シャニアニ個人的な総括感想。賛も否も書いてます #シャニアニネタバレ感想
ざっくりと最終的な感想をまとめると、良かったか悪かったかと聞かれたら、めっちゃよかった! ってノータイムで答えるけれど、面白かったかつまらなかったかと聞かれたら、同じぐらいノータイムで満面の笑みで、正直おもんなかった! って答えるような作品でした。つまらなかったじゃなくて、おもんなかった、ってニュアンスも結構キモだと思う。
やりたいことは伝わるし、シャニマスのアニメ化ならそうしたいよねわかるという部分も踏まえて、その上で技術的予算的時間的その他諸々の制約というか、ぶっちゃけ大人の事情が透けて見える部分に、やりたいことが追いついてなくて中途半端だったよね、って感じを受けました。なんかこう全体的にわかるけど惜しい、って感じ。
まず根本的に、そもそもシャニマスとアニメというのが、正直相性悪かったなって思う。もともとシャニマスはテキストベースで物語を紡いでいる上に、丁寧に丁寧に描写を重ねていくことで深みを出していくタイプのシナリオだと思うんだけど。そら30分アニメ1クールじゃ尺足りないの当たり前なんだよな。だから時間経過の部分は掻い摘まむというか、ある程度すっ飛ばすしかないんだけど。そこを雰囲気でなんとかしようとした結果、今度は3Dが足を引っ張ってしまうという。
後述しますが、もちろん3Dでいい点もあったと思います。ただ今回シャニアニがやりたかった、出したかった空気感を考えると、2Dだったらもっと見れるものになってたんじゃないかなぁ……という残念感がある。
要はやりたかったというか、目指したかった方向、新海誠作品だろうなと思っているんですが(しかも君の名はとかじゃなくて、秒速5センチメートルとかの頃のやつ)、あれ、めちゃくちゃ美麗な映像作品であるからこそ成り立つものでもあって、さすがに3Dだとそもそもまだ厳しいなあ、という印象です。たぶん2Dでもハードル高いラインですし。
そしてストーリーですが、そうやって引き算をする形で魅せようとした結果、逆に尺余りしてません???
16人のひとりひとりを映すの、担当見れて嬉しいとかの感情もあるけど、まあまあ多用しててくどさもあったというか。あれこれ尺稼ぎだったりする? ってちょっと思いました。ここも30分1クールアニメと相性悪いと思った点なんですが、たぶんシャニアニこういう形の話にするなら、前後編ぐらいの劇場版で見たかった気持ちある。そっちの方が絶対シナリオのまとまりよかったと思うし、30分に尺合わせするのいろんな意味で難しかったよこれ。
他の人の感想とかでもドキュメンタリーだった、って感想よく見るけど、自分もこれはアニメじゃなくてドキュメンタリーとして見るのが正解な気がしてます。そういう意味でもぶつ切りしていくより、長尺でやった方がよかったんじゃないかな。
あと音響もものすごい凝ってんなーって思ったんだけど、映画館で聞くならともかく、一般家庭のテレビで見るなら多分過剰なこだわりだと思うんですよね……そういう意味でも先行公開で映画館で見たのは正解だったなと思っていますが、そもそも劇場版だったらそこも活きたよなみたいなチグハグさある正直。
そういう意味で、上からのオーダーとしての30分アニメという制約と、予算や時間(3Dで作るという選択肢含む)の都合と、シャニマスの良さをどう活かすかという制作側のこだわりと、等々が事故ってんな……という感じでした。
でも逆を言えば、制作側が妥協せずにこだわりを貫き通したんだろうな、ってところが見えるのは、シャニマスのアニメ化としてはすごくよかったことだと思っています。その結果が怪作になろうとも。
とはいえ、よかったと褒めた上で、ほんとシャニマスくんエンタメ下手だよね! とも言いますが。シャニマスに対して、受け手に対する信頼と甘えを履き違えるなよとか、エンタメ舐めてんのかとか、一生喧嘩していくぐらいのつもりではいるので、シャニマスはそのまま曲がらないままでいいと思ってもいますが。ずっと仲良く喧嘩しような。
