2023/08/22にrabbit hole池袋店で行われた『SUNDOG』の感想です。既プレイを前提としています。未通過❌
マックスとしての、全体のPRや言動の背景を以下に書きます
内容は次の5節から構成されます
1. HO読み込み:キャラ造形をどう理解したか
2. プレー初期:キャラをどうアピールするか
3. プレー中期:どう情報を集めるか
4. プレー後期:どう目的を完遂させるか
5. 反省:どうすれば真犯人に辿り着けたか
留意点
・時系列が若干前後して書いている箇所があります
・他プレイヤ様への感想等はほぼないです
(文章量が爆発するので)それは感想会などで話題にできれば嬉しいです
・ただし書いてる理由の1つはみんなすごいな的なもので、
それを前提としてると思っていただければ
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1-キャラ造形をどう理解したか
最初のハンドアウトは要約すると以下になる
- 両親は事故で死亡。お姉さんが若年性パーキンソン病
- 姉のための医療費捻出のために大学をやめる
- 薬学スキルをヘイデン・バーンズに買われて、麻薬を制作し始め、ダミー会社的なのの社長になる
- パーキンソン病の治験をアーノルドに持ちかけられる。違法な手続きだった
- 治験で4人死亡する
- バーンズに隠して死亡事件を隠蔽
これを読んで作った人物像は以下
- シスコン (正確には家族への思い入れが強いが、姉しか生き残っていない)
- 姉の治療に目処が立てば、麻薬製造の会社からは即座に手をひく
- 麻薬製造に関与したことへの贖罪も兼ねて、毎週教会でお祈りをするタイプ
ここまでを基本設定とし、その上で動きやすいようにより映画っぽく次の設定を加える
- 頭は回り、薬学の知識は高度なものなのがある。大学中退は大学院か研究職を指す
これは、なぜヘイデン・バーンズからリクルートされたかの解釈
- 基本的に小心者だが危機的状況で能力を発揮する
バーンズからもそうやって働かされてきたと思う
- 目的のためなら手段を選ばないが、その執着は家族的なものに向けられている
このため、家族に思い入れがある人に共感を抱く
これらは行動しやすくなるための設定とも言える。基本的に引っ込んでいる性格(たとえばクールキャラ)は場に干渉するのが難しい。これは逆もまた正しく、外に出ていく動機やフックを持った性格を設定することで、舞台で動きやすくなれると思っている
いろいろ書いたが要約すれば、マックスにとっての”SUNDOG"は姉、というタイトルに沿った解釈を与えたといえる
蛇足だが、ゲーム後の知識で考えれば、たとえばフェリックスにとっては子供、たとえばアーノルドは次期市長。他にもEDから類推してみれば、ジェシカは新しい人生、ケイトは大金の入手、グレッグは薬。そう解釈することもできるかもしれない。また、一層の想像の跳躍を許してもらえるなら、マフィア・犯罪組織的な関係を擬似的な家族的なもの(幻日)として、今作はそこからの逸脱という理解も可能だろう
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2-プレー初期:キャラをどうアピールするか
まず2つ当たりをつける
A パーキンソン病に関する情報を誰かは持ってそう
(これはハンドアウトにある程度明確に書いてあった)
B パーキンソン病の開発それ自体は、他プレイヤーの目標とは衝突しなさそう
まずは「A:パーキンソン病薬の改善方法」に関して調べる
ゲームが始まって最初、状況を集めようかと思ったが、むしろフェリックスなら持ってそうとあたりをつける
この調査の結果、(多分)第二フェーズでフェリックスのPCを入手し、それが最終的にパーキンソン病薬完成のために役立つことになる。
またケイトを調べて、盗聴器を初期に入手する。フェリックスが「盗聴器を持ってるやつは殺す」的な発言をしていたので、これを使って軽くケイトに情報を持ってきて欲しいと脅迫をする
今回は裏社会っぽい人々なので、ある程度交渉的に(自分の利がなければ動かない)でもいいかなとの判断。ただし、何を欲してるかは明確にして、不必要な所で疑われること防止を入念にする
調査はしたが、やはりカード3枚では知れることが少ない
そこで意見交換や全体議論に干渉をしていくことにした
ここでは最初につけた当たりの1つ「B:パーキンソン病の治療は他プレイヤの目的と衝突しない」を活用する
