2部1章ベオウルフ周りの個人的な感想
本筋は置いといて取りあえずベオウルフ周りの話だけしている
ベオウルフは王様恰好良い!という話ではなく、彼の英霊としての在り方の話だと思った
ベオウルフって5章での描写とかイベントでの描写が断片的すぎて、言動自体はものすごく納得できる描写なんだけど
その根幹というか何故そういった言動を取るのかというのまでは原典を読まないと分からないような構造になっていて、
元ネタを読むほどではないし絆礼装を手に入れる程ではない、というユーザーからしたら
見た目が怖くて言動も荒々しい所はあるけど子供に優しかったりもするよね~というふわっとしたテンプレ記号キャラとしてしか受け取りようがないというのが正直不満だったんだけど
全部解消してくれたしこれ以上の描写はないって感じでした
北米では(一応)臣下ポジで、2017夏イベでは王様ポジをギャグで消化済みだったので、
正直この先二度とベオウルフの出番はないんだろうな~あっても2018夏イベみたいに唐突に一言二言喋る位だろうなぁと諦めていた所に、急に本物の王様ムーブをしに出てくるからめちゃくちゃびっくりしたしありがたいし予告してくれ…という気持ちになりました 最高
あと服を着ろ アタランテが困惑してましたよ
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まず、永久凍土帝国でベオウルフが採用されたのは、
マシュが言うように「力で事の正否を問う世界」で、ヤガが言うように「強食こそ人理」という世界だから
そのような時代を生きて徳高い政を敷いて国を治めていた王である英雄を土地が求めた、という事なんだろうなとは理解
そういう世界で生きている民の為、名誉ある戦いの末に死んだ人間に 「力で事の正否を問う強食こそが人理の世界」を終わらせるという事を自ら実践してみせよという話なのかな(味方陣営だし)と思ってたんだけどぜーーーんぜん違いましたね
ベオウルフは王様である、という事が今回の主体ではなく、周りから求められる役割に対しての適応力の高さの話(と原典をなぞる描写)だった気がした
そもそもに原典からして生きて死ぬまでの過程で生まれた周囲から求められるままに与えられた役割に真摯に向き合った人間の話なので、ベーオウルフ王の話が主体ではない(王として国を治めた話はごそっと抜けている)
=王様の話にはなるのでまあどっちが主でも従でも別にかわらんやん、という話ではあるんだけど…
自分の事すらアヤフヤな中、強食こそ人理という世界で生きているヤガのはぐれもの達と、元々の土地が、強い王様を求めていたので
結果的にまた今回も自称向いてない王に周りから仕立て上げられたのが今回のベオウルフという話だと思うんですけど
またこの人損な役回りの王様してる……原典通りじゃん…?みたいな気持ちになってしまった
なのに、ぐだに対して「まわりから、馬鹿げた勇者に仕立てあげられるなよ?」という発言がもうさぁ……
望んで損をするという発言から、俯瞰して見れば同じような立場だという自覚はあるんだろうけど、
それにも関わらず、望まれたのでというだけでガラでもない王様してしまうのは本当に君…王様向いてますね…
ビリーが言うように、自分が望んで王様やるかぁ!ってやっているのではなく、英霊になっても尚、周囲の状況に立場に役割を縛られているのと言うの
FGOベオウルフは本質的にそういう構造をしているのだという描写が今回公式でなされたの、うわぁキツイ…最高では……????ってなるよ
自分でもガラじゃないなんて言う程にやりたくないし、実際原典でも一度王様を固辞した上で色々あって王様をやらざるを得なくなった感じなのに
シナリオ中で「しょうがねえ」の一言でその役割に治まって物事を進行していく事がちょいちょいあって
役割に縛られているどころではない…そういう在り方しか出来ない構造をしているのでは…?みたいな気持ちで読み進めてしまった
前々からそういう感じなのでは?って言ってはいたけど公式でこうも明確に明言されてしまうと逃げ道がない辛い…ってなるよ そこが良いんですけど
しょうがねえ、で気安く案件を請け負うんじゃない もうちょっと我欲を持っていいんですよ…
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19節なんですけど、ヤガ達に対しての「自分抜きでも十分戦えるように鍛え上げた」の下りなんですけど
十分に戦える、逃げることもできる、生き延びる事が出来る というやつ
これはもう完全に老ベーオウルフの火竜討伐の流れを汲んでるのは誰でも分かると思うんだけど
原典だとウィーラーフを除いて誰もついてきてくれなかったんですよ
