【ふせトラ更新】本日のふせトラは、國政姉妹とにゃボットの日常(?)をキャッチしてみました。どこまで行くのかにゃぼちゃん…。
(運営さん)
#トライナリー
こんにちは、とある観測者です。
今回は、デイトラ発祥の愛すべきマスコットキャラクター、その名もにゃボット! …を取り巻く方々のシーンを観測しました。微笑ましい(?)日常がくり広げられていましたので、どうぞご覧ください。
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7月、国際電話をするアーヤ&エリカ
エリカ:(スマホを手に取り)は~い綾ちゃん、私だよ。
アーヤ:もしもし、お姉ちゃん? いま大丈夫?
エリカ:うん。こっちはランチタイムだから。
アーヤ:出張中にごめんなさい。ちょっと困ったことがあって。
エリカ:困り事? うんうん、お姉ちゃんに何でも相談して?
アーヤ:相談っていうか、にゃボットのことなんだけど。
エリカ:にゃぼちゃんがどうかしたの?
アーヤ:この間、にゃボットのメンテナンスをしてもらった時、学習能力を強化したとか何とか言ってたでしょ? 多分それが原因だと思うんだけど、にゃボットが今まで見たことのない行動をするようになって。
エリカ:例えば、どんな?
アーヤ:私がTVドラマを見てたら、「アヤチャンニ見テホシイ番組ガアリマス」って言って勝手にチャンネルを変えたり、夜更かししてたら早く寝ろって言ってきたり、ベッドに突っ伏してたら頼んでもいないのに背中をマッサージしてきたり、その食べ物はカロリーが高いからダメですとか言ってきたり、今週の買い出しは自分がやるって言い出したり……もう何なのよ、あれは。
エリカ:それで困ってるの?
アーヤ:困ってるっていうか、確かに、番組は私の仕事の参考になる内容だったし、マッサージしてくれた時はちょうど残業続きで疲れてたし、タピオカドリンクがそんなにカロリー高いなんて思わなかったし、通販で届いた1週間分の食べ物もすっごくバランス良かったけど……私が教えていないことをどんどんするようになって、何だか落ち着かないのよ。
エリカ:うふふ。ディープラーニングの効果がさっそく出ているみたいだね。
アーヤ:ディープ…?
エリカ:ええとね、にゃぼちゃんにこれまで搭載していたAIは、どちらかと言うと特化型人工知能に近くて、綾ちゃんのガードマンを務めることに専念していたんだけど、このあいだのメンテで、ちょっとした汎用型に変えてみたの。もちろん、綾ちゃんを守るっていう思考は最優先のままだから、そうそう困ったことにはならないと思うんだけど。
アーヤ:そうでもないから電話してるの。今日なんて、何かの勧誘っぽい人がインターホンを鳴らしてきたんだけど、勝手に応対したにゃボットが、「ソウイウノハ結構デス。トコロデ今、貴方ハ何色ノぱんつヲ穿イテマスカ?」なんて言い出したのよ? しかも、私の声色で…!
エリカ:あらら。
アーヤ:おかげで相手はすぐに帰ったけど、絶対に変な人だと思われたわよ。もう恥ずかしいったらありゃしないわ。ちょっと前にネットで拡散してた「俺はこうやって迷惑訪問を撃退してやったぜ!」っていう方法とまるで同じだったのよ、にゃボットの受け答えは。
エリカ:なるほど、ビッグデータの初歩的な活用だね。うんうん。
アーヤ:何を納得してるのよ! とにかく、ああいう常識の無い行動は勘弁してほしいわ。
エリカ:そうだね。そこは私も気にしてるよ。
アーヤ:そこって、どこ。
エリカ:「常識が無い」っていうところ。人間にとって安全かつ高度な人工知能を作るうえで、とっても難しいのは「常識」を作ることなの。どんなにビッグデータを活用して「正解」に辿り着いたとしても、それを「常識」に照らすと必ずしも正しくないことがあるでしょ。例えば、にゃぼちゃんの勧誘撃退もそうだし、究極的には、社会をより良くするにはどうすればいいかを考えたとき、人間を排除すれば環境が改善されるという「正解」を導き出してしまったら、それは人間にとっての脅威に他ならないから。量子AIがどんなに発達しても、用途や権限を限定することなく何でも学ばせて応用させるのは、現段階ではまだまだ危険が多いの。
アーヤ:それはつまり、コンピュータが人間に牙を剥くってこと? SFでよくある話ね。
エリカ:うん。そもそも、多様化している価値観の中から、何をもって常識を定義するのかも難しいし。実際、人間と人工知能がシンギュラリティを迎えるうえで避けては通れない課題のひとつだよ。
アーヤ:…よく分からないけど、それとにゃボットに何の関係があるの?
エリカ:にゃぼちゃんには元々、相手の感情やシチュエーションを認識して、命令に基づいた行動を取る特化型の人工知能を搭載していたけど、綾ちゃんを守るっていう強い命令はそのままに、認識したシチュエーションに関連するビッグデータにアクセスして正解と推測される行動を自発的に選び取るようになったのが、今のにゃぼちゃんだよ。もちろん、綾ちゃんを含む人間に危害を加えないとかそういう他の命令もそのままだから、完全に自立した汎用型の人工知能とは言えないんだけど。綾ちゃんと一緒に暮らす中で、にゃぼちゃんが少しずつ常識を身につけたり、逆に綾ちゃんの言うことを聞かないようなことが今後もしも生じたら、その思考過程は量子AIの研究にとって貴重なサンプルになるかもしれない。
アーヤ:ちょっと待って。お姉ちゃんは私とにゃボットを使って実験してるの…!?