これらのマックスの背景は、ハンドアウト的にも秘匿情報ではなかった。また私物もそれに関するものだったので、早晩暴露される情報である。そのため、初期からパーキンソン病に関して言及していく。つまり、治療に活かせそうな知識を持ってきてくれれば協力できるよ、と話かける。この作戦は、キャラクタを白めにさせることと、誤解を減らすことに貢献して、基本は成功していたように思える。
ただしこの調査では気を付けることがあった
それは、治験での死亡者がいるので、その関係者がこの中にいる可能性があることだ
警戒しつつ適当に話を聞いていくと、バーンズの本当の名前を知っていたことから、ピーターがそれだと理解する。他に関係者はいなさそう?編集長のニコールは関係してない?って感じで、その2人に注意しながら調査を進める
ここまでがゲーム始まって第一フェーズ
第二フェーズに入る時に、話の流れで、フェリックスがマフィアのボスっぽい感じで場を仕切る幕間があった
ここで、フェリックスの存在感を武器にしようと考える
第一フェーズでも、実はヘイデン・バーンズは影武者で、フェリックスが本当のボスなのでは、的なことを流布させていた (途中からこの話は立ち消えになったように思う)
これに加えて、また”アナグマ”がくるというのも途中でフェリックスから話が出てきたので、ここでよりフェリックスを利用させてもらう決意をする。具体的には、GMもゲーム開始時に「みなさん生き残ってください!」的なことを言っていたので、それを踏まえて『アナグマ隊はここにいる全員を消そうとしてるのではないか?』『FBIがいる可能性があるのなら、全員消すのが合理的という結論になるのでは?』という風説として流布する。
この狙いを、もう少し詳しく話せば次の3点になる
①FBIをより探させるインセンティブとして
②マックスのキャラクがわかりやすくなるように
③恐怖を共有させることで仲間意識を形成できるように
これらを目的として、(フェリックスのいない所で)そういう大山鳴動な言動をさせてもらった。マックスとしては、フェリックスは恐怖の対象であればあるほど、他プレイヤーに交渉を持ち掛けやすく、RPの目眩しになる。他にも、“アナグマ”が何かをマックスは途中で把握でき、皆殺しは有り得なさそうと判断したが、その情報は握り潰した (一部PLは途中から把握していたっぽいが)
これはフェリックス演じるマルさんの探偵っぷりと、またその存在感故にできたことだと認識してる。またキャラクタ的にも、マフィアのボスっぽい人と仲良くなろうという思惑と、何ほりあと子供を探す感じがいい感じに混在してて、なるべく協力しようとは思ってた (マックスは親族への思い入れが深いタイプである)
ただしこれら恐怖を煽ったことは、最後ピーターがフェリックスを銃殺したことに影響してたかも、と思う
申し訳ないことをした
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3-プレー中期:どう情報を集めるか
自分がどういうキャラか、全体に印象づけられたので情報収集に注力する
今回の場合、基本的にコウモリ的なプレイを多くして、なるべく情報の収集を試みる
たとえば、サイモンとアーノルドの間でやったのがそれだ。サイモンは地図や鍵が出てきて、だいぶ怪しい気がした。そこで直接聞いてみると、曰くアーノルドの対立候補のスパイ的な存在だと。マックス的にはアーノルドがどうなろうがどうでもいいので「欲しい情報を見つけてくれたら協力するよ」とサイモンにはいい、似た発言をアーノルドにも言う。もちろん、サイモンがアーノルドを調べてる的なことはアーノルドには一切バレないようにして、情報の分断を実現した上でだけど。こうしてなるべく情報が集まるようにしてみた
このようなコウモリ的振る舞いも、「生き残りたいから」を全面に持ってきたら納得してもらいやすかった気がする。本当はアナグマ隊が何かを(途中で)知ったし、フェリックスの接し方からおそらく死なないだろうという推測はあった。ただ、行動しやすいし謎には関わらないだろうと判断して、生き残りたいキャラを継続する
そうして味方形成と情報収集を頑張ってると、二コールが協力してPCのロックを解除してくれる
中身は、パーキンソン病の薬を改善できる技術に関するもの
これでマックスの姉を治療する手段が確立できた
余談だが、ここで「恩をいつか返す」といったのだが、最終的に二コールに銃を向けてしまった
