柑那さんに回していただいた、「名無しの絆と名無しの猫」の感想です。ネタバレ含みますので未通過×です。
感想と言いつつ主にうちの子の話しかしてません←
シナリオ感想は末尾に少しですので、そこまで読み飛ばして頂ければ…。
ああああああ紫苑で行ってよかったああああああ
タイトルからして猫に名前つけることになるだろうなーと思ったので、支援型の紫苑をわざわざソロシ用にリビルドして行かせてもらいました。
いやほんと…よかった…です…。
紫苑は、2年前のムーンレスナイトキャンペーンのPC2で作った子で、元FH。
物心ついた時にはFHで、実験体モルモット扱いされてて、「D-7」って番号だけで名前もなかった。このとき、同じ立場の「D-1」と、イチ、ナナと呼び合って親友だった。
推定7歳くらいのときの実験で、同じ立場の子供たちがみんな死んでる中覚醒。
その後ずっとFHの尖兵として利用されていた。
16歳のときににUGNとの戦闘で重症負ってFHから切り捨てられ、UGNに捕まり、そのまま鞍替えした。
という設定をつけてます。
HOに無関係なライフパスなので、シナリオで触れられることはなく、バックボーンとして存在してるだけで解決していません。
いや結構恵まれてるんですよ。同卓PCの千代彦くんとか多分友達だと思ってくれてるし、支部長のPC綾涼さんは紫苑を普通の子みたいに扱ってくれるし、支部メンバーPCも増えたらしくて仲良しになれそうだし(笑)
闇堕ち前に助けはきそう。未来は多分明るい。
でも具体的な卓予定はないので、救われないまま、辛い過去の掘り下げだけが進んでいる状態。
主にイチ関係の感情が重い…。
紫苑は、イチに対しては、好意も悔悟も不安も憐憫も庇護も尊敬も慈愛も執着もあって複雑です。何を言い残すでもなく不条理に死に別れてから時が止まっている。
たった一人の友達で、自分だけが生き残ってしまって、一緒に死んでたら楽だったのかなとか、イチが生きられなかったのに自分が死ぬわけにはいかないとか、私じゃなくてイチが生きていたらとか、イチがFHであんな目にあうよりはよかったのかもしれないとか、今UGNで自分だけまともに暮らしててごめんとか、イチがどう思うかなんてわかりはしないのに勝手に応えを欲しがって所詮エゴに過ぎない…、って、ずっと考え続けてるんでしょうね…。
紫苑は、そんなイチのことを今まで誰にも話してないんですよね。
自分から過去の話をするタイプではないし、そもそもそんなことを話せる相手が(紫苑の認識では)いないし。
なので、ずっと一人で抱え込んでいて、紫苑の中のイチは、あの時のまま、紫苑を責めも許しもしなかった。
今回、猫に名前をつけてくれと言われた時、紫苑は、あまり深く考えずにイチに通じる名前をつけました。
イチは紫苑にとってそう簡単に扱えない概念なんですが、通りすがりの猫につける名前の元ネタくらいなら…と、イチに生きてて欲しかった気持ちが漏れちゃった。
今この世でイチのことを覚えてるのは自分しかいないので、自分が死んでも世界のどこかにイチの痕跡が残ってくれたらっていう願望をずっと持ってたんだろうな…。
なのでその後、雷坂支部長に、名前を付けるというのは~、って話をされたのは、相当ぐさっときたと思います。
ゆきずりの猫程度と軽々に扱ってしまったのでは、自分の願望をなすりつけたのではないか、この子はイチじゃないし代替品にしていいわけもないのに、イチに対しても身勝手なことをしてしまったと。
多分、このシナリオの間、ずっとそのこと気にしてましたね。
それもあって、レインやアンにはイチを、雲谷には自分を重ねて見てたんじゃないかな…。
雲谷には、自分にとってのイチのような大切な存在を失ったんだな…と、ロイス感情が同情でしたし。
凶行を是とはしていないものの、猫にアンと名前をつけた自分は、レインを作ろうとした彼と変わらないのではないか、自分に雲谷の行為をどうこう言う資格はない。レインが雲谷を、イチが自分を、どう思ってるかなんてわからないのに…って気持ちがあった。
