#リゼロ14巻感想 2/3ページ目
相変わらず文字数制限いっぱい。
『唇には紅を引いて』のロズワールさんについての感想
【五章】
・『ひねくれ恋事情』特典によるとガーフィールってロズワールさんの『目の前ではなく、どこか遠くを見ている目』が気に入らないんだよね。
ただ、ガーフの野生の勘的な鋭さもあるのでそれだけじゃない気もしてきた…。元来の目が青だったことにより、黄色の方の目の事情が気になり過ぎる。
・ロズワールさんのこと<『魔人』と形容するにふさわしい>とされてしまうのは、彼にとってあまりに皮肉…
・オットーのツッコミはシリアスな場面でいつも清涼剤になってくれている…!本当助かっている…!これからもずっとそのキャラでいてくれよな!
・戦化粧で本心も覆い隠し、願いに挑む覚悟を決める儀式だと思うとたまらない。飄々とした振る舞いと裏腹に、中身がストイックで熱意に溢れてるギャップ 本当ズルすぎるから…。
・「誰?」って言われるオットーのシーンめちゃくちゃ笑った。この不憫さが癖になる…。
でも叡智の書に載る記述有無の法則は気がかり。邪竜討伐戦とか大きな戦であっても載らないこともあるし、結構曖昧なものなんだろうか。
叡智の書ってスバルのための攻略本なのかなぁって思った時もあったけど、記述が外れたルートもあるので、そうではなさそう。ただ、これがなかったらロズワールさんがエミリアたんを王選に誘う事もなく、スバルは1章で彼女と出会えなかったから、この叡智の書がどんな意味合いを持つのか本当気になる…。
・「次の機には、絶対に君を見落とすまいよ」と警戒心を高めたけど、次の機会が巡ってくるとしたら、オットーの性格も家事情も果ては酒に悪酔いするとかどうでもいい事まで念入りに調べ上げるだろうし、ピンポイントで狙い撃ちにした策とか仕立ててきそう。
・ロズワールさんの切々とした想いを聞く度に、彼の愛するものへの向き合い方は、個人的にはとても美しいと思ってしまう。
一番大切なもののために、何ができるか。文字通り彼は何でもしてきたんだろうなぁと。
何でも、というと途端にチープな表現になってしまいそうなんですが、それには想像以上の重みがあって、自分と他人、両方を犠牲に出来る人は中々いないと思うんです。
身を切る覚悟があれば、自分を犠牲にできる。
非情に割り切れるなら、他人を犠牲にできる。彼はどちらも果たしてきたけれど、親しい人達を天秤乗せて何も感じないほど、人間性を捨てきれてもいないんです。
10巻の289Pでスバルがベアトリスについて話そうとしたとき、道化師の表情から余裕が消えるんですよ。
「ベアトリス」と口の中だけで呟くんです。
…ロズワールさんがさぁ、ベアトリスを犠牲にして平気なわけないんだよ…っ!!
ずっと、見守ってきて、苦しみを知っていて、そのベアトリスがスバルと打ち解けてきたことを喜ばしそうにしていたのに、それなのに…。
400年前の聖域でしがらみもなく笑っていた姿を思い出すほど辛くなる…。
ベアトリスに限らず、「私の幸福とは無関係に、私にとって数少ない好ましい人々には幸せになってもらいたい」って本気で思ってる人なんですよ…。
でも、彼には最適解が見えてしまうんだ。分かってしまうんだよ。自分にどういう行動を強いるべきなのか。
こうした葛藤の片鱗を感じるたび、彼の望みがいかに険しい道なのかが窺い知れるんですよね…。
幸せを願った人達すら利用しないと辿り着くことは叶わない。途方もない代償を払い続けて、ようやく手が届くかもしれない願い。
だから、悪辣に非道を行う。そして、身勝手な感傷を誰にも言わない。この不完全さがたまらなく愛おしい。
自分の行いの善悪はちゃんと分かってるけど立ち止まろうとしない姿はもはや高潔だと思う。 手の届く範囲で他者の幸せを願える人で、それを壊す痛心だって本物なのに、まだ自分は削ぎ切れてないって苦心するところが狂人になり損ねたニンゲンらしくて本当に好き。
そしてなお、律する意志の強さがまた素晴らしい。どんな犠牲を払おうと、悲しくあろうと「後悔はしていない」と断言する覚悟の極み。
叡智の書を手にしていても、誰にやらされているわけではなく、あくまで目的を完遂するのは自分の意志。そしてその責を残さず全て自分に科せるところが良い。
願いに辿り着けず、夢潰えたとしても、何も恨まず、決して言い訳をしない。ヘクトールを咎めたように、その生き方を選んだのは自分なのだから。最後まで己が業を抱え込み、最後まで自らの力不足だけを嘆くんだ…。
己の誇りに恥じ入るようなことはしていないガーフィールのように過去と向き合い、前を向けということを同じようには出来ないんですよ。
そうするには手放してきてしまったものや踏み躙ったものが多すぎる。そうしたものたちがあるのも、唯一の願いに尽くす道を変えてはならないと、より彼の意志を強固にしていった 一因なんじゃないかなぁ。
何より、エミリアたんやガーフィールとは過去への囚われ方が異なるんですよね。大切な人にもう一度会える方法を知っているという点において決定的に。
誰だって、失った人を取り戻せるのなら、その方法に縋って懸命にならざるを得ないと思うんですよ…。だから言葉だけの説得では届かないんだ。
「やり方さえ変えてくれれば」とスバルは言ってくれたけど、それでは叡智の書が示す道への最善を尽くせない。書を遵守する事を止めてしまえば恩師との再会が確実性を失う。唯一の希望を捨てることになる。それがどんなに恐ろしい事か。その為に積み上げてきた年月と犠牲を棒に振れるわけがない。四百年は軽くない。
けれど、スバルが正しい。ロズワールさんが間違っている。それだけは揺るがない事実。
・リゼロはスバルの能力上、『死』が多く登場する作品ですが、決してその概念が軽くならないところがとても好き。
死に戻りを駆使しても救えなかったレムがいるように、
ありうべからず今の世界でスバルの死を嘆く人がいるかもしれないように、
何より、魔女たちに囲まれて「死にたくない」と吐露したスバル本人がいるように。失う事が決して安くならない。
その絶対性があるからこそ、大切な人を何度も救い、取り戻してきたスバルが、いかに凄い奇跡を起こし続けているのかって常々感じるんですよ。
一方で、およそ人智の限界まで上り詰めた稀代の魔法使いが、富も名誉も友人も、大戦での勝利でさえ目的のために投じて尽くし、これだけ積み上げて、四百年の月日を懸命に捧げてもなお、たった一度の奇跡すら起こせていない!!
