DX3rdCP
プロジェクトコード・ハルモニアスグリーン
1st code: Yellows on the Memory
PC2 雲井 ひつじについて
もう一人のうそつきについて
※ネタバレ有り感想
PC2 雲井ひつじ / Scapegoat
ノイマン / ハヌマーン / エグザイル
初期イージーエフェクト
《写真記憶》《完全演技》《代謝制御》《七色の声》《擬態の仮面》《環境適応》
彼女の願うことはふたつ。
『プロジェクト・アダムカドモン』および『ハルモニアス・グリーン』を無かった事にしない事。
そして、二度と『プロジェクト・アダムカドモン』や『ハルモニアス・グリーン』のような悲劇を起こさない事。
彼女は自らの能力《完全演技》《代謝制御》《七色の声》《擬態の仮面》にて実験当時の姿を維持している。
かつての実験で失ったお友達にも、自身が雲井ひつじだと分かるように。
そして、自分達の存在を、"雲井 ひつじ"という存在を忘れさせない為に。
彼女は生まれついてのオーヴァードであり、《写真記憶》にて最初から全てを覚えている。
《環境適応》にて実験に適応し、この世界に絶望した彼女を救ったのは、同じく実験体の少女、暁 千煌だった。
『私がひつじや皆を守る』
その言葉に光を見出した彼女は、千煌が暴走したあの時。
《Dロイス:調和者》というたったひとつの答えを導き出した。
千煌はその力と引き換えに記憶を失った。
記憶を失うことの出来ない彼女は、約束を引き継いで『皆を守る』ために日々を生きている。
彼女はお友達や自分自身の日常を壊したあの実験に憎悪を抱いている。
雲井 ひつじキャラクターシート 「ないしょだよー」より抜粋・PC1の名前を加筆
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このシナリオのトレーラー、ハンドアウトを初めて見た際。
「このシナリオはPC2で遊びたい、そうでなければ意味がない」と思うほど、
強く強くインスピレーションが湧きました。
記憶を失うPC1。その対比として《写真記憶》を覚醒:生誕で最初から持つPC2。
PC1の記憶の代わりになろう、そうなれるPCにしよう、と思いました。
また、ダブルクロスを遊び、シナリオを書く身として思うことのひとつ。
「記憶処理を掛けて痕跡を消し去って、それでいいのだろうか?」
傷は消しただけで癒えてなどいない。しかし、都合の悪い記憶はいつだって処理を掛けてきた。
それは正しいのか?
対する答えとして、「なかったことにはできない。傷は傷として背負うことしかできない」を思いつきました。
「わたしたちは忘れ去られるべき存在ではない。
忘れ去られてしまえば、いつか第二第三のわたしたちが生まれてしまうから」
こうして、「実験をなかったことにしない」「しかし、実験のような悲劇を二度と起こさない」ことを主軸として彼女は生まれました。
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彼女自身も「ハルモニアスグリーンをなかったことにはしたくない」と思っています。
この深く大きな傷をただ隠して見えなくして、なかったことにしてしまえば、いつか誰かが同じ轍を踏む。
過去の経験は活かされることなく、彼女達と同じ犠牲者が生まれ、悲劇は繰り返されるから。
だから、自分の存在を持ってしてでも、実験の恐ろしさや愚かさを皆が知らなければならない。
誰かが個人個人に知っているだけでは、実験の抑止力にはならない。
「霧谷 雄吾のみ覚えている」この現状では、いつか限界が来る。
そうであれば、禁忌の存在であろうとも、実験の生き残りが今も生きていることは知られてほしい。
雲井 ひつじを思い出すたびに罪悪感が湧く、それでもいい。
出会うたびにハルモニアスグリーンの凄惨さを思い出す、それでいい。
自分の存在が、自身や千煌、皆のような実験体を生む抑止力となれば、彼女はそれでいいと思っている。
だって、そうならなければ、自分たちは過去を話すことも出来ず。
犠牲者でありながら、日陰でただひっそりと口を噤んで生きることになってしまうから。
『それじゃあ……ひなたぼっこは、できないのー……』
彼女は「ハルモニアスグリーンをなかったことにはしたくない」と思っていますが、
同時に「それは正当な手続きで認めさせなければならない」とも思っています。
「それしか手段はない」と強硬策を取れば、かならずどこかでひずみが出る。
ひずみはいつか亀裂を生み、望まない結末が皆に降りかかる。
そして何より、「それしか手段はない」と対話の道を閉ざしてしまえば。
後は戦うことでしか解決できない。
彼女の「どうして話を聞いてくれないの?」は、その現れです。
ちょっとしたことでも。話し合うことで、少しでも良くなるのなら。
彼女はその道を選ぶでしょう。
戦って、殺して、話せなくなってしまえば、もう分かり合うことはできない。
あとはそれをいつものように隠して、痕跡を消して、"なかったこと"にしてお仕舞い。
『みどりをうって、なかったことにして、それでいいのー……?』
だって、それを認めてしまえば、自分たちのしていることがUGNの隠蔽処理と同じになってしまう。
話し合わずに、知り合おうとせずに暴力で黙らせること。
検証もせずに、教訓を得ようともせずに記憶を消して黙ること。
それらの違いは何なのか?
だからこそ私達は同じであってはいけない、それが側崎未鳥への攻撃を止めた理由でした。
意思の疎通を図ろうともせず、「誰かのため」「世界のため」で押し切り、暴走した人達が何が起こしたのか。
ハルモニアスグリーンの関係者ならよく分かることでしょう。
彼女自身、ずっと「あの悲劇を繰り返してはいけない、だから強引な手段で実験の存在を明るみに出してはいけない」と伝えていたのですが。
結論の決まっている相手に説得は無理だと、彼女も知っています。
おそらく実験の日々の中で、それはずっと伝えてきた事でしょうから……。
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未鳥は最後に、「君たちのためでもある、僕たちは家族だろう」と言いました。
父親である教吾を殺害した上で、彼は「家族」という言葉を口にしました。
PLとして、PCの雲井 ひつじとして、その単語に強く嫌悪感・気持ち悪さを覚えました。
『じゃあー……どうして、はなせないの……?』
『……うそつき』
事情を知っていたなら、未鳥も、その場にいた誰もが思ったでしょう。
嘘つきはお前だ、と。
11年間嘘を突き通し、無垢な少女のふりをして。
雲井 ひつじという存在がこれからどうなるのか、楽しみです。
ちなみに、個別エンディングでの描写は既に決まっています。
雲井 ひつじというキャラクターが生まれた時から、やるべきことは決まっています。
それが果たせるかは、次もまた帰ってきたらその時に。
そういえばですが、1話の経験点でイージーエフェクトの《ドクタードリトル》を取得しました。
あらゆる言語が分かり、動物とさえ意思疎通が図れるようになりました。
でも、残念ながら……ジャームとは意思疎通が出来ないんですよね。結論が変わることはないから。