背景推理とかシングル曲の歌詞を見て改めて感じたリチャードさんについての話。恐ろしく長いんですけどオチは無いです。「騎士」ってこわい。可愛いねぇ……
※背景推理とか諸々の原文ネタバレがあります。もう自力で食らったか浴びてもいいってなってから読むのをオススメします。初読の感覚、大切。
初めてビジュアル見た時は「ウワァ顔が良い!絶対にロクなヤツじゃない!」と興奮し、
キャラストーリーPVを見た時は「こんなにイケメンでもギリ許されないことあるんだ」と感動し、
真髄キービジュを見た時は「悪魔!悪魔だ!日記に何書いたらこんな推理されるの?」と喜び、
シングル曲を聴いて「もしかしてこの人がお姉さんに向けてる感情って家族愛でも恋愛でも無いんじゃ……」と感じ、
背景推理を全部読んで「多分被害者だけどやってることデカすぎて加害者だな……」に落ち着きました。
背景推理の文脈的に「騎士」はスターリング家の消えた弟本人ではなく、他所から連れてこられた顔が似てるだけの赤の他人なんだろうな……
連れてこられる前の7年間どう過ごしていたのかは知らないけど、きっとすごく幼い頃から「リチャード・スターリング」を演じることを強要されるか自然と促されたりなんかはしたんじゃないかな……そうしてリチャードとして生きていくうちに元々あった本当の自分がわからなくなってしまったのか……
そんなこんなで自分が「リチャード」であることそのものを求め続けた結果、スターリング家の勇敢な姫に仕える「騎士」を演じることに異常なほど執着していったのかな。どうしてこうなった。
PVとかでやってた古いアルバムを自分の顔写真にすり替える行為(!?)は、スターリング家の人間に疑いを持たせないための偽装工作?とか、お姉さんに自分だけを見てほしいから前の弟の顔なんか忘れてほしかった?なんて考えていたけど、もしかしたら自分が「リチャード」でないと突きつけられる証拠を消し去りたかった「騎士」さんの私情かも……なんて妄想までしました。
スターリング家の騎士、リチャード・スターリングであり続けるために巧みな嘘と演技で一家を裏で操っていた「騎士」さん。始めはお姉さんに強い執着があるのかと思って「このシスコン……!」という感想を抱いていましたが、実際のところ血の繋がりは無いし「騎士」さんが執着しているのは「リチャード」であり続けることだけだし、そのために騎士たる振る舞いをしなくてはならない……使命といえば聞こえはいいけど、きっと「騎士」さんにとっては逃れられない呪いのようなものなのかな……
「騎士」さんにとって『自分が本当はリチャードではなく、スターリング家に転がり込んだ赤の他人である』という事実を暴かれたり突きつけられることは、アイデンティティを揺るがす大きな苦しみなのかもしれない。そして自分が何者なのかわからなくなってしまったとき、「騎士」さんが縋ることができるのは今まで演じてきた「リチャード」だけ……
シングル曲の最期の台詞パート(?)の歌詞が個人的に一番リチャさんの本音っぽいなと思うのですが、
I don't know who I am,
(自分が誰なのかわからない。)
I don't know who she is,
(彼女が誰なのかもわからない。)
But I know,
(でも私にはわかる、)
We can't escape,
(私たちは逃れられない、)
From the obstruction of predetermined fate…
(定められた運命の障害から…)
この歌詞えげつなくないですか。だって、「騎士」さんにとってもはやお姉さんが誰なのかすらわからなくって、それでも『スターリング家の弟』でありつづけるためには『姉上』が必要だから側にいてくれないと困るっていう完全な私情。可哀想。ある日ずっと行方不明だった弟が帰ってきたと思ったら様子の違う弟が帰ってきて、得体のしれなさに怯えてたら向こうの個人的な私情で大切にされるお姉さん……目的がわからないし怖すぎる。逃げ切ってくれ、頼む、頑張れお姉さん!むりそう〜
