ひいらぎもどろき祓い ねぶらまの棺 - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16817139555364958941
本編は読了したかな? ネタバレ全開後書きだッ!
#ねぶらま
●丹村乗
最初は殺すつもりで作ったキャラクターですが、作り込んでいくうちに愛着が湧き、「どうせ生き延びるなら、どれだけ酷い目に遭わせてもいいよね!」というひらめきを得ました。
ので、当初の予定ではあそこまで色々追い詰められる予定ではなかったのですが、凄く面白くなったので良かったです。殺すだけがホラーじゃないんだ! 本作のコンセプトが「いかにキャラクターを生殺しにするか」になったのもこういう経緯です。
義父からの性的虐待は二、三ヶ月ほどのこととはいえ深い傷になっており、八尋と一緒に死体損壊&遺棄をして共犯意識を持つことで押さえこんだというか。八尋にちょっと(ちょっと?)依存している傾向があります。
ちなみに、八尋の退院後はじっくり彼の刺青を見せてもらいました。
あとはわかるね?
●白草八尋
陰キャにするぞ~と意気込んだけれど、骨の髄まで陰キャだと話が動かしづらいので爆発させようと思ったら、火薬量を間違えて、とっても面白い花火になりました。
自分を大切にしない人間なので、(身内に含まれない)他人にはどこまでも冷酷になれるし、それを当然だと思っている人種。入念に準備し、計画を立て、実行し、その後一切罪悪感を抱いていない(夜志高は彼のそういう所が大嫌い)ので、実は「生まれながらの殺人者」かもしれません。
なお、彼に憑いていた殺した義父の残留思念は本当に残留思念で、特に障りをなすものではないです。夜志高が「ケガレ」と表現したように、ただ霊的に汚いだけ。掃除(ヘナタトゥー)に二時間かけてまだ消えないので、ガンコですね。
霊感で人の心を読める夜志高が、八尋の自己暗示とそれに秘めていた計画に気づけなかったのは、こいつが予想以上に狂っていて対応できず、見誤ったためです。
没テキストではもっと正気を保っていて、眼が澄んだ綺麗な八尋ですが、それはそれとして「死ねッ死ねッ死ねッ!」と叫びながら善根世の眼を素手で潰すという没案もあったので、まあどう転んでもお前は地獄行きだよ。
所詮来世の話ではありますが、乗といっしょにいられるのは今生で最後です。
●柊夜志高
基本的に自分の技術に対するプライドが高く、タトゥーアーティストの道を究めることに喜びを見出している人なので、「二週間で全身刺青施術」という過酷な仕事に実は情熱を燃やしていました。
「焼き印に刺青、この短期間でここまで一生物の傷を負わせた自分は、こいつ(八尋)に何らかの責任を取るべきでは……?」という人の良さと、「もうやだ早くコイツ丹村サンに引き取ってほしい」という気持ちで葛藤していましたが、最終的には八尋を見放しました。わりとギリギリまでサンづけしていましたが、「白草ァ! てめぇ!」はもっと叫ばせたかったですね。
善根世と二度目の対峙の時、わざわざ構えた数珠を下ろしてマグライトを拾ってやろうとしていましたが、あの段階まで追い詰められたなら彼を捕縛したり、返り討ちにする自信があっての行動です。
私服は「着てみて気分がアガるもの」という基準で選んでいますが、お姉ちゃんが「あんたがそんな格好していたら、スタジオに来たお客さんが不安になるからやめな」と止めるので、店ではしぶしぶ無難な格好をしています。
ところで神罰の話がありましたが、「ねぶらま」が〝ねねさま〟という神の眷属であるように、柊家も〝もごよきのおおかみ〟の眷属です。
我が子に拝み屋家業は引き継がせたくないのですが、神さまが「お前ら末代になるんじゃねーよ、ちゃんと次代残せよ」と言うので、姉弟のうちどちらかが子供をもうけることになると思います。
特徴として「同心円状の模様が入った黄金の瞳」がありますが、眼球タトゥーは白目を染め上げるもので、模様を作ることはできません。カラーコンタクトでもなく、生まれつき。眷属の印ですね。
●ねぶらま
畜生道の地獄。しかも堕ちる前にえんえんと死ループの刑がありますが、これは神さまが「お前は眷属(家来)だからうちに住まわせてやるけど、その前にケガレを落とそうな」と嫌がる犬猫を洗っている感覚です。
夜志高らは地獄と称していますが、それは神の国であり、しかしヒトや他の生物にとって極楽天国であるとは限らない、というだけのお話。ねねさまには悪意も敵意もないのです。
作中で「ねぶら筋は滅んだ」と言われているように、実態は縮小傾向にあった眷属たちですが、善根世が「このまま眷属がいなくなったらねねさまが起きて、この世が終わる」と言っているのは偽です。
正確には世界(現世)が終わる時にそろそろ起きるか~と出て来る感じですが、スケールが違いすぎるので我々には「いつお目覚めになるか分からない、怖い」としか見えません。
まあ白重川の氾濫のように、眷属大量虐殺とかされると、さすがにちょっと怒りますが。
実は知らない所でひっそりと「ねぶら筋=ねぶらまが人に生まれ変わったもの(株神/トーテムであるニニギ様は彼らの前世および来世)」は存続しています。
夜志高の曾祖父に鎮められてからのねぶらまーズは、身内で輪廻をくり返しているだけのひっそり怪異でした。
ですが、善根世が「ねねさまにお仕えして家族を作ろう!」と『眠りの森』を立ち上げ、送りびつの儀式を再開したため被害がドッと増加。ねぶらまも仲間が増える方が嬉しいので、彼がお役御免になった後も続行されたという次第。
白草米徳が「七守の村に道をつなげてしまったから、呪いが拡散されたのではないか」と言っていますが、これは無軌道大学生の仮説から彼がそう思い込んでしまっただけで、実際に拡散させたのは善根世です。
八尋が長のポジションに就いていた方が平和だった、という可能性は充分にあります。
ちなみに、連れて行かれて帰れたのは乗、夕起子、白草家の人々と猫だけで、冒頭のアオギリ会に参加した人たちや、蓮本小静の妹・子安さんなどは全員ねぶらまです。乗の母はエサであってねぶらまではないのでセーフ。
●なぜ死後も善根世がWebに書き込めたか
対峙したシーンで「一応人間」と彼自身が言っていたように、八尋に首を落とされるまでは彼はれっきとした「生きた人間」でした。殺害されたため「死霊」と化し、死ループに入る前に引き継ぎ作業をやらされたという社畜的な経緯です。
●メロウアセロラ
アイコンで一応示していますが、アカウントの持ち主は「蓮本小静」です。八尋が番狂わせを起こしてちょっとてんやわんやしましたが、順番の繰り上げ繰り下げで彼女が長のポジションに任命されました。ねぶらまの世界は年功序列です。