#グッドオーメンズ、最終話でなぜクロウリーだけが裁判にかけられて、一方のアジラフェルがそうではなかったか、の話。
6話冒頭、ちっちゃいデーモンが"The trial of the demon Crowley"(悪魔クロウリーの審判開始)を宣告しているシーンがあるですけど、地獄サイドでは裁判官役のベルゼブブを筆頭に、証人、検察官、そして被告を揃えてきっちりと「裁判」を行って、クロウリーの罪状と課せられる罰を審判しているです。
"And so Dagon here is defending me?"(ダゴンは俺の弁護士役か?)
とクロウリーが尋ねているように、つまり通常であれば地獄では弁護士(!)役までいての審判が行われているということですね。加えて言えば、ガラス越しに見物人の悪魔たちも大勢ひしめいていて、傍聴席もガッツリ用意されているという徹底ぶり。非常にオープンな環境で公平?な裁判です。
一方の天国サイドでは、魅力的なうさんくささ全開のガブリエル、ウリエル、サンダルフォンのたった三人で、審判もなしにいきなりの死刑宣告。もはや弁護士がいるいないどころの話じゃない、完全人権無視の横暴っぷり。
普通逆じゃない?天国が公明正大で、地獄側が後ろ暗いものじゃない??と思うところですけど、これ何かというとですね、
"ALL lawyers go to hell"(弁護士は全員地獄行き)
という、めっちゃ基本の弁護士ジョークが根底にあってのギャグです。
日本だと違うと思うですけど、「弁護士」はshark(サメ)、blood-sucker(吸血鬼)、ambulance chaser(救急車追っかけ屋=交通事故に食いついて損害賠償請求をもちかける悪徳弁護士のこと)とあだ名されるほどアコギなビジネス、という共通認識がございまして、同じくその流れで「弁護士は(アコギな稼ぎをしているから、死んだら)全員地獄に行くのが決まり」というのが基本ネタなのです。
なので、地獄では弁護士がいっぱいいる=告発も弁護も審議も裁判もきっちり行われる、天国にはひとりも弁護士がいない=そもそも裁判て何?ということになるわけ。
この「弁護士は全員悪徳」ネタは決して新しいものじゃなくて、グッドオーメンズでおなじみシェイクスピアさんの「ヘンリー6世」にすらも、"The first thing we do, let's kill all the lawyers."(まず最初にやることは、弁護士を皆殺しにすることだ)ってセリフがあるぐらいに、これ、もはや伝統の鉄板ギャグなんです。
ということで、「弁護士は悪徳だから地獄行き」がベースにあることを踏まえて、グッドオーメンズでの裁きっぷりの違いをじっくりお楽しみ下さい。