デザインズ7感想、お目汚しになるのでここ+リンク先の追記に纏めます。
リアル世界と絡めた感想もあるので、アウトの方はブラウザバックお願い致します。
#FSS_jp
とにかくでかい、重い、情報量多い。腱鞘炎再発。
今まで断片的だったモナーク記から星団歴7777年までの歩みがしっかり整理されたのは大きい。
しかし作者は物語を作ったというよりも、本当に「世界をデザインした」んだなあと痛感。
各国の政治体制、議会制度、王家皇家の継承システム、資源の配置や移民難民の流れまで……
東京新聞インタビューで現実の歴史には全く関心がなかったと話しておられるが、私には謙遜に聞こえる。
・AKDの軍事力
9巻末の星団パワーバランスを見るとAKDは8位になっているが、今回の資料を考えるととんでもないなと。
そもそも星団歴はAD世紀に比べて技術力は衰退中、星団歴に入って世界共通でゲームチェンジャー的に飛躍した技術なんてAFの誕生くらいしかないのでは。
他はAF性能の向上、新型スーツやGTMではどうなっているか分からないけど積層装甲とかマイナーな技術革新の積み重ねだったと思うんだけど、そこに天照は新型閃エンジンの開発、ツインエンジン技術とストライパーシステムとかをぶっこんで来るわけで、これは完成しちゃったら他国に太刀打ちできるわけないなと。
今後のヨーグン・ダスニカの人造騎士と違法ファティマはゲームチェンジャー的と言えない事もなさそうだけれど、こんなヤバイ技術は大国こそ即導入できないだろうし。
そして不老の超高次元存在による超長期独裁政権なわけだから、国家方針にブレがない。
軍事開発に突っ込む国家のリソースや優先順位、人材の配置、そういったものが揺らがない。
更に開発ブレーン(本人)が不老で全知、リクルートしたガーランド(カリギュラ)も不老=技術研究が積み重なるだけで途絶えるリスクは皆無。
予算カットでお蔵入りとか一切なし。政権交代で人事入れ替えとかもなし。
普通の国に対抗できるわけないなーと。
リアルではそんな統一意思の下に時間をかけた地道な努力でちょっと手出しできない国になってしまった例に北朝鮮があるので、複雑な心境ではあるが。
ああ、これはバッハトマもある意味同じか。
フィルモアは建国時の理念から何代も経たり元老院がのさばった事で乖離した結果、世界大戦による情勢とダイ・グやレーダー9の個人的資質が重なって何とか専制君主制に移行。
今後母星を放棄しなければならない国で、議会だの国民だの地方だの言ってられないもんなあ。
現在の自国や某超大国を見ていると民主主義の限界がよく分かると同時に、独裁体制の欠点も並行で見えるわけで……。
だけどリアルの国際安全保障が厳しい今だからこそこういう話が実感を持って感じられるけれど、この議会制の限界とか民族自決なんて概念を、永野氏は少なくとも花の詩女の2012年以前から考えていたのかーと思うと、作者はリアル世界の成り立ちとその機能性エラーをベースに星団をデザインしたのではないかと感じた。
あと天照の描写で某露国の大統領と同じ事(影武者、入れ替わり、複数、生死関係ない)が言われていてうわーってなったり。
・軍事技術の世代交代
あとがきに今回はアドラー動乱関係は除外した、次のデザインズにはMHという下地のない完全新型がーと書かれていて楽しみになったのと同時に、魔導大戦で各国が実戦を経験した後は一斉に兵器・技術の世代交代があるのだろうなと納得。
リアルの世界でも、恐らく今の戦争で得たフィードバックで今後の紛争はそれなりに変わると思うので(ドローン技術、特に水中ドローンに対しての海軍の運用)非常に現実的な流れだと感じた。
・数式生命体
今回改めて考えたのはAFという存在について?
あとがきを読むに、AFの繁殖は3巻当時ふんわりと考えていたAFと人間が共に重ねた時間や記憶から新しい存在が生まれるようなイメージに対して、現実の科学での理由付け(っぽいもの)が可能になったのだと理解。
それで数式生命体という更なる背景が必要になってきて、世界設定がぐわっと広がってしまったのだろうなあ。
しかし肉体的な生殖機能とは無縁で、宝石と同じ品質分け、前期・後期といった「作風」への言及と言い、作者にとってのAFが増々初期の騎士と恋仲になるような「女性」から芸術品、兵器としての実用品(例:孔雀色の宝石)の方向で固まってきている印象を受けた。
リブートと同時に変わった体型やFネームへの変遷を見ても、当初の騎士とファティマの恋物語もしくは性的搾取的な要素は少なくなったよなあと。
小ネタでの感想は多々あるし、いくつかかなり驚いた設定公開もあったのだけど、そもそもネタバレになるし書ききれないし。
でもバイズビズの元ネタ、アダム・クーパーかーーー!っていうのはかなり驚いた。
いや、そりゃあ初登場時の衣装とか見ればまあ。
でも白鳥氏は素でも役でも弟属性はなさげなので、全く思い至らなかった。
興味ある方は画質悪いですが↓からどうぞ。件のビリー・エリオットのラストシーンの元ネタがこの舞台です。
音に対するパの正確さと空間支配能力が凄いんだ……。
https://youtu.be/XjEabdA8NMY?si=JACLpVdnsDS4VywH&t=256
あとはあとは……余所でも散々言われていたけどニナリス良かったね!
ハイレグの犯人はお前か!とか。
誤植はちょこちょこあったような。
コーラス3960年の話が少しずつ出てきたから、作者はもうアドラー動乱はほぼ組み終わっていてあちらのネームというかシーン選定している所なのかな、とか。
とにかく盛りだくさんな一冊でした。
毎回そうだけれど、ちゃんと出費しても悔いのないものを作って下さるのが本当に有り難い。
まずはトラフィックスの終着駅(ターミナル)を楽しみにさせていただきます。