「ソー ラブ&サンダー」で素直な意味でMCUトップクラスにグッと来てしまったのは、ジェーンが何故ムジョルニアを持てたのか。
キャップよろしく、ムジョルニアに相応しい持ち主としてジェーンが認定されたのかと思っていたのだが…
実はジェーンとソーの同棲時代に、ふとソーがムジョルニアに「ジェーンのことを守ってくれ」と願掛けをしていたことがきっかけだったと描かれる。
別にソーのおかげみたいな描き方もしていない。2人の関係の中でなんでもないような日々の中でふと大切な人の幸せを祈った、それだけのことで。
んでこのラブ&サンダーという映画自体が恋愛の始まりでも終わりでもなく、その間に無数にあるはずの何でもない瞬間こそ本質であるかのような描き方をしているので、そんな最中の祈りを覚えていたムジョルニアが新たな使用者として余命僅かとなったジェーンを守るためにそばにいるようになったと。
更にこの映画がグッとくるのは、ムジョルニアがジェーンの物となった理由が特に映画の後半で誰かが気づいたりドラマを動かすギミックになったりしないこと。
ソーもジェーンも「適正あったからムジョルニア持てたんでしょ」という認識のまま。
それこそが2人の関係の間にしか無い「何でもない瞬間」ってことなんだよね。2人でさえ忘れてるような。
そんな瞬間に確かにあった、もはや誰も知らない細やかだけど切実な祈り。
ラブこそが新たなサンダーを生んでいたのだ。