とうらぶが大好きなのに映画刀剣乱舞を好きになれなかった審神者のジレンマ、批判できない現状という哀しさ。あるよね、という話。
今回の映画、大人気っぽくて嬉しい。
それでも敢えて言いたい。
映画刀剣乱舞、好きになれなかったよ。
ネタバレごりごりで映画刀剣乱舞の感想。
色々と思い耽りながら長ったらしく語ります。
思い返せば審神者歴も早4年、メディアミックスは公式アンソロから始まり、ミュもステも初演からずっと観てきたし、花丸や活撃も毎週生きる楽しみだった。
グッズも買った。模造刀も買った。刀の展示の遠征で募金したし、感謝を込めて節目節目にゲームへ課金をした。
イラスト描いてコスプレしてオフ会開いて、思いつく限りのありとあらゆる方法で刀剣乱舞を愛し応援しフォローしてきた。
刀剣乱舞が大好きだ。私だけじゃなく、こんな審神者も4年ともなれば多いと思う。
それなのに、私は映画刀剣乱舞を好きになれなかった。
初めて観に行った日、ネタバレ回避のためTwitterを封印の上ネットも極力避けて映画館のトイレで耳を塞いだ。
織田信長周辺の歴史も勉強し直したし、もし大爆死だったとしても笑って受け止めようと思って実写デビルマンも観た。(そして記憶から消した)
ちゃんと飲み物を買ってハンカチとティッシュを用意しつつ、高まる気持ちを抑えながら予告の時間をそわそわ過ごした。
映画泥棒と刀剣乱舞のコラボムービーの時間が私の感動のピークだった。
そこからどんどん冷めていってしまったのだ。
初めは違和感から、徐々に悲しみ、絶望、虚無。
ラストの幼女審神者が出てくるところは映画館の中でもざわめきが起こっていたが、私はこのあと食べるお昼ご飯はどこに行こうかと考えていた。
これが『映画 刀剣乱舞』なのか。
とうらぶってほんとなんでもありだよな、期待しすぎたのかな、デビルマンほど酷くはないけどな、まあ2-30点ってところかな、早く友人と語りたいな、レビューは荒れそうだな……
などと悶々考えながらエンドロールを見終わり立ち上がろうとしたとき、私にとってありえないことが起こった。
館内で拍手が起きたのだ。
まさに驚天動地。秀吉が裏切ったことよりも倶利伽羅江が出てきたときよりもビックリしてしまった
ここで気づいた。ああ、私はこの映画刀剣乱舞を批判できない。
映画館を出てようやくTwitterを解禁した。
すぐさまやったことは、もちろん『映画刀剣乱舞 感想』検索。
でるわでるわ、絶賛の嵐。それはもちろん分かる。人の感想はそれぞれだから、その点に異議を唱えるつもりは全く無い。ガチ勢の面白い考察や歴史班の新たな視点も加わりとても参考になった。しかし今回気になったのは、そしてこのようにクソ長い文章を書いているのは、どれだけ縋るように検索してもマイナス意見が出てこなかったことについてなのである。
どうしたことか、もしや私の検索の仕方が悪かったのか、まったく出てこなかった。
かろうじて遠慮がちに『合わない人は居るかも』『ちょっと微妙なところはあったけど』等の意見が拾えたが、大半は好意的なレビューばかり。特に他ジャンルの方からの賞賛のツイートが目立った。そこから感じる、後ろ向きな感想を許さないような雰囲気も。
まじか……というのが正直な気持ちである。
見終わった直後は活発な感想合戦ができると信じていたのだ。『刀ミュの歌はへたっぴ』『花丸のストーリーは脳みそが溶けちゃう』と言う人がいるのと同じような感じで『映画刀剣乱舞はpixivみてるような何でもあり感』(※どれも私個人や周囲の感想)とかなんかそんな、人によってはダメなとこもあるけどそこがいいから好きって人もいるよね、だから批判しつつも否定はしないよ、ダメなものはダメって言うけどね、みたいな風潮があると思いきっていた。
だがそう思っていたのは私だけで、他の多くの審神者たちにとっては拍手喝采の内容だし、ダメなところなんか言ってはいけないのだ……という心境に陥ってしまった。そんなはずは、と調べれば調べるほど思い知らされるばかりの悪循環だった。
愕然とした。そして悲しかった。大好きなとうらぶなのに着いていけない自分がいた。
批評を否定と取られのが怖くてその日はろくな感想も呟けないまま、グルグルと思考してあまり眠れなかった。
次の日に重たい身体を引き摺って2回目を観に行った。
これは決して『また観たい!』という正の感情からの行動ではなく、あいにくこの日のチケットもすでに取ってしまっていたからだった。
ビールを買って渋々座る。王子様映画の予告が始まる。時間遡行軍の違法ダウンロードが始まる。織田信長を救うため、また歴史改変が始まる。
さて、これがどうしたことか1回目よりも面白く観れた。話がわかる。心情がわかる。劇中の薬研の言葉を借りるならば、昨日よりも『すとんと落ちた』。
まあ、これは映像作品として当たり前なのかもしれない。心の準備たるものを用意して観れば面白いに決まっている。気に入ったシーンをじっくり眺められるし、よく分からなかったポイントも意識して伏線を拾う。この作品だからこそというよりも全ての映画という表現方法そのものに言えることだろう。
初見で面白かったと言えないものを良作映画と呼んでいいのかは、年に10回ほどしか映画を観ない私には分からない。
それでも1回目はつまらなく、2回目の方が面白かったのは紛れもない事実だ。映画泥棒の件もあるし、来週3回目も観に行こうと予定を立ててしまったほどには私の心を動かした。よくあるラーメン屋さんの文句のように3回目には中毒になっていることを望まずにはいられない。だって刀剣乱舞だから。
もし私と同じように、とうらぶが大好きなのに初見で映画刀剣乱舞を受け入れられなかった人がいるとしたら(絶対にいると思いたい)、諦めず見捨てずもう一度だけ観に行くのも価値はあるかもしれない。申し訳ないことに責任はとれないが……
ここまで書いてきたが、やっぱり私は映画刀剣乱舞を好きになれなかった審神者だ。耶雲監督のそれが、小林女史のそれが、鈴木拡樹のそれが、ストーリー、演出、ロケ地、ヘアメイク、カメラワーク、デザインのそれらが、上げればキリがないほど合わなかった。
だから、批評すら許されない空気をなんとかしたく、ここまでいっきに書きなぐってしまった。
それでも私は今日も刀剣乱舞を応援する。映画刀剣乱舞の続編も期待する。刀剣乱舞というジャンルの全てを受け入れられなくても、より盛大に広がっていくことは願ってやまない。この苦しい矛盾を分かってくれるのはわたしの本丸の刀剣男士達だけでもいい。でもどこかにいるかもしれないあなたにも寄り添いたい。
映画刀剣乱舞、好きになれなかったよね。
公開初日から時間が経てば現状も変わるかな。
変わるといいな。
あー8面たのしみだなー。