ここに関しては、最後の投票と誰に銃を向けたかで詳説する
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4-プレー後期:どう目的を完遂させるか
技術が見つかり、マックスの目標が”製薬技術を探す”から、”生き残って製薬技術を活用する”に変わる
マックス自身は、麻薬製造に携わったために自分は地獄に行くと思ってたし、死ぬこと自体は怖くはない。ただ姉を治療することだけが唯一の懸念である。そこで問題になるのは、真犯人が誰かということより、FBIに巻き込まれて技術を活用できないことだけが問題になる。そこで、犯人探しとアナグマ隊の恐怖を活用して、みんなに情報を出すこと、そしてFBIを探し出す方向に働きかける (あとは治験関係者へのケア)
まず、場の情報がなるべく出るように、情報出さないアナタは怪しいですねってプレイヤ等に干渉する。これは第一に犯人探しやFBI探しだが、同時に別のことも目的にする。つまり、マックスのハンドブックの最後には、マークが付いたカードがあり、それは該当するマークのカードが場に出たら確認できるギミックがあった。この追加情報も期待してオープンしてもらう方に働きかけた
その結果、次の2つの知識を得る
- “アナグマ”は掃除屋であること。これはアナグマが綺麗好きなことに由来する(殺し屋的なニュアンスはたぶんなかった)
- ネイサンはバーンズの跡取り息子的だが、アジア系のハーフらしいこと
前述のように、前者はそのまま握り潰した
後者はフェリックスにそのまま伝える。なおここでニコールも話題に関心があるようだったが、情報はフェリックスに渡し、ニコールに伝えるかを含めその情報をどう活用するかをフェリックスに委ねて離脱する
これは個人的なPRの指針なのだが、基本的に別PLが隠したい情報を公開するときはなるべく許可を取るようにして、また不必要な情報もなるべく仕入れない(無関係のことに首を突っ込まない)の2点を守ることが多い。これは逆のことも意味する。つまり、どういう人物か何も示してくれないキャラクタは、情報を公開する気がないのだと認識してかなり怪しい度を増す傾向がある。己の潔白は己から示すべきで、他者が理解してくれることを期待するべきではない、というスタイルとも言える。なお、この「己の潔白は己から示すべき」をもとに、他卓でも何回か情報公開を迫ったことがあるが、効果的か否かはわかっていない (むしろ怪しまれる結果になったことも何回かある)
閑話休題。上記のロジックはそのまま、情報公開への圧力としてしばし活用する。今回の場合、ケイトやサイモンなどに公開できる情報はないって聞いて回るなどした。特にケイトの秘匿カードが多かったので公開してねっていう発言をする (お題目としては「情報が足りないから推理しきれないのでは」を持ってくる)
実際、これらは効果的な場合があり、今回もそのうちの1つだった。つまり、ケイト曰く「マックスとアーノルドから秘密にしてねと言われるカードがある」と言われたが、中の人的にはそう返答した心当たりがなかった。怪しいので、アーノルドと相談し、できれば中見を見せて欲しいと迫る。勢いでカードも貰えたので中を見れば、治験で死んだ人の名前だった。これが公開されればピーターから殺意を向けられる可能性がある情報で、危ない情報なので手元に封印する
これで治験関係で命を狙われる可能性が減った。あとはFBIの対応だけが問題となっていた
薬の開発も成功できそうだし、殺されることもなさそう。最後はFBIに捕まらなければいい
そこでFBIであって欲しくない人を中心に話を聞いていく
おそらくサイモンはFBIではなかろう。トラヴィスも違う(ヒットマンの件と、バーンズとの仲から考えてなさそう)。アーノルドも違うし、ピーターは友人を探してる人だ。ケイトは別口の犯罪者っぽいとフェリックスから聞いてるので、それを信用する
残るは、グレッグ、ニコール、ジェシカ
グレッグは薬中ぽいが、もしかしたらFBIかもしれない。多様性の時代だし、薬中のFBIがいてもいいじゃないか。あるいは、薬中自体がフェイクかもしれない…いや銃を撃ってるので薬は本当だろう。であれば、FBIだとしてもマークは弱めていいかもと判断。ここら辺で「君はFBIかもしれない、ドラッグ決めたFBIがいてもいいよね」とか軽口を話して、まぁそれはそれでこっちも困らない(薬漬けにできそう)と思い、放置
