2022年12月22日すずめの戸締まり
教えて新海監督!ティーチイン舞台挨拶まとめ。
書けるだけのこと全部を詰め込んだ大容量版です。5000字弱ありますのでお時間のある時にでもお読みください。
暗闇で、一切己の手元を見ないまま、ポメラのキーボードを叩き続けた結果、タイプミス、ひらがな文のオンパレードだったため、一部解読できなくて情報が欠けております。
また、解読ミスで誤った情報となっているところもあるかもしれません。お気づきでしたらご指摘願います。
ふんわり読んでいただけたら幸いです。
端的に言うと、半分くらいは新海監督と洋次郎さんが仲いいね、って話でした。
洋次郎さんが本当にひとかけらも、監督と舞台挨拶できる、という喜びを隠していなくて笑いました。
「新海さんと会うのはいつでも嬉しいし楽しいです」って言ってました。よかったね。
今回の舞台挨拶で、58回目になるそうです。
現時点で22都道府県を回っていて、来年以降も回る予定なのでよろしくお願いします、とのこと。
長野キャンペーンの後
・長野のキャンペーンで洋次郎さんが言っていた「監督に聞きたいことがたくさんあるのであとで聞きます」はTOHOに止められた
・長野であの後3時くらいまで飲んだときに聞こうとしたのに「次の舞台挨拶で」とストップがかかった
洋次郎さんからの感想メール
新海監督
・最初に脚本の草案を送ったときの、洋次郎さんからの最初の感想メールを見つけた
・この言葉に背中を押されたから、と2020年4月19日のメールを音読。
メール本文抜粋
すずめの戸締まり(仮題)読みました。今、涙ぐみながらこれを書いています。
今までの新海さんの三つの作品の一稿の中で一番感動しました。
ハラハラにやにやドキドキ絶句一喜一憂。
今のこの世の中の状況を反映させているようで、こんな物語に会いたかった、と思いました。
今までにない試みを感じられる作風。
ファンタジーにあふれていながら、そこに嘘はひとつもなかった。
鈴芽も、草太も、ダイジンも、この世界のどこかに存在している。
それくらいこの物語に魅了されました。
今しかできない作品だと思いました。
むしろ、ギリギリ間に合うか、というところ。
僕はロードムービーが好きですが、ただのロードムービーだけではない。
胸に響くポイントが多すぎて心が忙しかったです。
(ここで「めっちゃ喋りますね」と苦笑混じりのツッコミが洋次郎さんから入りました)
これは、世に放たれるべき作品です。
このプロットの段階で、びっくりするほどの勇気をもらいました。
ありがとうございます。
・このあとすぐに追伸があった。「伝えきれなかった部分を」と
・監督のスマホを覗いた洋次郎さん「ああ、追伸が追伸じゃないですね」
・ここも共有したいけれど、また何かの機会に
・この、「今しかできない」「今じゃないと間に合わない」「この映画を見たい」という言葉に、作っていいんだと思えた
・洋:監督の音読を聞いているうちに当時の感覚がよみがえってきた
・世界の誰も知らない物語を自分が読んだという感動があった
・新:一番最初の観客が洋次郎さん
・新:僕がどれだけ幸せな思いをしたかが少しは伝わったんじゃないかと思います
ちなみに、監督は洋次郎さんご本人に音読してほしかったそうです。羞恥プレイ!
司会の方からの質問
「すずめの戸締まり」における音楽の作り方について
・一回会って打ち合わせをする他は基本メールの往復
・新:関ジャムで赤裸々にメールがさらされていたたまれない気持ちになった
・洋:『君の名は。』の経験が大きい。あの時が一番きつかった
・新:きついです、って言われて、そうかきついか、ってなった
・洋:大変だったけど、あの経験があったから、監督が正解を知っていると理解したし、打たれ強くなった。自分一人じゃたどり着けない場所に行けるんだと知った
Tamakiについて
・環の物語が、明後日の24日から入場者特典になります、と宣伝
・「もう一回映画館に来てね」
新海監督
・環にはいろんな感情をこめたんですが、洋次郎さんから最初に送られてきた曲のいくつかの中にTamakiがあって、いきなりこの曲がきたことにびっくりした。
・なんでいきなり環の曲?鈴芽の曲がほしいなって(会場でウケてました)
・曲を聞いてなるほどと思ったけど、映画には入らないなと思った
・ただ、映画のセリフや小説はこの曲を聴きながら書いた
・深津絵里さんに環役をお願いするときに最初に聞いてもらったのが Tamaki。この曲で深津さんを口説いた。「環はこういう女性です」と。
・(洋次郎さんに)なんであの曲が最初?
