あんステML、初日配信の感想です。流星ブルーに出会えてよかった。
※篝火の具体的なねたばれを含みますが、個人的に知らずに観てほしいところは伏せています。
(配信終了後に思い出しながら書いているため、記憶違いがあるかもしれません)
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■運命の出会い
一幕、夜のプールでの出会いのシーンがすごくいい。
追憶ステの千秋先輩の気弱なナードぶり、DRに引き続き、すごく好きだな。この気弱な千秋先輩と、かみさま奏汰くんの会話だけで、今回のMLへの期待がすごく高まる。
なんてドラマティックな「ボーイ・ミーツ・ボーイ」だろう!
あんスタ世界の「ふたり」には、幼少期からの縁ある人たちも多い。けれど、千秋先輩と奏汰くんは「ここで出会った」ことで運命が動き出した最たるふたりだなあ。(レオくんと瀬名くんや、宗くんとなずな、英智とつむぎくんもそうだなと思う)
■かみさま
かみさま奏汰くんのもつ、幼さと賢さと清らかさのバランスが、絶妙だった。
何て表現したらいいのかな。人外のもつピュアさというだけでなく、人間の子どもがもつ稚さも感じた。拗ねたり、得意げにしたり、未発達な生物がもつ生々しい稚さだ。
かみさま奏汰くんって、極端に言えば乙女で聖母のセカイ系ヒロイン、のイメージがあった。これは後に出てくる「ぽかぽかします」とかが如実だ。けれど、ステ奏汰くんはその土台に「生きている人間の男の子」感がある。これも、ステで役者さんが演じる醍醐味かなと思う。こんなにふわりとしているのに、確かにそこに存在している。息をして、歩いて、生きている。
今回のステでは「伝説」における病と生贄の存在がやや薄められていた。だから、「土着宗教の生き神であり、かつ有事には捌かれ食べられることで民を救う生贄である」という奏汰くんの悲壮感は原作ほどには感じられなかった。だからこそ、超越者の悲哀というだけでなく、「今そこにいる人間の男の子」の身に起きた出来事としての残酷さも強くて、味わい深かった。
■何者でもない彼ら
かつて目立たない地味な生徒だった千秋先輩。そのクラスメイトの鬼龍先輩と蓮巳さん。
無力で、無名で、何者でもなかった彼ら。
まだ何者でもなかった蓮巳さんが、それでも革命の情熱に燃えて署名を集めているの、すごくいい。しかしこの「署名集め」こそ、「民意」という数の暴力が革命の凶器となるきっかけだった。
千秋先輩と蓮巳さん。善良で熱意のあるふたりが、この先全く違う道を歩んで(クロスロードで交差しつつ)また海神戦の舞台で邂逅すること、群像劇の醍醐味だなあ。
■ヒーロー未満
一年生の春に出会った千秋先輩と奏汰くんは、鬼龍先輩の事件と斑さんの忠告を受けて、その後一年以上交流が途絶えてしまう。原作通りなんだけど、おもしろい展開だなあ。
奏汰くんを人間にしようと最初に心を砕いたのは、千秋先輩ではなく斑さんだった。「君みたいな普通の子は関わるな」と言われて、千秋先輩は身を引いた。主人公らしからぬ選択だ。ここで彼が即座に、「忠告なんか知るか! 俺は深海くんと友達になるんだ!!」と言える人だったら、篝火の展開は変わっていただろう。でも、もし千秋先輩が初めからそう言える人だったら、彼はきっと「変身」を必要とせず、奏汰くんと「同じ」がないままだっただろう。
■海洋生物部
「さびしいって、なんですか?」
MLの中でもすごくいい台詞のひとつだ。
今更だけど、学院の噴水も、海洋生物部の水槽も、奏汰くんが「誰かの願い」ではなく自分の願いのために信者に叶えさせたことだったのか……。
千秋に出会わなければ、「さびしい」ということも知らず、「自分の願い」なんて知ることはなかったのかもしれない。そう思えば、その願いは尊い。
