海リエの登場人物をりえちゃんの談に則して見た場合、マリアさんを救ったのが海さんの笑顔であるなら同種の苦悩をもつりえちゃんもやはり海さんに救われるハズで……つまりやっぱり海さんには他者を救う笑顔がある……
そういうことになる。とボクは思うのです。
もちろん2人の悩みには相違もあります。
マリアさんは「失敗した自分にショックを受けていた」ので、徹頭徹尾自分の問題。そしてそこに気づいていて、どうにかできるかどうかが自分次第なのも理解しているだけ、おそらくまだ軽傷です(マリアさんが内向きなので表面的にはそう見えないですが……)。
一方りえちゃんは、周囲や受け手の姿勢を受け止め切れなくなったがために絵をやめようとまで思ったワケで。不可抗力により自分1人では間違いなくどうにもならない状態に陥っていたりえちゃんには、自身の絵を真っ直ぐ見て好きになってくれる人が必要だったワケで。
……そんな人、そうそういないんですよね。しかも仮にいたとして、相性が悪ければりえちゃんは「どうせこの人も……」とか言って寧ろ更に猜疑の目を向けたかもしれない(エマさんを最初はちょっと疑ったのが1つの例)。でも、海さんは自然とりえちゃんに寄り添うことができた。それは海さんの純粋さと、そこに端を発する笑顔のおかげ。とボクは思うのです。旅が続けば続いただけ、りえちゃんの心は癒されるに違いない。
しかし件のワンピースもとっても可愛かった……これを作ったマリアさんが、ドデカく荘厳なミラノのドゥオーモを前にもう一度服飾の道を進み出す、背中の強さたるや。りえちゃんの服も見てみたくあり。
一方の海りえ組は……オーストリアに海がないと出発前に気づけなかった辺り、流石フィーリングで旅をするコンビと言わざるを得ません。