洋次郎さん
・なにも考えずに物語が通過して、生まれてくるのをそのままを届けたかった
・ストーリーを見ていて生々しい彼女の存在を感じた
・"私を見て"
・で、「あなたのことが嫌いだった」というこの一行目が出てきた
・これってイコール、「あなたのことが大好きだった」って意味なんじゃないか
・この感じってなんなんだろうと思って、自分も知りたいと思った
新海監督
・最初はワンコーラス分しかなかったのに、フルコーラス版が、使わないって言ってるのに後半にあがってきた(笑)
・サントラに入ってますのでぜひ聞いてください
洋次郎さんからの質問タイム
すごくうれしそうで「いいですか?」と何回も訊くのがかわいかったです。
「ダイジンがスナックで人間に見えてるのは何故?」
新海監督の答え
・ダイジンは猫ちゃんではある(猫ちゃん、って言ってた)
・でも神様だから、自分が人にどう見られたいかをコントロールできる
・本当は最初のプロットだと御茶ノ水駅前で、三人と一緒に車に乗ってくるダイジンは、知らないおっさんとして登場させようと思っていた
・鈴芽の目には猫のダイジンに見えるけど、環さんにはおっさんにしか見えない、みたいな
・あの四人旅は、鈴芽と環と芹澤と知らないおっさんになる予定だった
・洋:だいぶ趣きが変わってきますね
・だけど結局、川村元気がNOって言った。「ちょっとわかんないんじゃないですか?」と。
・で、猫にして、スナックだけが残った
・ダイジンの人間版は、あんまり格好良すぎない方がいい。本当におっさん
・洋:ラフのスケッチを見てみたい
・新:機会があれば ←よろしくお願いします!
客席からの質問タイム①
「もう一曲の、サントラだけに入っていて本編には使われなかった『すずめの涙』について、使われなかった理由や制作過程を教えてください」
新海監督
・最初は『未来色』という曲名だった
・『すずめの戸締まり』においては、過去作のように途中で歌の入るモンタージュ的にはしたくなかった
・歌詞付きの曲はエピローグにしか使わないと決めていたので、すごくいいなと思いながら最初から候補には入っていなかった
洋次郎さん
・これも初期の曲、Tamakiと同じくらい
・作品内で使わないとは聞いていたけれど、カナタハルカとエンドロールでどちらを使うか議題にあがった
・物語の終わりには少し寂しいね、ということでカナタハルカになった
・エンドロールには、あと二曲、候補があった
・川村元気はもう一曲がいいと言っていた
・監督がカナタハルカがいい、と言ってそれに決まった
・残りの曲もいつかどこかのタイミングで出したい
客席からの質問タイム②
「現代の他の閉じ師の状況について」(監督は「ガチ勢ですね」とちょっと笑ってました)
・ここで話すと少し長くなりすぎるが、とりあえず、宗像家以外にも西の閉じ師や東の閉じ師がいる
・ざっくり設定はあって、古文書に設定が書きこまれているから、頑張って読み解いてみてください
・もしかしたらこの先何か文章で出すかもしれない
・得点の小説とか、連載中のマンガとかで
・映画の外側から探ってもらえたらうれしい。ここで話すと少し長くなりすぎる(二回言いました)
客席からの質問タイム③
「野田さんは毎年東日本大震災の日にアップしていますが、それらの曲と今回のすずめの曲作りで似ていたところがあれば教えてください」
洋次郎さん
・根っこの部分では共通しているところがあったかもしれない
・3/11に曲を出しているのは、どこか自分のためで自分勝手な行為のつもり
・今回の映画の曲はそれだけでは駄目で、観てくれる方により多くのものを受け取ってほしかったし、監督の伝えたい塊をちゃんと音に乗せなきゃいけなかった
・最終的にはエンターテイメントにする必要があったし、そういった全てのピースをもって曲を作った
新海監督
・自分の方は、洋次郎さんの作る曲が意識の中にあった
・今回のすずめを書くにおいても、YOUTUBEにアップされている曲を何度も聞いた
ネットで応募された質問
「椅子の草太さんは、どこが手でどこが足?」
・多分、前が手なんじゃないですか(笑)
・本当はドラえもんシステムにしたかったけどリアリティがないから諦めた結果、草太は椅子だと本当に何もできなくなった
・「動く!体が椅子になじんできたんだ!」は、ガンダム的な感じで。「俺が一番上手にガンダムを動かせるぞ」みたいな。草太のあのセリフは、アムロ=レイ的なものを想像してほしい。
草太の寝相について
・草太は、眠る度に要石になっていってる
・シリアスにすると重くなっちゃうから最初は寝相の悪さ、と認識させた
・鈴芽は最初はわかっていない、という伏線でもある
もう御一方から質問を
→松村北斗さんサプライズ登場!