残るはニコール、ジェシカ。この2人は正体情報も出回っていなかったし、何より情報が足りず話を聞けなかった。時間がよりあれば、アリバイなどの精査や密談はこの二人のために用いたであろうと思う
(これが最後の投票と銃を向ける相手の選択に影響を及ぼす)
ゲームの最終段階では次の状態だった
- 製薬技術は入手したので、生き残れれば姉は救えそう
- 真犯人は見つけれればいいが、正直ヘイデン・バーンズを殺してくれた人には感謝してる
(パーキンソン病の薬できたからお薬製造から足抜けします、ってのは普通許されないだろう)
- FBIも基本は大丈夫そうだが、ジャネットとニコールの情報が足りない
これらの結果、投票はジャネットに、銃を向けたのは二コールに
これは不確定要素を排除したい心理の現れである
また、二コールはみんなそうしそうだからというのもある
(集団心理&小心者なマックスなら空気に負けてそうするだろうし、その方が映画っぽい感じになりそうと判断)
これらの選択は、”姉を助ける”という一点に行動を絞って判断した
SUNDOGを現実のものとしようとする、小心者で精一杯なキャラクタになっていたら幸いだ
.......ただ指摘もあったけど、最後のニコールへの恩を忘れた行動はホントお前って感じです(自分で作っておいたキャラ造形だけど)
たぶん日々は教会で懺悔して、毎年ニコールの墓に花を添えると思う
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5-反省:どうすれば真犯人に辿り着けたか
(蛇足気味だが) シナリオ自体の分析を通じて、どうすればより真犯人に辿り着ける可能性が高かったかを考察する
キャラクタ間の対立を整理すれば、次の3軸になるだろうか
[あ] 子供の誘拐に関して
フェリックス vs (ジェシカ & ケイト)
[い] 違法臨床に関して
ピーター vs (アーノルド & マックス)
[う] 暗殺者に関して
サイモン vs (トラヴィス & グレッグ)
ニコールに関しては詳細を把握できなかった (子供が関するかもしれない)
シナリオ構造として面白いことに、[あ]の対立構造がhowを、[い]の対立構造が犯行のwhyを提供する形になっている。しかしそれぞれの暴露は、対立する相手がいるために実現が難しい。このジレンマをそれぞれを解説してみよう
先に[い]に関して
違法な臨床実験で事故が発生して、バーンズからマックスとアーノルドに対する叱られが発生している。幸いマックスは見逃されているが、アーノルドは尻尾切りの対象になった。このことをマックスは知っている。つまりマックスはwhyを提供可能だが、それは難しい構造がある。何故ならピーターがいるために、臨床実験に関しての暴露が殺意に繋がる可能性があった
同様に[あ]に関しても難がある
ジェシカが己の証言を暴露すれば、像が凶器でありその喪失があったことが判明する。これはカードで入手可能な情報と照らし合わせることで、アーノルドの犯行を特定しうる情報になる。しかし(これは直接聞いたわけではないので類推だが)、その実現は難しいだろう。理由はやはり、その暴露はフェリックスとの関係を示唆するものだろうから
これらの結果として、whyもhowも積極的な形での暴露が難しい構造が初期から与えられている。もし真犯人特定RTAをするなら、マックスとジェシカが手を組んで、その上で必要なカードを引けば実現できたと思う。ただしそれはハンドアウトで実現しないように防止されている (たとえばマックスは「バーンズ対策で、最初にアーノルドと口裏を合わせようね」という指示がある)。ゲーム的に言えば、プレイヤーがその壁をどう崩すかが1つの焦点だったかもしれない
最後に[う]に関して言及しておく
これは真犯人当てに直接は関係がない対立である。ただしトラヴィス的には、殺し屋を特定しないと生き残りが保証されないため、行動が制限されることになる。サイモンもまたその逆の制約を受ける。これらの結果として、サイモン/トラヴィス/グレッグは、[あ]と[い]の対立に注力しにくくなる
真犯人を特定することが第一目標になるキャラクタは非常に限られていた。その上で現実的に真犯人を特定したいなら、あるキャラクタが秘密を暴露して、その対立に位置するキャラクタがそれを“許す”必要があったように思う。これは犯罪に関わる人々には難しいことだと思うし、そういう流れを構成する物語力が問われていたシナリオだったのかもしれない (もちろん、誰か1人が謎解きを強力に駆動することもあるけれど)