以下、細かいところの話。
■シナリオ
ちゃんと真乃を基点に見れば(2~5話辺りのユニット紹介回を除けば)ちゃんと軸は通ってるんですよ実は。WINGも全員敗退にして、1stライブをゴールにしたのは見事というか。全員を輝かせるならそうするよなって納得の軸でした。ストーリーは決してなかったわけではない。ただそこを台詞とか動きとかに出さず、ただ淡々と空気感で描写していくから薄く思えるだけで。
これがいわゆる引き算の描写ではあるんですが、そこはちゃんと描写しないといけなくない? ってところまで引いちゃってるところはあると思う。空気感はシャニマスっぽいとは思うものの、たぶんシャニマス自体はちゃんと描写はしてると思うよ? ライブ2Dめっちゃ動くでしょうよ。
あとシャニマス本編であった出来事をそのまま描写しない、という制約のせいで、ちょっと時間軸飛ばしたときに成長の過程すっ飛ばしがちなところも惜しいなと思いました。咲耶とか顕著なんですけど、忙しいのはいいことだ……と曇りそうなところから、アンティーカを信じている、の間にはファン感謝祭が挟まるわけですが。そこをシャニマス本編でやってるから想像つくだろう、って完全にすっ飛ばすのはさすがに雑すぎんか? って思う。そこの葛藤の過程を丁寧丁寧に重ねて紐解いていくのがシャニマスのシナリオでしょうよ。尺割けないのは理解しつつも、過程の匂わせというか、ちょっとは挟もうよと思います。
でもそれはそれとして11話12話とかみたいなライブ描写は、すごくよかったです。一般的なアイドルアニメであれば、ライブって絶対その前か最中かにトラブルが発生して、解決してライブが無事出来たねめでたしめでたしになると思うんですけれど(それこそアニマスも、アニデレも、ミリアニも全部そう)、それは話に起伏を出すためにトラブルを起こさざるを得ないってことでもあるんですよね。
そこをちゃんとトラブルもなく、真摯に舞台裏を描いた点はシャニマスらしくてすごくよかった。全体的になんですが、アイマスのアニメで、アイドルの仕事を描写していくストーリーは結構あるんだけど。その仕事をする上での必要な準備だったり、スタッフの動きだったり、そういう当たり前にあるはずの人の営みの方を丁寧に描く方を選んだのは、シャニマスにしか出来ない部分だなと思います。ひたすらレッスンしたり、合間に台本読み合わせてたり、メイクさんとかバタバタしてたり。そういうところがドキュメンタリーだなって思う点でもある。
■フィルムスコアリング
ごめん、自分には一切良さがわかりませんでした。アニメ見てると印象に残るBGM、1カ所なりはあるんだけど。マジでBGMの印象がほとんどないです。環境音に徹して、印象を残さないようにしたかったのなら狙い通りで満点だったと思いますが、さすがにそういう意図ではないよね……?
なんかこうこだわりが強いのはいいことなんだけど、こだわるべき部分そこじゃないだろみたいな気持ちになる部分が多いんだよなシャニアニ……
それはそれとして音響はほんとよかったです。足音とか、音の響き方とか。これはマジで映画館で見てよかったと思った部分。
■曲
新曲欲しかったって気持ちは実はあんまりないんだけど(あったら嬉しかったかなぐらい)、それにしたってB面曲ぐらいは使いなさいよと思いました。なんだあのインストED。唯一明確にEDよかったなって思ったの、11話の1stOPBGMぐらいだよ。
それとツバサグラビティとStWの役割が完全に被ってしまったのがマジでもったいない。同じ流れ2回やるんじゃあないよ。
これも多分売る側と制作側の衝突だろうなと思っていて、売る側としてはアニメ新曲として作ったツバサグラビティを中心に据えて欲しいというオーダーは納得いくし、制作側が1stライブ再現をやるならそらStWやらなきゃ嘘でしょとなるのもわかる。それはそれとしてどっちかにしなさいマジで。
■フォント
だせえ! シャニマスくんセンスの良さで売ってるところあるんだから、そういうところはもっとこだわって!
