とうらぶ二次創作短編小説
『伯仲、買出しに往く』
本文は追記から
※弊本丸が元ネタの小噺
※伯仲メイン
※ほのぼの日常回
◆本日の買出し当番
・山姥切長義
・山姥切国広
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国広「今日はよろしく頼む」
長義「精々、荷物持ちとして活躍してもらおうかな」
ガチャ
国広「なんだ今の音は」
長義「何って車の鍵の音だけど。……あぁ、お前は買出し当番は初めてだから知らないのか。買出しでは近所の量販店に行くんだけど、荷物を運ぶ上で便利だから車を使うんだよ」
国広「車か…こんなに小さくて足りるのか?」
長義「こう見えて荷物スペースは大きいからね。それに支給品や畑で作っている分では足りない物を買いに行くだけだから、そう多くはならないよ」
長義は当たり前のように運転席に座り、国広も特に気にせず助手席に座った。
車は淀みなく走り出す。国広は今朝の出来事を思い出していた。
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燭台切「今日、午後から買出し当番だったよね?」
国広「あぁ、そのはずだが」
燭台切「悪いんだけど、買い物メモを忘れず持っていくように、覚えておいてくれないかな」
国広「構わないが…なぜ俺に?」
燭台切「いやぁ、念の為、だよ。……前に長義くん、買い物メモを忘れて行っちゃった事があってね……」
国広「そうなのか」
燭台切「でも記憶を頼りにほぼ完璧に買い揃えてくる所は流石だよね。……あっ、この話、長義くんには内緒だよ?」
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特に事件に遭うこともなく、車は目的地に着いた。量販店の駐車場はかなり混んでおり、なかなか空きが見つからない。ようやく見つけた空きスペースは……。
長義「やっと見つけた…俺のためによくぞ空いていてくれたね」
国広「縦列駐車だぞ」
長義「これくらい朝飯前だよ。完璧で究極な本歌の駐車テクニックを見ているがいい」
国広「斜めを向いているように見えるんだが」
長義「枠内には収まってるんだから良いんだよ。ほら、早く行くぞ」
量販店はなかなかの賑わいを見せていた。普通の人間達に混じって刀剣男士の姿も見える。余所の本丸も買出しに来ているようだ。そんな刀剣男士も御用達の量販店ではあるが、やはり伯仲が揃って歩いていると目立つようで…。
国広「ちらちらと視線を感じるな…」
長義「俺が美しいばかりに、目立ってしまったかな」
得意げに輝きを2割増にする長義を横目に見ていた国広。ふと手に持っている買い物メモを長義の顔の前にかざす。
長義「……………何をしているのかな?」
国広「顔を隠せば目立たないかと思って」
長義「お前の奇行のせいで余計に目立ってるよ。馬鹿やってないでさっさと買い物を済ませるぞ」
メモを参照しながら必要な物をカゴに入れていく二振り。ちなみに長義は今回もメモを持ってくるのを忘れていたが、国広のお陰で事なきを得た。
長義「牛乳は15パックだったな」
国広「斜線が引かれて13パックになっている」
長義「なるほど、出発前ギリギリで変更があったわけだ」
国広「メモを持ってきておいて良かったな」
長義「恩を売っているつもりかな」
今度も特に事件に遭うこともなく、メモに書かれた物品を余すことなく買い揃えることができた。かなりの大荷物になったが二振りとも涼しい顔で運んでいく。しかし、金銀の美形二人組が大量の袋を抱えている姿は、見る者をなんとも言えないシュールな気持ちにさせ、またもや視線を浴びる結果となった。
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縦列駐車から難無く抜け出した車は帰路に就いていた。
長義「少し寄り道をするか」
国広「メモの礼なら不要だ」
長義「燃料が減ってきているから補充するんだよ」
帰りのルートから少し逸れた通りを行き、俗に言うガソリンスタンドに着いた。最近珍しいセルフではないガソスタで、店員が手際良くガソリン補充をしてくれる。点検整備も請け負っているらしく、ついでに軽く車の状態をチェックしてもらったところ、タイヤの空気圧が落ちてきていたので、交換してもらうことになった。
待っている間手持ち無沙汰になった二振りは、近くにあった昔気質な肉屋さんでコロッケを買い食いした。長義は当たり前のように二つ購入し、国広も特に気にせず一つを受け取って食べた。
昭和の香りが色濃く残る通りを後にし、今度こそ帰路に就く。最後まで特に事件に遭うこともなく、無事に本丸まで帰還することができた。
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実は二枚目の買い物メモが有った事に二振りが気付いたのは、全ての荷物を運び終えて居間で寛ぎ始めた時の事だった…………。