彼が「かみさま」だった象徴でもある立派な水槽を、そうとは知らぬ薫くんと、そうと知る神崎くんが一緒にお世話して、「これは海洋生物部で育てている魚です」という顔をしているの、いいなあ。無から有を生じさせるのは奇蹟でも、生じたそれを維持するのは人為だ。
■「お役目」
神崎くんのお役目、「誤解と無知から生じる諍いから神を守る」といったものに変わっていた? 後の海神戦で奏汰くんが「大丈夫ですよ、いざとなったら僕はちゃんとお役目を果たしますから」と言ったとき神崎くんが笑顔で頷いたのでびっくりした。けど、確か篝火の「道を過った神をお隠しする」という言葉を、「!!」の神崎くんは「神を只人へと解放する」という意味に捉えていたのだっけ。
私は篝火の「神をお隠しする」に「レイアースだ!!」とときめいた身なので、ステでマイルドになってしまったのは少しさびしかった。でも、これも神崎くんの解釈かもしれないね。
奏汰くんが「切り刻まれて生贄になる」ことを覚悟して告げた「お役目」を、神崎くんは「部長殿は『神』の座を退いて只人となる」と解釈し、「我も只人の颯馬として『部長殿』にお仕えし、お逃ししよう」と解釈して笑顔で頷いたのかも? 好きな展開です。
■友情
「馬鹿野郎! 君は、まっとうなお兄ちゃんになるんじゃなかったのか!?」
千秋先輩と鬼龍先輩の友情が好きです。
消え入るような「君の手当てがしたい」から始まったふたりの友情。奏汰くんが叶えた千秋先輩の願い(仮)は、鬼龍先輩から千秋先輩への信頼を損ねる結果となった。
結局、三毛縞母の力で鬼龍先輩の妹に危害が及ぶことはなかったのだろう。けど、DRで鬼龍先輩が妹の送り迎えをしてるのだって、過保護なほど心配してるのだって、この一件が原因なんだよね。
たとえ実害がなくたって、「不安」は精神を削るものだ。あの一件は千秋先輩の意思とは関係なかったけど、猿の手みたいな深海システム発動の発端は千秋先輩にあった。それを、誤解が解けたからと謝って、縁を結び直せる鬼龍先輩は善良で、強い。
流星隊を脅したのは彼の「変われなさ」を表しているけど、それもまた「変身したくて、しかし簡単には変われなくて、もがくふたり」という描写なんだろう。
鬼龍先輩は、千秋先輩と再び友になるために声を掛けることができた。自分を変えるための行動が起こせた。そして、このときの千秋先輩は、奏汰くんに同じ行動を起こせなかった。
■モノローグ
時は進んで基年の年末。まさか、ここで最初に泣かされるとは思ってもみなかった。
流星隊一年生、すごくいい……。追憶の物語の先にこんな未来が待っていること、泣いてしまう。
大掃除に残る千秋先輩が、ここで奏汰くんに後輩たちを任せられるのが感慨深い。
一年前の初夏にはまだ友達ですらなかったふたりが、今はこうして背中を預けあって、新しい仲間を得て「ヒーロー」をしている。じーんとしてしまうよ。
■革命の足音
ストーリーテラー三毛縞斑が魅力的すぎて苦しい。
動と静、陽と陰の緩急がすごい。
『MaM』のステージは、アイドルとしてあまりに完璧で、キラキラしている。このステージの完成度が、『あんステML』におけるアイドルという夢や理想への説得力を強力に底上げしている。
一方で、いちばん外側で「現実の我々」と関わるのもまた斑さんだ。
MLにおける斑さん、物語の根幹に関わっているのに、なぜストーリーテラーをしているんだ……。そんな外側にいる男じゃないだろう……(だいすきです)。
笑顔で茶目っ気たっぷりにお喋りしていたかと思えば、冷たく落とす「くそくらえだ」。たまらない。
■蓮巳敬人の「変身」
