シンエヴァのカヲルくんは棺から出てきたカヲルくんではなく、Qのカヲルくんでした。シンジくんの中にいる、概念的な存在。
カヲルくんを喪って失意の中、大人になった仲間たちの優しさをいっぱいに受けて、シンジくんは成長していく。
これがカヲルくんの言っていた、「安らぎと自分の居場所」だったんだろうね。
そうして大人になったシンジくんは父親とも向き合うことができて、父親も息子と向き合うことができて。
終盤、カヲルくんは、僕は君の幸せを履き違えていたかもしれない、というようなことを言った。大人になってしまって、もう自分には寄り掛かってくれないシンジくんに、寂しさを感じながら。
けれどそうできたのは、全部カヲルくんのおかげなんだよね。
いつも自分が手を伸ばしていたシンジくんに逆に手を伸ばされて、涙を流すカヲルくん。救うはずの存在に救われて、カヲルくんの心も補完されていきます。
カヲルくんも長い間シンジくんの幸せを追い求めて彷徨い続けたけど、この瞬間に救われたんだんだなと思った。結局自分の幸せは他人が与えてくれるものではなく、自分で掴み取るもの。カヲルくんも分かっていながら、エゴにも気付きながら、それでもシンジくんを救いたかったんだね。
私は、庵や貞、Qの、依存関係にあるどこか不健全な関係の二人に、萌えていました。
けれどどこかで、二人がもしずっと一緒にいたら、お互いをダメにしてしまうのかなとか、そう考えていた部分もあって。シンジくんはカヲルくんに甘えすぎるし、カヲルくんもシンジくんに甘くしすぎる。そうやって共依存に陥ってしまうんじゃないかって。(それはそれで非常に萌えるんですが。)
そんな気持ちすら全部まとめて補完されて、無事にLCL化した感じがしました。
シンジくんが大人になってしまったら、満たされてしまったら、きっとカヲルくんのことは必要としないかも知れない。
けれどこれからの長い人生の中、シンジくんには辛いことも苦しいことも、きっとたくさんあると思うんです。そんな時にはきっとカヲルくんが救ってくれるよ。どんな世界線だとしても、きっと。