宝石の国 全巻読んだので新鮮な感想を認めましたヨ(無責任)
正直なところ、終盤くらいまでみんなが言うほど地獄か?という気持ちで読んでいたんだけど、12巻まで読んでやっと最悪な気持ちになったな……最悪になった、というか、最悪だったことに気が付いたというか。
神に縋れる順番を決めるために格差を設けた、みたいなくだりで、ウッとなっちゃった。それまでも、カンゴームの結婚の話とかで、これまで見てきたものが裏切られる感覚はあったんだよな。でもカンゴームの話は、この世界には性愛がない(人間らしさがない)のが良いなと勝手に思っていただけだったので、まあカンゴームの幸福がそこにあるなら良いよ……という気持ちだったのだけど。でもパブサしたら、そこを「地獄」だと言っている人も結構いて、むべなるかなではあった。無性であること、セックスと切り離されたユートピアであることが美しいなとわたしも思っていたので、カンゴームの豹変(に見える執着の発露)にはびっくりしたのでした。
まさにその執着の話。その後で、死のない世界で執着を見出すための物語だったのだと知って、しっかり傷つきました。ひどいじゃん。フォスフォフィライト一人にとって。なんかもっとイヤだなと思ったのは、地獄だ、地獄だ、というのは読み手にとっての話であって、作中の宝石や月人たちにとっては別に地獄も何もないんだよなあってことで。ひどいよ!なんでそんなことするの!っていう気持ちを持っても意味ないわ…っていう徒労感が。だって彼らは無になるために人間を神にしようとしてるので……
黒幕はエクメアになるんだろうけど、まあそこに怒りを向けても仕方ないと思うし。誰が悪いって言えば博士じゃろと思うけども。「橋は燃やして」に込められた意味は噛み砕けてないんだけど、それが金剛をひとりぼっちにする呪いの類であることは何となく分かって、めちゃくちゃしんどいなあと思った。救われるためには生贄が必要なの、だいぶ悪いよな。地獄のリレーが始まるだけの仕組みだよ。、
「人間」になったフォスの姿が、歴代の姿のなかでも最も醜悪な姿に描かれてるのに悪意を感じる(デザイン的にはかっこよくて好きだけど、そういう話じゃない)。悪意というか…悪意じゃないんだろうけど…こっちが勝手にダメージを受けるというか。人間の滅びた世界で新しく生まれた唯一の人間があの姿って……オイ春子!!!人間のいない世界で人間の本質を描くの〜〜ヤメテ!!!
12巻までと、無料で読めた続きの99話まで読んだけど、めちゃくちゃ虚しくなっちゃった。誰からも必要とされていなくて、愛を欲していただけの美しい宝石が、その本質を失って初めて必要とされる(しかもそれは多分愛ではない)のがクソ〜〜!ってなっちゃった。美しくて脆いということはわたしたちの価値であって、あの世界では微塵も意味を持たないのが……人間がいればまた違ったのだろうが、人間が滅びた後の世界だからこそ、彼らの存在はあるので……。
祈りのための装置がひとりぼっちである必要があるとしたら、99話で神・フォスに語りかけてきた存在は、フォスを孤独ではなくしてくれるのだろうか。そうしたらフォスは金剛のようにまた「故障」してしまうのか。孤独を感じさせる機能なんて不要だろと憤りたくなるけど、祈るためには心が必要だというのは非常に理に適っている…だからこそやっぱり博士が許せなくなってくる。
ここまでバーっと書いたけど、なんか上手く解釈できていない部分もたくさんあるかも。
多分あと1巻で終わるだろうから、そしたらもう一回読もうかな…あとアニメももう一回観ようかな…余計苦しくなるかもな。