言い、またよくわからない言葉に幼夏は首傾げながらも「じゃあいっしょに食べよ」てブーツに入ってたお菓子持って笑った。
おしまい