この革命で蓮巳さんが行った最も非道なことが、奏汰くんに「生徒会のおかげです」と言わせてその神性を汚したことだと思う。そして鬼龍先輩の暴力を利用して抑止力としたこと。
原作の蓮巳さんには、自分が行った事の重大さに気づかない詰めの甘さと、衆愚の暴走に想像が及ばない善良さがあった。
もちろん、その青さこそ蓮巳敬人の隙であり至らない点であり、抗えない魅力の一つだ。しかし、ステだともう少し、自分の行いの残酷さに自覚的に思えた。
Valkyrie戦の後、蓮巳さんは徹底して悪役の言葉遣いをしていた。それは己を鼓舞するためであり、他のふたりに愛想を尽かされるためであったのかもしれない、と今更気づいた。蓮巳さんもまた、悪役に「変身」しようとしていたんだ。
■鬼龍紅郎の理由
詰めが甘く、青臭く、しかし非道の覚悟をもって修羅の道を行く蓮巳さん。神崎くんを除名し鬼龍先輩にも「ここまででいい」という彼に、胸倉掴んで啖呵を切る鬼龍先輩。かっこいいなあ。
正直、篝火における鬼龍先輩って、何を考えているのかよくわからないところがあった。『紅月』として生徒会の革命を遂行し、Valkyrieの処刑も、深海奏汰の神性剥奪も、龍王戦にも海神戦にも文句なく臨む。彼の正義の在り処がよくわからなかった。でも、ステで、少しその糸口が掴めたかもしれない。
たぶん、鬼龍先輩は、アイドルとして輝かしいステージに立つという自分の『夢』を叶えてくれた、蓮巳の旦那への恩義と愛とでここにいる。だから、今度は蓮巳の旦那の『夢』を叶える手伝いをしている。その過程で、幼馴染を見殺しにしても、守沢が叱ってくれた暴力に再び手を染めようと、突き進むしかなかった。男に二言はないから。自分は蓮巳を見捨てたくないから。そう自分で決めたのだから。
そう思うと、このふたりだって「ボーイ・ミーツ・ボーイ」なんだ。
■ヒーロー失格
MLにはスバルくんがいないので、千秋先輩が夢を棄てかけるパートに立ち会ったのは鬼龍先輩だった。そして、残酷なことに、鬼龍先輩は千秋先輩に発破も掛けず失望もせず、立ち去ってしまう。「いつかこの学院が今よりはよくなったら、おまえもまた笑ってくれよ」。それは、友達だった守沢が、鬼龍先輩にとって戦場の同志ではなく守るべき一市民になった瞬間だったのかもしれない。
かつて戦場へ行くという幼馴染を止めず、彼が傷つくのをむざむざと見るはめになった鬼龍先輩は、もう友人を戦争へ送りたくなかったのかもしれない。しかも、今回その戦場で武器として血を流させるのは、かつて守沢に叱られた己の暴力なのだから。
■海へ
「いつかきっと報われる」という夢想から、「どうして報われないんだ」という恨み節を経て、崩折れる千秋先輩。そこへ響く電話の音。走れメロスの「やんぬるかな」から「ふと耳に、せんせん、水の流れる音が聞こえた」と同じ流れだ。悪夢が覚める瞬間だ。せせらぎの音の代わりに「海」の一言が耳に残るのがいい。(原作だと、ヒーロー番組の音楽が千秋を立ち上がらせるのでさらにドラマティックなシーン。けれど、「三毛縞斑の頼み」に強い意味を付与しないステの演出もよかった)
「ようやく願いを言ってくれましたね」この奏汰くんが、本当に無垢な神様の顔をしている。ライフセイバーの千秋は、人間としての深海奏汰を海から救ったし、神様としての深海奏汰を不浄から救ったんだ。
■流星パープル
このドローンが! 星の形をしているので! 世界の反対側から海上の星として呼びかける三毛縞斑の「遠さ」といったら!!
千秋先輩と奏汰くんの、抱きしめあえる「近さ」に対して、その「遠さ」が際立って辛い。なんて象徴的なんだ。
「迎えに行くから一緒に行こう。新しくアイドル活動をやり直そう。俺たちの青春を」
『俺たちの青春』!!!