ライブのときの曲名表示のフォントも同じだと思うんだけど、それはロゴのおかげでよく見えたので、工夫すればもっとよく見えた部分だと思います。
■3D
瞳の描写はこだわっただけあって、めちゃくちゃよかったです。目を見ればなんとなく感情が伝わるように、ってところまでの細部のこだわりは見事でした。
ただまあ、どうしても技術力的な残念さはある。シャニアニの描写に求められるラインの3Dは、たぶんどこの会社でもまだ厳しいと思う(し、あと美術的な面は好みの差異も大きい)ので、細かいことは言いません。
あと3Dにした結果、私服の幅がなくなったのも残念なところ。シャニマス、2Dだからこそ髪型とか私服とかのこだわりが強く出ているのも特徴だったと思うので、そこ投げ捨てざるを得なかったのは仕方ないにせよ残念な点。凛世の着物とかも、初期の話だからこそ欲しかった。
でもその割には、2話アンティーカのMV用衣装とか、ライブ中の着替えの肌着とかのモデル作ってるこだわりはなんなんだ……??? いやいいことなんだけど、そここだわるならもうちょい私服パターン増やせなかったか? 力の入れ所さん?
ただ唯一、これは3Dの長所だなーって思ったのはダンスの動き。なんだあの一人一人バラバラな練度の動き。これアニメーションだととんでもなく工数かかったと思うので、これは明確に3Dを選んだ利点として褒めていいと思います。
マジで果穂とか、びっくりするぐらいにダンスが果穂。この良さは3Dならではだったんじゃないかな。
■カメラワーク
前述しましたが、なんかこう、ちょっとくどいんだよな……画作りのセンスはちょっと合わなかったかな……
これは懺悔なのですが、3章見に行く前にネタバレ感想で「10話で16人のキス待ち顔が順に映される」というものを見てしまったがために、当該シーンでめちゃくちゃ必死に笑いを堪えることになったのは俺です。
■シャニP
これは完全に個人的な感想なので、客観的に見てではなく個人的引っかかりポイントぐらいに流して欲しいんですが。アイドルたちの考えに任せるところはシャニPらしいんだけど、ちょっとあまりに後方見守りになりすぎてない???
シャニP、アイドルたちのために動いてしまうような青い人物で、それが時折暴走してクソボケにすらなり得る善良な人間だと思ってるんですけれど。真乃があれだけ悩んでいる素振りを見ておいて、声をかけて話を聞くことすらしないのは、なんかちょっとシャニPの動きとは違うかなって思ってしまいました。
Catch the Shinytailでも、答えを自分で見つけて欲しいと考えさせるように諭しますし、最終的には灯織とめぐるの言葉で真乃は答えを見つけるので、イベストの塩梅としてはシャニPそんな出ないよなというのはその通りなんですけれど。それにしたって、話を聞こうともせず見守るだけで終わるのはシャニPらしくないなーと。
実際シャニアニだと、シャニPの役割があまりないので、真乃の悩みを聞くというシーンは欲しかったと思います。
■花火
手持ち花火、メンバーカラーになってるのめっちゃ好き。
■1stライブ
1stライブの演出そのままにしなかった(カウントダウンだったり、曲順だったり)のは、理由なんなんだろうな? とはちょっと思った。たぶんそのままだった方が既存Pには思い出ボムもっと効いたとは思う。
でも流れとして、甜花の涙とか、盛り上がりの持って行き方とか、シーンの流れ上と言われても全然納得できる範囲なので、気になったかな程度です。
■はづき
かわいい。StWアカペラありがとう。
■ラスト
NEXT STAGE期待していいんですよね?
というかストレイノクチル追加して2期やる気なのであれば、ちょっとこの1期の扱いも変わってくると思っていて。実際シャニマス1年目の空気感の再現としては、再現度は高い方かなと思うんですよ虚無なところも含めて。
つまりは1年目は結構伏線だったり、今後の展開に繋げるための種まきになっていた話も多かったと思っていて。そこを踏まえていろいろ話が複雑になって面白くなっていったのが2~3年目のシャニマスだったと思っているので(なお4年目以降は追加ユニットでそこちょっとくどくやりすぎていってる傾向もあるなと思う)、もし2期で2~3年目のシャニマスをうまく再現出来たのであれば、今回の1期も見方変わって再評価の流れもあるんじゃないかなと思ってるまであります。
そういう意味でもやるんだったら、2期は追加ユニットももちろんですが、初期ユニットも上手くやって欲しい。これで追加ユニットだけに力入れられたらちょっと泣く。
だいたい今のところはこんな感じの感想ということで〆たい。なんか思い出したら追記するかも。