8/23にYouTube配信された「SNS医療のカタチTV」を視聴しての雑感です
#やさしい医療
どこで書こうか迷ったけど、わたしの他リアル寄りアカウント(ふぉろわ十数名)などよりも当アカウント&ふせったーでの長文(つまりいつもの浅木の「お気持ち表明スタイル」)が一番見てもらえそうだと思った。
なんちゅう打算じゃ! オタクアカウントから唐突にすみません!
医療啓蒙活動「やさしい医療」(https://sns-medical-expo.com/)による配信「SNS医療のカタチTV」、日曜日の10時から17時までの7時間を(作業など挟みつつも)全編視聴できました。浅木は呑気&優雅な独居女なので容易に家事の全てを投げ捨てられるのである。
最高に文化的で理知的な日曜日でした、充実感……本当にすごかった……ありがとうございました……
完走後は揉みくちゃにされた脳みそを抱えて呆然としてしまったので、少し消化できた今ようやく書き始めました。
ていうかアンケートフォームをくれ~~~ッ! 「ご意見ご感想はこちら」の文言を探して公式HP内をめちゃくちゃ放浪してしまった、うっかりお問い合わせフォームから「良かったです~」とか能天気コメントを送るところだった。え~どこかにあるのかな~感想フォーム……
各セッション内容の細かい点などについては置いておき、今回はこの企画の枠組み・全体像について感じたことの言語化を試みます。
感じたことと言えばまず一番に、本当に登壇者の方々、頭が良い~~~……(呆然)ということでした。
そしてこの頭の良さというのは、たぶんある程度こちらも頭が良くないと分からないレベルの「良さ」。
下手すると、理解できていないということすらわたしたちは理解できていない。
でもそこで彼らに「ここ」まで下りてきてもらおうとするのは違う……あの人たちにはそのまま上にいて、そして天井を派手にバリバリ壊していてもらいたい。それをわたしたちが下から眺めて、ああ、そこには天井があったのか、そしてもっともっと上に広がる世界があったのか、と知りたい。
彼らの目標はそれではないのかもしれないけど、でも正直言って一般人のレベルはまだそこだと思う。
一緒に天井や壁を壊せるだけのパワーを持ってないどころか、天井や壁があることすら認識できていない。
ひとつ具体的に言うなら……
13時からの「カンブリアナイト~」セッション、新城健一さんと浅生鴨さんのトークによる技術紹介で、男性お二人がフェムテック(生理用品・胎児モニターなど女性の身体に関する技術)の情報を共有してくださった。
それについてツイッター上でもコメントでも「生理用品とかについて男性がこうやって話してくれるの嬉しい」という声がたくさんありました。そして幕間パートで鴨さんはそれを拾い、「いやいや、これは人体と技術の話だから(当然のことですよ)」というような反応をなさいました。
そこなんですよ。
お医者さんや技術者、そして鴨さんのように知識と理解がある人だから、そう言えるんです。そういうフラットな反応をできない男性が身近にどれだけいて、女性がそれに日々どれだけ失望しているか。鴨さんが正しいんです、当然であるべきです、でも実情、わたしたちの生活においては全然当然なんかじゃない。まずそこのレベルが全く違うんです。
ああ良いなあ、理解のある男の人……、そういう感嘆のコメントなんですよ。今この画面の中でしゃべってるひとたち、みんなレベルが違う人たちだなあ。いいなあ。
憧れ、そして諦め、断絶。
違う世界のひとだ、という感覚です。石油王に対して「近くにいてくれたらいいなあ、楽だろうなあ」って思うみたいな感じだよ(いやこれは過言)
でもその「断絶」感と同時に、わたしはあの瞬間、病院と縁がない健康なただの第三者たる「医療啓蒙イベント一般参加者」から、突然「当事者」になった。
女は誰もがこのヘルジャパンにおいて弱者なので。酷いところだと、生理はセックスしたら来るものだと思ってる男や生理用品をエログッズ扱いする男は実在しているし、それによって害を被る女も実在しているので……お医者さんとかからすると「オッ原始人か???」ってレベルだと思うけど……いるんよね本当に……
そういえばツイッター上で「私たちは女医を望みます活動」みたいなの、あったよね(その実際の内容についてわたしはあんまり詳しくないけど、概ね「男性医師にこんなこと言われて・されて傷付いた!」っていう女性たちの声だよね)、あれってまさに医療現場におけるコミュニケーションエラーだと思うし、同時に女性が自分の身体を自分で守れていないと感じることの多さを表しているようにも思う……
ちょっと話がズレちゃった。戻す。
つまりあの画面の中にいるひとたちが見せてくれる「やさしさ」は、普段のわたしたちの生活になかったんです、あのひとたちがそもそも「当然だ」と思うレベルのことすら。
そうするとどうなるかというと、「偉い人がなんか良い事言ってる」になっちゃうんですよ!