胸が締め付けられてしまう。
自分が五奇人として汚れたからといって、斑さんの方舟に乗らなかった奏汰くん。斑さんはきっと、奏汰くんと一緒ならどんなに後ろ指をさされたって構わなかったのにね。
(そして、自分の悪評が三毛縞のアイドルとしての経歴に傷をつける、といって身を引いた奏汰くんを踏まえての、「!!」時点での三毛縞斑の言動よ……)
■青春
「好きな色や食べ物の話とかをしよう! 友達になろう!」
「『願い』じゃなくてこれは約束だ」
すごくすごく好きな台詞です。
手をつないで、一緒に海辺を駆けていき、AV教室で話すふたり。
先程の流星隊大掃除シーンがあるから、ここが「ヒーローのゆりかご」であることがわかった状態でこのシーンを迎えられるのがいい。
■夢
MLは宗くんがいないので、奏汰くんが舞台に臨む理由は、「友の敵討ち」ではない。
「神様ではない自分が何なのか知りたい」だから「『変身』してアイドルになる」という動機なんだね。
私は篝火の展開が好きだったので、最初は少しさびしく思った。孤高だった彼らが、生徒会の「五奇人」という名付けで友になり、そして「友の敵討ち」という熱を篝火の奏汰くんや七夕の宗くんに灯した展開が好きだった。無垢で孤高だった奏汰くんが、初めて得た友のために「敵討ち」なんていう血腥い理由で戦地に向かうことに胸が熱くなった。
けれど、MLの展開もまたいい。
「君は何になりたい? 何を願う? 君の夢は何?」というテーマに対するストレートなアンサー。
奏汰くんが戦場へ向かうのは、誰のためでもない、誰の願いでもない、自分のため。自分の夢を叶えるため。神様としての自分ではない、アイドルとしての自分を知るため。
そしてそれは、千秋の「ヒーローになりたい」という夢とも通じる。
奏汰くんと千秋先輩のボーイ・ミーツ・ボーイの物語としては、むしろこの方がしっくりくるのかもしれない。
■変身
「世間にとっては怪人でも、君にとってのヒーローに」
「誰か一人でも信じてくれるのなら、俺はヒーローになりたい」
名言だ。篝火、名言が多いな……。
「君は流星ブルーだ」と言われて、「僕、深海奏汰じゃなくなったんですか?」と問うやり取りがとてもいい。
千秋先輩はヒーローになるために、奏汰くんは神様じゃない自分を知るために、そして二人で世界に立ち向かうために、「変身」する。
■海神戦・紅月
民衆の勢いに圧倒される蓮巳さんと鬼龍先輩に活を入れる神崎くん。ここで、笑顔を取り戻す鬼龍先輩のメンタル、なんだかすごい。目の前にいるのは「殺せ!」とか叫んでいる暴徒(たぶん)なのに、背筋を伸ばして笑顔で歌って踊ることで、ここを強制的に「輝かしいステージ」にしようとする。
蓮巳さんの危うい色気に、こう、DRを経た蓮巳さんだなあと思いました。
血塗れの修羅道のただなかで、薄紅と白妙のまほろばを歌う紅月、好きだ……。
これが「薄紅色の約束」に繋がるかと思うと胸が熱くなる。
しかし、紅月にペンラを振ることで我々は夢ノ咲の暴徒になるのか……。
一番最初に紅月が出てきた時はブーイング(本当にブーイング)していた観客が、奏汰くんの歌で静かに拍手する。
ここからの展開が、本当に熱い。
■海神戦・流星隊
海神戦の流星隊ライブ、やってくれてありがとう~!!
このライブが最高すぎて、ずっと泣いていた。(普段、そうそう舞台やライブで泣くことはないし、そもそもこれは「泣かせる」場面でもないんだけど、不思議なくらい胸に迫るものがあった)
奏汰くんが飛んで跳ねてダンスするのが、もう、感無量だった。
制服のときだって足があったはずなのに、思えば彼はずっと泳ぐように静かに歩くので、こうして全身をバネみたいに使って動くのを見るのはここが初めてだ。
これまで、水の中にいるみたいにしっとりぷかぷかしていた奏汰くん。しかし、そのダンスは機敏で、ジャンプは高さがある。水圧のない世界にやってきたんだ! 地上で、自分の足で、歩いている! という実感がワーっと胸に押し寄せて、ぼろぼろ泣いてしまった。
古い流星隊の、マントのついた衣装、最高だった。ひらひらして、羽が生えているみたい。
直前の紅月が「背筋」と「笑顔」の話をしていたことも相まって、元気なダンスと笑顔がもたらす「アイドル」の力に、胸を打たれてしまった。背中を合わせて笑顔で歌うふたりが、本当に楽しそう。
「輝かしいステージ」を、「青春」を、謳歌している。そしてこちらへ呼びかけてくれる。
歌って踊る奏汰くんの可憐さといったら!
