唐突に語る過去話〜三日井座久果編〜
※伏せられていますが強姦表現注意
彼との出会いは小学生の時だった。彼に舌の焼印を気付かれた時から、僕達の親友という関係は始まった。生まれも育ちも正反対だけど、似た者同士だった僕達はすぐに仲良くなれた。今思えば傷の舐め合いのようなものだったのだろう。彼の体には、無数の生々しい悲しみが刻まれていた。
「ここから逃げ出そう。二人で自由になろう」
そう提案されたのは高校を卒業する頃だった。中学から疎遠になっていた彼と久々に再会したのだ。『まるでずっと前から狙っていたかのように』彼は現れ、そして他愛もない話をしながら彼の家に行った。最近は親と疎遠になり、一人暮らしをしているのだという。昔より髪が伸び、昔のままの女性のように愛らしい顔で彼は-
僕の首を絞めた。傷の上書きと称して僕の首を絞めた。苦しい。やめて。離して。そう言っても彼には聞こえていなかった。跡は残らなかった。
その日から毎日彼は下校時間に必ず現れ、そして家に呼んだ。あの時は気が触れていたんだ、許して欲しい。今まで見てきた優しい顔を悲しげに歪めて懇願する彼。気にしないでと僕が言うと、彼は満たされた様な顔をして、彼は、
彼は。僕の手足の自由を奪い、無理やり唇を奪い、服を脱がして✕✕✕を弄り、✕✕に粘性の高い液体を垂らして指を突っ込み、ぐちゃぐちゃと嫌に耳障りな水音を立てながら弄った。そして解れた所で彼は自身の✕✕✕を深く挿入した。声を上げる事は出来なかった。上げようとしたら殴ろうとしたからだ。僕は歯を食いしばり、目からぼろぼろ涙を流しながら恥ずべき行為の数々を耐え忍んでいた。あの肉と肉の擦れる気持ちの悪い感覚は今でも憶えている。
「ようやく会えたね。ずっとこうなりたかったんだよ。これからは君に付けられた傷跡(それ)なんかが霞むくらいに深い愛を刻んであげるから」
その言葉は、僕を絶望させるのに丁度良かった。そしてその日は、初めて体に残る傷跡を付けられた日でもあった。もう残っていない筈なのに、首筋の噛み跡をさする癖が付いてしまった。
三日後、僕は彼の提案を裏切り、彼がやろうとしていた計画を親に話した。その結果彼ら一家は酷い仕打ちを受けた。彼は完全に親から縁を切られ、僕とも疎遠になり、二度と目の前に現れる事はなくなった。
何となく、再び彼と出会う時が来る可能性を感じていた。そしてその予感に僕はとても寒気がしていた。怖い。かけがえのない親友だった人間に裏切られた事をきっと恨んでいるだろう。僕ならきっと提案に乗ると思っていたのに、それを無碍にされて悔しかっただろう。
でも。心底恐れているのは、報復かもしれない。
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大丈夫だよ。僕は怒っていないから。邪魔な奴らは消した。次は君の番だよ。
一緒になろう、薇景。