『誰もいない駅のはなし』通過済のみOK
空木顕太郎の設定まとめ。
事前に立ててた嫌われたくないがすごく活きたなって思いました
.
◆開始前
・未覚醒
・どういうわけか村八分に遭っていており、どういうわけか数年間海外生活を送っていた
・高校進学にあたり日本に戻ってきたので日本特有のオカルトなどはさっぱりわからない
・保護者のような人がいる(ということは両親と離れてるか親がいない?)
・和食が好きなので日本に帰ってこれて嬉しい
・嫌われないように、嫌な思いをさせないようにという気持ちが無意識に根付いてそう
・英語が得意(英語圏の国じゃなくてもである)。道行く外国人をよく助ける。
・国語は元々得意だったのでなんとかなるなる。
・動物に好かれる(と思っているが野獣本能の片鱗)
・天気の変調を感じ取るのが上手い。傘持ってかけつけれる系男子。
PC2について
クラスメイトの女の子。
彼女に嫌われるのはこわいなあと思っている。
PC1 記憶の一部に欠落がある
シナリオロイス:不確かな記憶 推奨感情:P自身/N恐怖
推奨ワークス/カヴァー:指定なし/高校生
いつもの電車を寝過ごすと、そこは見知らぬ駅だった。
霧に包まれた荒廃した無人駅。携帯も圏外でつながらない。
そして霧の向こうに……“何か”がいる。奴らはキミを狙っている。
そして駅からの脱出を試みようとするキミは気が付く……キミはなぜここに来た?
何か大切なことを忘れている……。
※注意点
・年齢は18歳以下
・ルーツは「不明」を選択すること
・ライフパスや名前、ロイスなどで設定したことについては覚えている。それ以外の箇所に欠落がある
・未覚醒、覚醒済みは問わない
・シナリオによりPCの設定に介入がある
◆シナリオ
ルーツ:ショゴス
昭和十九年二月の超人兵器開発計画“シ號計画”で生み出された“シ號兵器”だと判明。
昭和二十年八月十日に計画は凍結され、シ號ともども封印されていた。
報道に残らないほどの小さな地震で地下施設の封印が解けて施設を出た。
人に擬態して生きてきた“ナニモノカ”だったと知った。
それでも人間だと真摯に伝えてくれる彼女と一緒に生きたいと思う。
この怖い非日常で彼女をひとりにしたくない。俺も連れていってほしい。力になりたい。
俺をひとりにしないでほしい。せめて君の前では人間でいたい。
「友達」と呼んでくれることがすごくうれしい。
けど時々ドキッとしてしまってちょっと困ってしまう。でも、それも幸せ。
彼女への恋心を噛みしめながら、人間として、生きていたいと強く思う。
*************
だ、めだ。
泣くな。泣くな泣くな泣くな泣くな泣くな。
約束したじゃないか。泣くな。折れるな。
でも、でも──最初から、バケモノだった、なんて。
『忘れないで。帰りたい場所、人……それこそが、オーヴァードが化け物にならないために必要な物』
そんなの。
前提から違っていたことに直面。
こんなときでもこう思った”嫌われたくない”。
「…………とっくの昔から、もう人間じゃなくて。いや、最初から。最初からそうだった」
「嫌われて当然だ。血のつながった家族なんかいなくて当然だ。ああ、……俺はここにいたんだ」
「それでも君は……、……この手を繋いでくれる?」
今にも泣きそうな顔で、けれど耐えるように微笑んで問う。
離されたって当然で、彼女のためを思えば離した方がよくて、だけど離してほしくない。
バケモノだって開き直ってしまえばいいのかもしれないけれど、彼女のあたたかさを裏切りたくなかった。
でも、どうしたらいいかわからなかった。
だって、バケモノだったんだ。どうしようもなく、最初から。
──嫌われて当然のバケモノだったんだ。
彼女は、手を離さないでいてくれた。
そして彼女の生い立ちを語る。似ていた。俺と似ていた。
「あなたが私を庇って爪を受けたのも、化け物に立ち向かってまでこの猫を助けたのも、あなたの意志。心は化け物じゃないわ」
”俺”の手を繋いでいてくれた。
”俺”の心を保証してくれた。
これまでの記憶さえ怪しくて、クラスメイトなのかもわからなくなっていた俺に、本物だと教えてくれた。
ちゃんと本物が在るんだと、それだけで、安心してしまって涙が出た。
「なんでここから出たのかは今もわからない。けど……『嫌われたくない』『ひとりはいやだ』『さみしい』。いつも、そう。それが、俺を動かしていたんだ」
「……ひとりにならない場所が、欲しかったんだ。きっと。だって、さみしかったと思う。ずっと閉じ込められてひとりは」
彼女の話を聞いて、思った。
きっとさみしかったんだ、と。
「ニンゲンの形をした、兵器。……だけど、君がニンゲンだと言ってくれるなら」
「せめて君の前だけでも、ニンゲンでいたい。ずっと、”俺”のままでいたいよ。……贅沢だなあ」
*************
『いつか、必ずあの霧の向こうへ去ってしまう。どんなに守りたくても、人の世を壊してしまうの』
その言葉を正しく理解した。
自分のもとになったもの。生みの親たるもの。あれはまさしく人を、世を、壊すものだった。
自分も、そうなってしまうのかもしれない。
──そうならないようにしたいと思った。帰ったその先で、一緒に生きたい、と。
*************
ひとはこんなにたくさんいるのに、それがどうしてか、さみしかった。こんなにたくさんいるひとたちに嫌われてしまう気がしていて、嫌われたくないな、なんて思いながら、それでも、誰かといたくて日々を過ごしていた。
(……俺、ちゃんと人の形してるんだな)
誰も、見向きもしない。それは自分が同じく人の形をしている証だ。けれど、やっぱりさみしい。それに怖い。知られてしまったら、やはり嫌われるんだろう
──それでも。こんな能力でも、こんな体でも。守りたいものがあるんだ。
*************
「うん、楽しみ。行こう」
「っ、……うん」
躊躇わずに出された手にドキッとして躊躇いつつも、その手があることが嬉しくて、そっと手を取る。
「……まいったな」
ちょっと困ったように笑う。少し頬が赤い。
純にまっすぐに手を取ってくれる、その心根にどうしようもなく惹かれてしまって。
たぶん、こんなふうに微笑みかけられて手を差し伸べられたら、何言われても聞いてしまいそうで頑張れそうな気がする。
「かれんには、一生敵わない気がする」
なんて、ひとりごちて笑いながら、今度はこちらが手を引いていく。
「あっちだよ」
*************
昨日と同じ今日。今日と同じ明日。
いつまでも続くと信じていた日々は。自分が当たり前に人間だと信じていた日々は、もう無い。
けれど……この手が、このひとが、人間だと言ってくれた。大丈夫。”俺”の日々は続いていく。続いていける。
時々、ふとしたことにドキッとしてしまうのも……どうしたらいいかわからなくなって困るけど、嫌いじゃない。
心があるってこと、教えてもらえる気がするから。
だから──ずっと君に恋する俺で、君といたい。
*************
.