ソロモンの自分は死んだというあのシーンや、ソロモンの死の原因の相貌獣をバラムは見逃したかもしれないというのを考えるに当たり、大切な大前提を忘れていたので、そこを含めての憶測妄言
まずソロモンの死の発言の時にソロモンを見守っていた2人には複数の役割が持たされていたと思っていて、まずウェパルは「ソロモンの同年代の女の子で、ソロモンが村で日々交流していた、ソロモンが失ったものを喚起させる存在」「一度死に、生まれ変わった存在」そして「ただのヴィータとして友達や大人に囲まれて普通の日々を送っていて、その幸せと大切さを知っている存在」としての役割。ソロモンの死の発言は、この3つを持つウェパルからは到底許しがたいというか、認めたら彼が何と決別する事になるのかをよく分かっている為、ウェパルはこれに怒りを露わにしていました。
さてバラム、バラムは「同年代の親しい男友達を喚起させる存在」「ソロモンと同じ『死』を経験している存在」そして「観察者」としての役割を果たす為に彼はそこに居ました。一番最後がめちゃくちゃ大切で、これこそバラムがソロモンといつも一緒に居る最大の「調停者としての」理由です。ソロモンは指輪によって追放メギド全ての魂を握っているわけで、ソロモンが少しでも追放メギドに対して悪を見せたのなら、それは調停者としての彼がソロモンを排除する理由になります。調停者のバラムにとってソロモンは常に監視下に置かなければならないほどの警戒対象な訳です。ただし、バラム個人はそんなにソロモンを常に疑い続けてる訳では決して無い筈です。それはもう無限回廊でのフルボイス罵倒で「ソロモンの内面を認めている」という事を露わにしていますし、一度表に出したら絶対にアスモデウスに伝わるが故に、対アスモデウス以外に使ったらもうアスモデウスに使えない「切り札」を、ソロモンの為に切っています。それにソロモンと一緒に居るという事は「不死者の自分がソロモンを守れる、力になり続けられる」という事に等しい為、進んで側に居るのでしょう。さて話を戻します。バラムがソロモンを「観察」し続けながら、側で守り続けるという行動を取った結果どうなったか、彼だけが墓前でのやり取りを全て把握している可能性があります。そして、それを聞いていた上で、ソロモンのあの死の発言を聞いていた場合、ソロモンが何を取りこぼしているのかを正確にバラムは把握している筈です。ソロモン王でない部分を墓に埋めて碑として生きるというのは、確かに未だ存在しているソロモンの「ただのガキ」としてのパーソナリティを死なせるようなものです。それがどういう事なのかを、バラムはわかっています。何故ならバラムもキャラストで自身を「死んだ」と表しており、事実メギドラルで何をしていたかを知る者は誰もおらず、ソロモンと同じように「調停者になる前のバラムを知るのはバラムだけ」だからです。バラムも自分を墓の下に埋めていて、もしかして調停者というのがバラムなりに追放メギドの碑になろうとした結果なのかもしれません。そうなると、バラムとソロモンはかなり似た者同士で、おそらくここを共有出来る存在は他には中々居ない筈です。
もう1つの方の話なんですけど、バラムが村喰らいの相貌獣を見逃した結果ソロモンを王にしていた場合、つまり遠回りにソロモンの死に加担していた場合どうなるんだろうという話。そもそもこの話が出るキッカケになったゲスレオンとバラムは1年間一緒に居て、めちゃくちゃギャーギャー言い合えるだけの仲で、ある種の師弟な訳です。恐らくゲスレオンはあそこで何があったかを既にバラムに伝えているのでは無いかなと思います。バラムなら聞き出していそうですしね。そして、バラムの「俺のせい」の発言を見るに、バラムは多分ソロモンの始まりに何があったかをかなり知っているのではないかと思います。あの「俺のせい」は、もしかすると4章でウルグスとして居た時に、ソロモンから今までの旅路に何があったかを聞き出していたのかもしれません。となると、葬送騎士団の犠牲にエイルがなったというだけでなくて、そもそも村が何に襲われてどうなったかを知っている可能性も十分にあります。ソロモンのトラウマを正確に把握しているくらいなので、もしかすると1〜2章の出来事を全部知ってるのかもしれない。その場合、バラムはもう「自分がソロモン王の死因である」という事を知った上でここまでの行動を取っている可能性が無くはないです。観察者としてソロモンを見つめながらも彼の「個」が良いものであると認めて、守るのに加えて、バラムは既に「罪」を背負いながら、それでもソロモンの為に、メギド72の為に何もかもを尽くして戦っているのかもしれません。バラムのあの時の何か思うところがあるようなしかめっ面は、自分とソロモンが同じである事や、自分の罪が何を齎したかを目の当たりにして苦々しく思っている顔だったのかもしれません。