そんな中、このイベントが、「医者(=分かっているひと)がしゃべる」だけのものでなかったことは、本当に良かったと思います。
矢方美紀さんや幡野広志さんのような患者の立場のひとはもちろん、「分からないものを分からないまま描く」とおっしゃった漫画家のおかざき真里さん、視聴者と一緒に「なるほど……」「そうか、すごいな……」と言いながら内容をまとめてくださった編集者のたらればさん。
そして最後の糸井重里さんも。
わたしが正直に感じたことを言うなら、糸井さんの発想はアップデート(あるいはチューニング)の余地がある。「自分との一体化がやさしさ」論は、必ず限界があると思う。本当に目指すべきは「自分と一体化できないものに対してもやさしくあれる」ことだからです。そして基本的に、世界の大部分は自分と別のものであって、一体化も不可能で、一体化しようとするとただ「分かった気になっただけ」で終わってしまうからです。限界がある。
だからけいゆう先生は「やさしさとは技術、そして訓練」とおっしゃった。「気持ち」や「個々の素質」による「やさしさ」では、普遍になりえないから。わたしもこの認識が目指すべきところだと同意する。
でもその一方で糸井さんは、ここまでの6時間で積み上げてきた「知識と技術」だけではない、もっと身近な世界へ、最後の最後にこの企画を引っ張り下ろしてくださいました。やっぱりまず一歩目は、特別な知識や技術などではなくて「生活に即した気持ち」なんだ、という一般人向けの発想に。
そしてセッションの中、「なにその専門用語!?」と即座に問えた糸井さん。あの場にいた人はみんなさらっと「あ、こういう意味ですね~」と答えたけど、視聴者の中でどれだけの人間がその意味を理解していた? 糸井さんがそうやって突っ込まなければ、結局は「やさしくない診察室」と同じことがあの画面の中と外とで発生していました。
え、それ何? どういう単語? たぶんわたしがあの場にいたら、そうは聞けなかったと思います。つまり、診察室でも聞けないんじゃないかなあ。
あの画面の中のひとたちは、頭が良かった。それは本当に良いことで、わたしは賢い人を見てそれを追いかけながら必死に脳をぶん回すのが好きなのでとても楽しい時間だった。あの頭も気も良い素晴らしいお医者さんたちの話をもっと聞きたかった。尊敬しかない……
ただそれはつまり、確実にわたしとはレベル差があったということ、そしておそらく「ここがスタート地点」と認識している元々の土台の高さが違うということだった。
うっかりすると「あの配信すごかったなあ、すごい人いっぱい見れたなあ」で終わるところだった。
その差を、医者以外のひとたちが取り持ってくれていた。
そういう印象の配信7時間でした。
だから、もっと……これはめちゃ高望みですし同時に恐ろしくザックリした無礼なラベリングですが……「たらればさんポジション」が欲しい。「専門家」と「無知な一般人」との間にいて、そのどちらでもないような立場で、その差を埋めてくれるような。(その技術がものすごいんだ、たらればさんという方は……)
そして、「医療」と普段関わりがないような人と繋がっているような。
今回、「医療はどうでも良いけどおかざき真里さんの話は聞きたい」とか「いつもFGO関連で愉快ツイートしてる和やかお茶目ツイッタラーたらればさんが喋るならちょい聞いてみようかね」とか、そういう視聴者はいたと思うんですよね、絶対。そんな繋がりも必要ですよね。多様なジャンルからの「入口」がもっと必要。そうしないと特定層(視聴者内も含めて)だけがダンゴになった「意識高いグループ」で終わっちゃうし、それはこの活動の目指すところとも真逆だと思う。
わたしはこの「SNS医療のカタチ」ムーヴメントのファンです、具体的にはヤンデル先生のnoteマガジン「アレクサ、看取って」
(https://note.com/dryandel/m/meab049957c2a)
あたりから。
でもこれまでのイベント、ずっと指を咥えて遠くから眺めるだけでした、わたしは都会へ簡単に出掛けていけない地方民なので。ツイッター上で実況してくれるひとがいたとしても、それはやっぱりどこか薄いベールの向こう側だった。
だから今回のYouTube進出で、実際にしゃべる先生方をようやく拝見できました。本当に嬉しかったし、一気に解像度が上がった。ごめんなさい、正直言ってこの点に関しては「コロナパンデミックのおかげだな」と思ったよ、ウフフ不謹慎。
今後またリアルイベントへ戻っても、配信はしてほしい。どこの誰にでも門戸を開いていてほしい。そういうやさしさも欲しい。
あと、もっとお金を払わせてくれ。持続可能な発展をしてほしい……これは「公共の福祉」だよ……!
ところでこの活動内で一番のお気に入りは今のところ裏話チャット企画「わんヤンおしゃべり」
(https://snsiryounokatachi.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%8F%E3%82%93%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%B9%E3%82%8A)
です!
文字であることで、いつでも何度でも繰り返し自分のペースで摂取でき、分からない単語や発言を冷静に調べて咀嚼することができ、それでいて発言者それぞれが彼ら自身の話し言葉で語ってくれている。
最高。
本当にまたやってほしい。有料noteとかでもいい……対価を……対価を支払わせてくれ……ッ!!!
なんたる散文。
浅木がこんなところで(こ ん な と こ ろ)(辺境オタク二次創作アカウント)(はい)唐突に長々と書いて何か意味ある? て感じですけれども~、もし良かったら、我が愛しのふぉろわたちよ、「SNS医療のカタチ」ムーヴメントをよろしくね。
わたくしのふぉろわの質がめちゃくちゃ良いことは知ってんですよ! どうぞよろしく! みんなで「知識と技術の最底辺レベル」を押し上げよう!
(もっと早く言えば良かった~~~せめて昨日の配信前から……)(アーカイブを待とうね!!!)