これが、「神様じゃない彼。深海家の奏汰様じゃない彼。ヒーローでアイドルの、『流星ブルー』」なんだ。
知れてよかった。出会えてよかった。
しかも、選曲がまたよくて……。
こんなの聞いたら、五人で歌っているのを聴きたくなってしまう。
■エピローグ
ここで、一年生たちが「駆けつける」という展開に痺れる。泣いている千秋先輩を奏汰くんが見つけて、そして一年生たちが自分の意志で同じ場所へ集まる。「みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために」。辿り着いた夢の先である「今」の光景に、胸が熱くなる。
これも、最初から「守沢先輩を一人置いて帰れません!」と強硬に言い張って残ったわけじゃなくて、「納得いかないけど飲み込んで帰ってきちゃった、でもやっぱり何か違うな」と思い返したという流れが絶妙だ。一度は離れて、そして考え直して戻ってくる。追憶における千秋先輩と同じだ。みんな最初から完璧なヒーローだったわけじゃない。だからこそ「今」がある。
ここの曲がまた、すごくよかった。海神戦のとき「いや、こんなに泣くとは…」って思っていたのに、また泣いてしまった。
よくぞこういうシーンにしてくれた……!!と感謝した。
■終幕
そしてシンシャイに至るまでの演出も、最高だった。
これだけの物語を見せられて、その後に『五人揃って流星隊!』を浴びられる構成!
聴きたかった曲を聴けて、見たかった景色を見られて、すごく満ち足りた観劇体験だった。
篝火って、海でのシーンが象徴的だけど、「今ここで抱きしめて心が通じる」「駆けつけて手を取って側にいる」ことが根幹にあると思っていた。斑さんが地球の裏側から機材を通して贈った応援歌は、静かに響くしかなかった。千秋先輩は奏汰くんを抱きしめて手を取って助けることができた。だから、今みたいな情勢で、「離れていても心は届く」って言っても陳腐に聞こえるかなと一瞬思った。
けれど、『夢ノ咲流星隊歌』にあるように、「何億光年離れていたって心は分かる」。
あんなにコール向きの歌で、「ヒーローを呼んでくれ」という演出で、声が出せない。
そこに行きたくても行けない人がいる。まさに斑さんのドローンのように、遠くから見守るしかできない人達がいる。
こういう状況で、それでも流星隊が「届いているぞ」「大丈夫だ」「ヒーローはここにいる」というメッセージを発してくれるの、すごく救いだなと思った。声が届くかどうかというより、「流星隊がそこにいる」ということ自体が、ポジティブな気持ちを運んできてくれる。
また篝火の話に戻るけれど、千秋先輩は「ヒーロー失格十二話」で、どこへも行けなかったスバルくんの正義の声を見つけて、手を差し伸べた。「助けて」と言うこともできず震えるしかなかった宗くんの声を、聞き届けることができた。
篝火だけじゃない。MLでも、鬼龍先輩のSOSをちゃんと聞き届けて駆けつけたし、静かに溺れる奏汰くんを見つけてすくい上げた。
今回のステは、最後まで客降りがなかったし、声出しもなかった。だから「みんなのところには行けない」し、「声を聞くこともできない」。でも、だからこそ、千秋先輩の、「どこにいても見つけて手を差し伸べる」「聞こえない声を聞き届ける」っていうヒーローの力が発揮された。
会えなくても、声が聞こえなくても、「流星隊はここにいる」。
これって、『アイドル・流星隊』のもつ根幹の力だなと思った。
さらに、アンコールで彼らが「一緒にペンライトを振る」っていう、会場でも配信等でも彼らと「同じ」になれる演出を選んだのも、とてもよかった。
「『同じ』があると嬉しい」。ストーリーでも重要なこの言葉を、実感できた。
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篝火という物語のもつ熱量が凄いので、舞台はどうなるのかなと期待しながら臨みました。
「これは、ヒーローに憧れていた少年と、神様だった少年の出会いのお話」
全体的に再構成されつつも、このテーマを軸に、流星隊の軌跡として観たいものを全部観られた!という気持ちです。
これでまだ初日なのだから、これからもっと熱を増していくのだと思うと、とっても楽しみです!
通信の状況などで投稿エラーになると、投稿前の文章が消えちゃうことがあるかも。メモアプリなどで書いてからふせったーにコピペ投稿するのがおすすめだよ