KP白烏さんに回して頂いた、『とんねるいえ』の後日談。
ネタバレしてるので未通過さん×
桐谷くんの書いた記録。
旅の記録を付けようと思う。
七月一日、谷部くんに誘われて旅行に行った。
誘って貰ったと言うのが純粋に嬉しかった。
行った先は、上杜湧水トンネルと言う場所で、短い期間だけに催される納涼祭があるらしかった。
暗く涼しいトンネルの中。天井から吊るされる形で展示されている作品は、中にライトが仕込んであるらしくぼんやりと灯りをともしていて綺麗だった。
そこでまた、不思議な事件に遭遇する。
水鏡の中の世界で、僕等はある人物の狂気に触れる。
今まで遭遇したモノとは違う、明確な悪意の潜む出来事。
詳細を調べた結果、僕の視点で見るとこれはカルトな思想が引き起こした事件だと判断した。
オカルトを信じて人ならざるモノを呼び、近しい人物を殺害した人物。
憎悪渦巻く出来事の渦中で、人が死んでいく。
ハネワニ、と呼ばれていた生き物に遭遇した。
ファンタジー小説に出てくるような空想の生き物たちによく似ていると思った。
この仔はとても善い仔で、谷部くんと僕を助けてくれた。
……そう、助けてくれたんだ。
化け物が隣の牢屋に居た人物を喰らう時に隠してくれたり、瓦礫から守ってくれたりした、と言うのもある。
あの仔が敵とした人物に致命傷を負わせ殺してしまったが、これが僕には助けになったと思う。
凶悪な事件と言うのは世にありふれているが、こんな明確な憎悪によって引き起こされた理不尽を許せるだろうか?
理由はわかったが、それでこんな事をしていい訳が無い。
自分でもどうかと思うけれど、僕は、確かに怒っていた。
ハネワニちゃんがあの時、犯人を殺害しなければ僕が手を出していたかも知れない。
……まあ、その。多分、そうなった場合、谷部くんに止められていた可能性はあると思うけれど。
背筋が凍るような。
普通ではありえない様を見たのに、驚きもしなかった自分に衝撃を受けた。
確かに、今度は本物の谷部くんと言うか。……ええと、本人?と一緒に行動しているから、しっかりしようと思ってはいたけれど。
それにしても、だ。
僕はどうしてしまったのだろうか?
警官としての心構えが出来て来た?……今は一先ず、そう思う事にする。
こうして、不思議な体験をした旅行は終わった。
無事に帰ってこれたのは喜ばしいが、変な慣れが出て来てしまったのだとしたら気を付けねばならないだろう。
備考欄。
あの場所で首を吊って死んだ彼女はご家族の元に帰れたようだ。
助けてあげられなかった事を悔やんだが、発見された様で良かった。
また、逃げ出す時に僕等を導いてくれた人物の事の気にかかる。二人が迷わず成仏できるように、近々神社にでも行って手を合わせておこうか。
効果はあるか分からないが、やらないよりはマシだろう。……多分。
2020705セッション
色々考えさせられるシナリオでしたが、とても楽しかったです!
谷部さんと一緒に探索できたのは良かった!ありがとうございました(*'▽')