【小話2】
「これしかないんだけど、それでも買うかい?」
目の前にある「バトルスタッフ」と書かれた杖は、金棒であった。
東の国の絵本に出てくるような、あるいは不良が肩に背負っているような棘のついたバットだ。
そういっても、金物にはみえなかった。私でも持ち上げられたからだ。
武具屋の主人は半笑いだった。
でも"ステータス"が紙なのでせめて目指す武器は強いものでありたいのだ。
ただでさえ王都でウッドスタッフと書かれて購入した杖が枝だった恨みは取り返さねばならない。
杖と枝って似てない?似てる。
ちなみに騙されたのではなくて「図はイメージです」というやつだ。
騙されてない。
「鬼に金棒ってね」
私は面白いダジャレや面白いコンビや面白い展開は好きだが皮肉は好まない。
この武具屋はオニというのがなんなのかしっているのだろうか。オーガや魔族じゃないんだぞ。
納得できなかったので、張り紙をして取引のうまい商人さんをスカウトして、値切りまくってやった。
やったというか、やってくださったのだけど。
手伝ってくれた商人さんには深く感謝しなければならない。
手に持ったバトルスタッフが妙に馴染んで、ワクワクしたのをなんとなく半歩下がって見られた気はするが。
暴力はすべてを解決する――!という物騒な台詞が頭に浮かんだのは否定できない。