・「こういうことなんですか?」「だから椅子の質問だったの?」
北斗さん
・まったく予定されてなかったんですけど、数日前に今日の予定が分かった
・この日、早く終わるな、という日は必ず舞台挨拶の時間をチェックしていた
・今日の予定が終わって、舞台挨拶の時間を見たら行けそうだったから、馬鹿の振りして「行きたいです」って言った笑
・今日のペアを邪魔してはならないとは思ったんですけど、もう少し一緒に宣伝活動をしたいな、と思って
・新「一緒に回れなくて悔しい、もっと回りたい、ってLINEがしょっちゅう来てた」
・野田さんともご一緒できたのは1回だけだし
北斗さんからの質問
「お二人の中で、伝わる人にだけ伝わればいい、というシーンや隠喩のようなものがあれば教えてください」
新海監督回答
・わかりやすいところは、別の舞台挨拶でも言ったけれど、時々出てくる黄色い蝶々
・黄色は、鈴芽の、お母さんに対しての思い。鈴芽にとってのお母さんの色
・お母さんへの思いが、ずっと鈴芽にはついてきていた
・二匹いるけど、あれが最後は、一匹はこすずめのところに、もう一匹は鈴芽のところについてきて二人でお母さんへの思いを分け合う
・そして、朝日が昇った瞬間、風に乗ってどこかへ行ってしまう
・「安易なところに逃げてしまった」と最後に反省されてました
洋次郎さん
・話をつないでもらっている間に考えてみたけど、何も思いつかない。全然出てこない。
・あの脚本と想像だけで作り上げているので何も浮かばない
(監督の助け舟)
・『カナタハルカ』の相対性理論は?
・最初にこの歌詞を見たとき、アインシュタインとか他の事象に意識がいく気がして、違う言葉の方がいいか相談しようかと思っていた
・聞いていくうちに、宇宙全体の愛について歌ってるみたいな気がして、やっぱりこの言葉がいいんだ、と思ってやめた
・あの言葉はどうやって出てきたの?
洋次郎さん回答
・小さな頃からたくさんのラブソングを、何にも意味がわからず聞いてきた
・いつからか、わかった瞬間があった
・すずめの戸締まりを読んで、彼女たちもいつか知るんだな、と思った
・まだ未経験な人にとっては、恋は得体の知れないもの。イコール、自分の中では相対性理論になった。
・僕はたまに、そんな大それた得体の知れない単語をもってきて感情の大きさを語る癖があるので、今回もそんな感じで。
以上になります。
監督も洋次郎さんも北斗さんもみんな素敵で、スクリーンのこちらでも笑いが起こるような楽しい時間でした。
実は、洋次郎さんからのメールの文章を丸々誤って消してしまい、そこは全て自分の記憶を掘り起こしたものになります。
もし、正確な内容をご存知の方がいらしたらお知らせください。
まとまりのない箇条書きになって恐縮です。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。