それにお姉さんに逃げられたのが引き金なのかわからないけど、「騎士」さんが自分とは誰なのか?という疑問にうっすらと取り憑かれ始めてるのもイヤ……
エウリュディケ荘園ってそういう小さな迷いにつけ込んでくる荘園ナンバーワンなんですよ。あかん(あかん)。
あと登場記念ツイートにあった、
"守るべきものが、枯葉のように朽ちる時がきても…最期に腕の中におさまればお伽噺のようなロマンス物語だ。"
もなかなかアレです。最終的に自分の側にいてくれるなら姉がどんな状態でも終わりよければ全て良しだからね、みたいなこと言ってる。なんも良くないからね。反省して。
背景推理の文章の話になるんですが、お姉さん視点でリチャードが謙虚で優しいという評価なのかわいい。謙虚で優しいリチャードはもういないんですけどね。
あとチャーリー・スターリングって誰ですか?お姉さんの名前かなって思ったけどお姉さんは契約書にサインとかしなさそうだし、「騎士」さんがリチャードを演じる前の名前……?とも思ったけど契約書で演技がバレるようなボロはしないだろうし……やっぱりお姉さん……?それかスターリング家のご両親だろうか。親の名前から取って、息子にリチャードと名付けるのは自然な気がする。海外の名付けとか詳しくないので知らないけど……(全部適当に書いています)。
あとお姉さんに悪魔呼びされてるリチャさん好き。お姉さんは偽りの再会からずっと姉弟の勘みたいなものでリチャさんの危険性をうっすらと感じとっていたっぽいのすごい。
背景推理8の結論、
1通目の手紙:「姉上、私はずっと考えていた。私がリチャードではないなら、一体どのような存在なのかと。」
これも……これもしんどいものがありますよね……
「騎士」さんも演じ続けた時間が長くなりすぎたせいで、本当は自分が何者なのかという不安に苦しみ始めている……。嘘と演技の上手なリチャさんがわざわざ証拠になるようなもの書き留めちゃうのか……?と思ったりしたけど、キャラストーリーPVの「あなたはついに私を見つけてくれた」からも察せるように、リチャさんはお姉さんのことをある意味で信頼していたのかもしれない……
演じ続けている故に本音をなかなか話せない「騎士」さんが、アイデンティティを揺るがす大きな不安に取り憑かれたとき、まず胸の内を明かすのが姉上ってのが……好意的に捉えれば弟らしくてかわいいですよね。
それか唯一真実を打ち明けても良いこの世界にただ一人の姉を信頼する悪魔。
それに、もしこれが"お姉さんが自分の成り代わりを知ってなお側にいてくれることを望んでいたことからくる言葉"だとしたらちょっとだけしんどいかも。
まぁお姉さんは逃げ出したし、リチャさんももう手段は選ばずどんな状態でも姉を自分の腕の中に取り戻すという覚悟が決まってしまったワケですが……
そして最後、背景推理9の結論、
2通目の手紙:「今なら分かる……あなたと『この世界』が存在する限り、私は『騎士』であり続けるのだろう。」
今の騎士さんの行動や振る舞いの原動力……
姉と世界が存在している限りは、自分は「騎士」でいられる。「騎士」という確固たるアイデンティティを手に入れることができる。そうすればもう自分が何者なのかと悩むことも無くなって、前を向いてリチャードとして生きていける。
何を……言ってるんですかね……この人は………………
あとボロ服がわかりやすく致命傷で笑っちゃった。こんなに死因わかりやすいことあるんだ……薄汚いリチャさんめちゃくちゃ可愛いです。可愛い、可愛いよ……
いろいろ知った現状としては『アイデンティティの確立のために手段を選ばなくなった悪魔』、という印象を抱いています。これからショップSRとかいろんなテキスト読むの楽しみです!!!!!スキルむずかしいたすけて