【シンマンをダシにしたウルトラマンXの話 その2】シン・ゴメスから始まるX15話の話【ちょっとだけコンクリート・レボルティオ】
あのファーストカットを見た瞬間
「やりやがった!!!!!!!マジかよあの野郎!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
になるのはまあシン・ゴジラとゴメスという怪獣の存在を知っていると言うまでもないかと思うんですが。デザインワークスの25ページで爆笑しちゃいましたね。
ゴメスというと、もちろん原典であるウルトラQの第一話や、近作では一番インパクトのある登場をしただろうZの第一話とかを思い出すほうが定番なのかなと思うのですが、個人的にはあの怪獣といえば2015年『11月3日』に放送されたウルトラマンX第15話「戦士の背中」なわけでして。
あのシン・ゴメスを見てしまった瞬間、上映開始から事実上1秒と経たずにもう心が田口監督の方に向かってしまったわけですよね…
ちなみに残りの上映中、当然思い出す回はそれぞれ違うものの大体200回ぐらい同じ思いをしました。
田口監督回に限らなければ多分500回超えてる。この話もうしたな。
話戻しましょう。
割と有名な話として、X15話ってXでウルトラマンのメイン監督(ウルトラシリーズ、まで含めるとゾーンドラマがあるけど今は話が煩雑化するので置いておきます みんな見てね 私は「最後の攻撃命令」が好き)を初めて担当した田口監督が、就任する前から長年ずっとプロットを温めていて、大雑把な言い方をすると「一番撮りたい回」だったそうなんですね。元プロットから細部はXの設定に合わせて調整されたそうですし、あの回の怪獣が最終的にゴメスになったことも、11月3日に(テレ東系列における最初の)放送になったことも偶然だそうなんですが、決まった後にはいいのかこれ!?というぐらいその点を活かして最大級に遊ばれていて、今となってはあの回は「ゴメスじゃないと成立しない」と言える回になっているのは、ご覧になった方々には周知の事実かと思います。
あの回の怪獣がゴメスであるべき理由、ウルトラシリーズの嚆矢であるQの第一話に登場する怪獣であり、大自然の使者であり、太古の神であり、人間の犠牲者であり、そして俺たち自身が望んだものであるからなわけですが、前半においてはあくまでも「ゴメス」であるあの怪獣が、後半ではDTEという異常、グリーザという「滅びを具現化した現象」の一端の影響下に置かれることで「ゴジラ」に変質してしまい、ウルトラマンと防衛隊が通常戦力総出でも歯が立たなくなり、そしてそれと戦うために神木隊長は父親であることよりも戦士としての職務を優先しなくてはならなくなるのだ…という展開によって、ゴメスという怪獣が持つ二面性を遺憾なく発揮しているところにもあると感じるんですね。「この怪獣を相手にしたらここまでやらなければどうにもならない」、という説得力を多面的に与えている。
確か当時も書いたかと思うんですが、DTEゴメスが圧倒的な「怪獣」としての暴れ方、描写をされる一方で、隊長とリンクしたサイバーゴモラがボクシングという「人間の戦法」を取る、という対比も、サイバーゴモラのベースがいわゆるゴジラ型怪獣の代表格なゴモラであることと相まって、より鮮烈にキマっていると感じます。
DTEゴメスVSエクシードX&サイバーゴモラのワンカットそこそこ長回しカット、何回見ても正気疑う暴れっぷりで惚れ惚れする。
さてそのX15話の話をして何が言いたいのかというと。
X15話って冒頭に書いた通り2015年11月3日に(最速)放送だったわけです。
(ついでにいうとコンクリート・レボルティオ~超人幻想~ 第5話「日本『怪獣』史 後編」も同日夜に最速放送なんですが、これもまあ余談)
2016年よりも前、日本国内においてゴジラがまだ本格的に復活する直前。
すでにギャレゴジは見れていたし面白かったし続編もあるらしいし楽しみだね、ところで日本では来年庵野秀明が撮ったゴジラやるらしいけど正直どうなんだろうね?みたいな空気感だったあの頃。
(偽りなく書きますが、他の方はどうあれ私はほとんど期待していませんでした)
そういう、ある意味で「シン・ゴジラ前夜」的絶妙な時期に作られていた、ゴジラという映画が公開されてからピッタリ61年目の日に放送された、「ゴジラじゃないけどゴジラである存在と戦う」ウルトラマンであり、かつ田口清隆という、前にも後にも日本の怪獣史に大きな光跡を残している監督が、そのシリーズで最も撮りたかった回。
そんな回の記憶が、よりにもよってシンゴジ主幹スタッフ陣を集めてウルトラマン作ったぞ!!という映画のファーストカットでフラッシュバックしてくるという因果に、正直かなり面食らいましたし、おおよそはいい意味で「ああもうじゃあそう楽しめばいいんだな!!」と思えたところはあります。
見てきた今となってはなんでいの一番に「ウルトラマンの最初にゴメスが出てくる」というあまりにも容易な予想を立てていなかったんだ、という話なんですけどね…流用すべき『スーツ』はもうすでにあったわけでさ…
これ書くのにとりあえずバトル部分だけ見返したんですが、後半メンデルスゾーンの結婚行進曲をバックに戦う総力戦はもとより、中盤での前哨戦バトルのテンションがすでにおかしいレベルだと10回目ぐらいに思いました。ジャスト1分でなんであんなまとめ方ができるんだ…