#グッドオーメンズ、3話でクロウリーが言う「歳月も容色を衰えさせず習慣も才を朽ちさせず」って何のことかというと、シェイクスピアの「アントニーとクレオパトラ」でクレオパトラの不変の美を讃えた一節です。
舞台上の役者を見つめたまま、クロウリーが唐突に
"Age does not wither, nor custom stale his infinite variety."
(歳月も容姿を衰えさせず慣習も流転を朽ちさせず)
と詩的なフレーズを呟く(そしてそれをすかさずシェイクスピアがメモって去る)ですけども、これ、後にシェイクスピアの戯曲「アントニーとクレオパトラ」において、クレオパトラの類なき美貌とその魅力を物語るときに使われるフレーズなんですね。要するにクロウリーのつぶやきをシェイクスピアがパクった、という小ネタです。w
ただし、シェイクスピアのこのフレーズはクレオパトラのことなので、当然"her"=「彼女」(Age cannot wither her, nor custom stale her infinite variety.)なわけですけど、よく聴けばおわかりの通り、このフレーズでクロウリーははっきり「彼(his)」と言ってるです。
この言葉を言うとき舞台を見てはいるですけど、クロウリーはこのちょこっと前、「生きるべきか死ぬべきか」の台詞をめっちゃ無邪気に演技指導?してるアジラフェルをめっちゃガン見してるですよ。
その上でしみじみと出てくる言葉が、「彼は年月を経ても衰えることなく、慣習に縛られていてもなお自在に生きている」。
すごくないですか。長い長い歴史を歩み、周囲の人間たちが生まれては足早に死んでいく姿をひたすら眺めて生き続けているひとたちが、人類史のさまざまな節目やちょっとした隙間にふっと再会しては、どれほど歳月を経てもぜんっぜん変わらぬ相手を見つめてはまた去ることを繰り返してる。千年単位の腐れ縁。
唯一無二の相手となるに決まってますよこんなの。お互いにね。