もしクライマックスで一人で雲谷と対峙していたら、彼に対して、悪いけど任務だから、としか言えず、紫苑はまた一つ自分が嫌いになっていたと思います。
でも、アンの前だから、雲谷にそれは違うと言えた。あの子を、イチでもレインでもない、アンにしてあげることができた。
ちょっとだけ自分で自分を肯定することができたんじゃないかな…。
アンが、雲谷のこと嫌いじゃないって言ってくれたのは、イチが紫苑に言ってくれたようで、紫苑にとっての救いになったと思います。
死に別れてから11年、アンを通して、初めて、紫苑の中のイチが動いてくれたんだよね…。
アンが、この名前を好きだと言ってくれたこと、大切な人の名前を貰ったと肯定的に捉えてくれたこと、イチのことを知りたがってくれたことも、紫苑は物凄く嬉しかったと思う。
自分と心中させるしかなかったイチの存在を、やっとどこかに繋げることができた。もう一人で背負わなくていいんだね…。
シナリオ後、射干玉支部に帰ったけど、少し変わるんじゃないかな。答えは出せないしイチは生き返らないので、少しだけ、少しずつですけど、前より自分を大切にできそう。好意を受け取れるようになるかな。
詩栞さんには見抜かれたいな…。なんかええことあったん?とか言われて、そんなに顔に出てるのかしら…って慌てたりしてほしい。
ボロ出させるためにわざと完全演技も代謝制御もつけてないんでね!
この感想まとめてて、PLは初めて紫苑が自分嫌いだったことに気付きましたね…。また一つ自分を嫌…えっお前自分嫌いなんじゃん!?!?ってなってびっくりしたわ…。
やむを得なかったとわかってるから過去の罪には納得してる、ってことにしてたのに…紫苑自分で自分を騙してたんじゃん…PLも騙されてた…。
だから千代彦くんや詩栞さんあたりからの好意に対して嬉しいのにダメージ入ってたのか…。任務や支部を優先して自分のメンタル粗末にしてたのも、保身のためじゃなく罰を受けたつもりになって満足するためか…。
いやもう…2年前の私何してくれてんの…深く考えずに設定盛って…今頃回収されたじゃん…。エモ…(自分で言う)
これは過去SSとか書くべき時が来たのではないだろうか…。
シナリオの話もしますね!
名前とは、というテーマがはっきりあって、強い願いが込められた情熱的なお話でした。
個人的に共感が…ほんと…深くて…。
名前をつけるって…こうあってほしいという祈りであり呪いなんですよ…私も子供につけた名前そうだもん…。
それと同時に、どんな名前もつける側のエゴに過ぎなくて、その名前の表す概念をどんなものにしていくかはこの子が人生を懸けて積み上げていくもので、名付けた側はただ願いを胸に送り出すのみなんですよ…。
それを受け取って貰えるというのはもう、愛ですね…。
シナリオの展開も、真っ直ぐで分かりやすく、緊迫感も良い感じに煽られ、適度に予想がつき、クライマックスのブレインジャックとインタラプトの流れも盛り上がって、Dx3らしい感じ! 好みは人それぞれですけど、小説じゃないのでこれくらいストレートなのがいい…。程良い加減でセンスあるなぁバランスいいなぁと思わされました。
NPCも魅力的ですねー!なんと言っても名前のない猫…。あの設定であの性格なのは秀逸。話が暗くなりすぎないし、付けられた名前をどんなものであれ肯定してくれる強さと、その名前に縋ってくれる弱さが両立している。
柑那さんの猫のRPもめちゃくちゃ可愛くて、動物と仲良くするの初めてな紫苑はだいぶ刺さってました(笑)
支部長とボルトちゃんもいいな、支部長口悪くてシビアなタイプなのに猫好きすぎだし、結局構いすぎて家出していたっていうのもいいオチで微笑ましい。死んだ猫が沢山いることになってるので、シナリオの空気をちょっと和ませてくれますね…。
すっごく面白かったし、本当に参加できて良かったです…!