このままならなさに本当胸が締め付けられる…!
世界の法則を覆す神の如き所業をしているのがスバルで、ロズワールさんは未だその境界線を越えられない『只人』でしかないって考えると相当ぐわーーっしんどいーー!ってなるんですよ…!
死に戻りは万能ではないけれど、その力が無ければ白鯨討伐は出来なかったし、初見殺しのペテルギウスは確実に打ち破れなかった。
何より、命を落としていたはずのエミリアを救えなかった。
人生が一度しかない人達にとっては決して届かない大成。他の誰にもできない。
ロズワールさんはやり直しができるスバルをずっと羨望してきたんだろうなぁ。
その相手が、絶対的な力を封印して『自分と同じ只人』の立場に成り下がって勝負を挑んできた。
これほどの煽りがあるだろうか。
奢りと見受けずになんとしよう。
相応以上に、内心掻き毟られたと思うんですよ。あのロズワールさんが声を荒げるほどに。
だって、只人のままでは何も覆せるはずがない。四百年前、大切な人達の迫る脅威に惨敗を期した彼にはその事実が痛いほどわかっているはずで、己の力不足を嘆いた悔恨が、矮小な人の身で叶える限界を悟らせてしまったと思うんですよ。
スバルのように繰り返しが出来るなら、ここまで苛烈な策は敷かなかったかもしれない。
フェリスのように治癒魔法の才能があったら、千年かけても青の魔法だけを極めて愛しい人を蘇らせることができたかもしれない。
本当この人、心の底から望んだものは今まで何一つ手に入れられていないって思うと泣ける…
死に戻りも出来ないし、治癒魔法の才もない。
残された唯一の手段が叡智の書だったんじゃないかな…。只人の領域を超える最後の希望の道しるべ。
その書にどんな苦難が書かれていようと、懸命に尽くした先にしか最良の結果が得られないと信じた四百年を、ちっぽけな少年が、何も失わず何も手放さず、全てを救って結果を変えると大言壮語を言っているんだ。まずい完全に地雷踏んでる。
これが本当に言葉だけなら、ロズワールさんも受け流して笑っていられたと思う。けど、オットーという盤外の駒の乱入を皮切りに、戦況は大きく傾いてしまっている現状。焦燥感は尋常ではないし、計り知れない…。
『STRAIGHT BET』というスバルがロズワールさんと同じラインに並ぶ、やり直しのきかない一度きりのチャンスで只人として挑む世界。
その条件の上で状況を変えるからこそ、ロズワールさんに初めて響いたと思うんですよね。これが無限の挑戦権を得ている特別なままの主人公が行ったことなら、きっとあそこまで動揺はしなかった。
結果が全てだと言い張る彼が、その結果をただのナツキ・スバルに覆されそうになって、ようやく彼の固定概念にひびが入り始めたんだよ!!激熱!!
・「四百年、私は一人の女性を想い続けている」からの痛切な叫びに、ひたすら心が揺さぶられる…。
純愛以上、殉愛とまで成り果てたこの愛に 敬意すら示したい…。
・事情を知らないスバルは一族の願望として見てしまうんだよね。だからその想いの半分も真に理解はしていないんだ…
・『常人ならば容易く諦められた道筋を、才人であったロズワールは歩めてしまった』この言葉に本当尽きると思うんですよ。歩めてしまったが故に立ち止まらずいることが出来たけど、周りを頼る事すら覚えてこなかった彼の生き方がつらい…。
・ここのスバルの名乗り口上に胸が熱くならないわけがないんだよなぁ…っ!三章スバルからの成長ぶりと比較してとても感慨深い…。挫折と成長を繰り返す主人公は本当応援したくなる最高だ
・いつか彼の弱さが剥がされ、周りに心許すようになるんだろうか。今はまだ想像がつかない。頼む、スバル…!ロズワールさんの事本当お願いな…!
・唐突なラインハルトに笑ったwガーフィールの諺、たまに本編や外伝でもその由来の人たちが登場したりするので油断せずに聞いていきたい。
・姉様とスバルの「無茶はすんなよ」「それをバルスが言うの?笑わせないで」ってシーン、言わずとも互いにすべきことが分かっている信頼感すごい。好き。
・オットーはもう逃げられない!▼(外堀的な意味で)