それでもベーオウルフは血縁の者に命を奪われるような終わりより、名誉ある死のほうが良いと戦いに赴いて
恨み言を言わず民の為討伐した事、宝が手に入った事を喜ぶんですよ
戦える臣下は沢山居たのにも関わらず、老いたベーオウルフに寄り添ってくれたのはウィーラーフだけだったんですよ
ウィーラーフだけは王を見殺しにした臣下達に怒りの言葉をぶつけてくれたけど、王はそこで死んだんです
アタランテが言った「人種的には私寄り…だったと思う」というのは、原典が神話大系に近いという意味かな?と思ったんですけど
自分で言っているように、ベオウルフは神代を生きたキャラではなく神様の血は入ってない人間の英雄なんですよね
シナリオ中でも何度か出てきたけど、英雄だけど、王様だけど、ベオウルフは人間なんですよね
なのにも関わらず、逃げても良い、と言うのさあ…
その発言の時の表情差分さぁ……逃げて、生き延びる事もできる、それを咎めたり非難したりはしないけど
そこでその表情をするの君…???部下にも同じ顔して同じ事言ったんか???
もうちょっとなんかこう いいんですよ欲を持っても それは人間として当然のものなので
そんなところまでそういう役割なのだという言動をしなくてもいいんですよ………だがそこがいい
そう言う所こそがベオウルフと言う感じだった
自分が消えた後の事を考えておかないといけない、自分が居なくても何とかなる、そうじゃなきゃ本当の明日は来ない というのも、これも原典をなぞってるとすると、そこは原典では恐らく失敗してる所なんですよね。
50年間平穏に過ごせていた自国っていうのは、ベーオウルフ王個人の力で成り立っていたので、近隣国に知れ渡れば再び争いが起こるだろうな~っていう不穏描写があるので王を亡くした後に国がどうなったのかは想像に難くない
だからこそ今回はそうならないように鍛え上げた
武蔵ちゃんとマスターに逃げろっていうのも、先のある、未来のある人間を優先している
アマデウスがサリエリにかけた言葉の「それで君と言う人物の人生が救われる訳でもない」っていうのは、このベオウルフの言動にもかかってるなぁと思ったけど
失敗した所を今やり直しても、あなたの国だったものの何が変わるわけでもないのに、異聞帯は消滅させなければいけないのに、
それでも今この世界に生き残る者の為にそれをやらずにいられないの王様に向き過ぎている…っていうやつでしょ…辛い
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あとあの~~「もう英雄の時代じゃねえんだ」の話、メタ的には5章ラストエレナちゃんとの会話を拾っているんだと思うんですけど
あれは北米から思考が変化したのではなく、ベオウルフの柔軟性の話と、この異聞帯のベオウルフは間違いなく汎人類史側の英霊である、という証明に他ならないと思っていて
そもそも、5章のエレナのあの話はお説教でもなんでもなく、
かつて暴力で政をしなければ誰もが幸福になるはずもなかった(=間違った事ではない)
けれど、知恵を絞る事は人が歩みを進めるための歴史の成果物そのもの
前に進むということは、何かを失うことである 5章においてそれは力での支配である
北米のベオウルフは敵対側で召喚されていたので、力側の思考に基づいていた
今回のベオウルフは味方側で召喚されていたので、前に進むことを善しとした
っていう、どちらかの側面が出ただけという話だと思うんですよね
元々、求められるものに適応していくタイプの英霊なので、そういうものの振れ幅は召喚状況によって大きく変わるだけっていう事だと解釈できると思うんだけどどうなんですかね
これに関しては、今回は世界側に召喚されたので世界が求めた役割のベオウルフの王の側面をピックアップされただけという感じがした
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9章とアヴィ先生に対しての言葉使いお前ほんとそういうところ
王様の時は王様モードで仕事していたのだというのが分かるの最の高でしたね
21節、アヴィ先生が記録の話をしているときの会話で
記録の有無はその鯖の性格、思想、思い出の中身に左右される
何の変哲もない戦争を覚える必要はないけど世界を救った事くらいは覚えておきたい って言ってるのに
申告通りであれば、異聞帯のベオウルフには1部の世界を救った記憶がないんですよね……
覚えておきたい、というのは俺の話じゃなくて一般論なのかもしれないけど、例えに出すほどの事で、でも記録はないっていう事なんだよね
魔神柱倒しにきてくれたのに、世界を救ったのに、記録ないんですか……?
ただでさえ欲がない人なのに、数少ないテキスト上での「覚えておきたい」すら反映されないの、求められた役割通りに生きる、というのがそれ以上の制約なんですか?
原典でグレンデル親子討伐の時に賜った「傲慢な心が勢いを増せば必ず人は破滅するから、禍いの源たる思いに囚われるな」=無欲であれという制約がまだ生きているんですか?
と思うとほんとあの~~ってなる…なった……
もう少しお手柔らかにというのはないんだな つらいなぁ しかしそこが最高に最高なんだよな……という思いで一杯になった
5章での戦闘狂っぽいような描写の部分も、喧嘩に勝ちたいのではなく、
王としての責務がないのであれば一介の戦士として戦い続けたいという意識の表れであって、戦闘狂ではないんだよね
それが自分の希望だけれど、王としての役目を与えられたなら役割をきちんとこなしていくのが義務みたいな言動本当~~~に好きなんだけど
やりたくない向いていない王様としての役割を強いられるよりも、北米で元気に喧嘩している方がまだマシなのかな…とは思うものの、かといって、戦士として戦い続けたい、というのも殴り合いが趣味じゃあ駄目だよなというマイルームの会話から見るに
それもまた周囲から望まれた臣下時代の在り方だったからなのでは?と思うと、
この人無欲なんじゃなくて、そもそもに「無欲であれ」というその制約が、自身の意思よりも何よりも優先されてしまう構造をしているのでは?……って思ってしまう
まあどちらにしても最高なんですけど……救いようがないなと思うけど全く気にしてなさそうな所が更に救いようが無くて最高というやつなんです
北米の様に臣下として戦士としての役割だったり、異聞帯での王様としての役割だったり与えられたものがあった状態ではなく、
これと言った役割は特に無いけど人理修復の手助けをせよ、というだけのカルデア、マイルームでの「無趣味」発言っていうのは
早期退職したけど仕事しかしてこなかったから特に趣味とかないしやる事がない毎日が日曜日のお父さん味が強くてな
トーチャン感があるとたまにいっているのはこういう事です
もうちょっと自分に興味を持って良いんですよ……
幕間もそんな申し訳なさそうにしなくて良いんですよ…
聖杯欲しがっても良いんですよ……
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ビリーの主たる役割はビリーにしか出来ない案件だったやつだけどそれはビリーの村の人が既に書いているのですっとばした上で
ベオウルフ陣営としてのアレだけを見ると、概念ウィーラーフとしての役回りも兼ねて居たのでは…という気がしてならない
とにかくベオウルフへの理解が深い
会話を切られて引き下がる所、相手の踏み込んでもどうにもならない領域を良く理解してる
ウィーラーフって、結果的に孤独な戦いばかりであっただろうベーオウルフの最後の最後に出てくる理解者だと思っているので
おやすみなさいの部分はダイレクトにそうなんだけど、途中途中の描写からそういうものを勝手に感じた
今回は最初から最後までビリーが一緒に戦ってくれて良かったなぁって思いました
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あと武蔵ちゃんとのWなんとぉ!?がめっちゃ可愛かっ