エリカ:ううん。実際には、綾ちゃんからダメと言われた行動はしなくなるだけだし、命令に反抗することもないから安心してね。
アーヤ:はぁ……。しばらく様子を見るけど、本当に困ったことがあったら前の状態に戻してもらうからね?
エリカ:うん、わかったよ。うふふ。
アーヤ:なんで嬉しそうなの。
エリカ:綾ちゃん、にゃぼちゃんのことをすっかり受け入れてくれてるんだなぁって。もう要らないって言われなくて良かったよ。
アーヤ:なっ…そういうことじゃないから! 何かあったら本当に送り返すからね! ……じゃ、お仕事がんばって。
エリカ:うん。帰ったらまた連絡するね~
アーヤ:ええ。それじゃあ。
(※通話終了)
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数日後、都内のダイニングバーにて。
アーヤ:──っていうことがあったのよ。
小夜:あはは。エリカさんらしいなぁ。
アーヤ:もう、笑い事じゃないわよ。
小夜:でも、このあいだアーヤの部屋に行ったときも見たけど、にゃぼちゃん相変わらず大活躍だったじゃない。
アーヤ:まぁ、朝は起こしてくれるし、簡単な料理や掃除もできるし、マッサージも日に日に上手くなってるし、助かってはいるんだけど。
小夜:いいなぁ~。私もそういう人と一緒になりたい。
アーヤ:良い人、見つけたんでしょ? その人とは最近どうなの?
小夜:いちおう順調だよ。同居してるわけじゃないから私生活までは分からないけど、デートしてるかぎりは大丈夫そう。
アーヤ:じゃあ、もしかしたら…?
小夜:結婚はまだ早いかなぁ。ほら、私の家って厳しいからさ。もうちょっとお付き合いを重ねて、この人となら一緒になっても大丈夫って確信できてから親に紹介したいと思ってる。
アーヤ:そっか。うまく行くといいわね。
小夜:うん。アーヤにも、良いお知らせがあったら教えてね。応援するから。
アーヤ:ええ、ありがと。(※ふと、手にしたスマホを見る)
小夜:そういえば、エリカさんにはお相手がいたりしないのかな? そういう気配がまったくしないんだけど。
アーヤ:お姉ちゃんは、今のところ研究一筋みたいだから。昨日フランスから帰ってきたと思ったら、今度はまた海外の企業からレセプションに招待されたらしくて、その準備に追われてるみたい。
小夜:すごいなぁ。海外で学術論文を発表したりしてるんでしょ? 会って話すとほんわかした感じの人なのに。
アーヤ:ほんわかというか、どこかネジが緩んでいるというか…。それにしても、小夜はほんと、誰とでもすぐに打ち解けちゃうわよね。つばめやギャヴィともそうだったし、お姉ちゃんを紹介したらいつの間にか2人で出かけてたりするし。
小夜:あの時は、アーヤも誘ったけど来れなかったじゃない。エリカさん、あんまり服を持っていないみたいだったから、一緒に買いに行きましょうって誘ったの。アーヤとにゃぼちゃんのこともいろいろ聞けて楽しかったよ。
アーヤ:…何か変なこと言ってなかったでしょうね?
小夜:たぶん。エリカさんって、WAVEでも印象が全然変わらないよね。文体もぽわんぽわんな感じで可愛いの。
アーヤ:それでたまにイラっとするわ。
小夜:そうそう、秘密にしておくことじゃないから言うけど、ちょうど昨日、にゃぼちゃんともWAVEのフレンドになったよ。
アーヤ:ええっ、そうなの!?
小夜:そうなっちゃった。アーヤは前から、WAVEでもにゃぼちゃんとやり取りしてたじゃない? だから、「私ともフレンドになってよ」って冗談半分でにゃぼちゃんに言ったら、昨日になって本当にフレンド申請が来たの。
アーヤ:そういえば、このあいだ私の部屋に来た時にそんなこと言ってたわね…。でも、どうして昨日なの? にゃボットは何て言ってきたの?
小夜:ええとね、アーヤから「エロにゃぼ」と呼ばれたことに対する見解を訊かれたよ。
アーヤ:……!!
小夜:乙女心に関わることだから私に訊いてきたのかなぁ。状況が分からなかったからまだお返事してないけど。
アーヤ:…ああもう、帰ったらにゃボットに説教しなくちゃ。あのね、変な誤解はしないで。あれはにゃボットが悪いの。シャワーを浴びてる時にとつぜん突入してこられたら驚いて叫びたくもなるわよ。
小夜:なんで突入してきたの?
アーヤ:たぶん、シャワーの調子がおかしくてお湯が一瞬冷たくなって、私が思わず声を上げたから飛び込んできたんだと思うの。「アヤチャン、ドウカシマシタカ!」って。
小夜:なぁんだ。頼もしい平常運転じゃない。
アーヤ:冗談じゃないわよ…。人がいるシャワールームに突っ込むのは非常識ってこと、小夜からも教えてやって?
小夜:あはは。わかった。
アーヤ:はぁ……。先が思いやられるわ。
小夜:アーヤとお付き合いする人は大変だね。お姫様を守る騎士がもれなく付いてくるから。
アーヤ:…それは、大丈夫よ。にゃボットが小夜を警戒していないのと同じように、私が選んだ人ならきっと大丈夫だから。(※再び、スマホを手に取る)
店員:お待たせいたしました。こちら、本日のスペシャルグリルになります。
小夜:わ~来た! すごい、おっきくて美味しそう♪
アーヤ:思っていたよりもボリュームがあるわね。小夜には朝飯前かもしれないけど。
小夜:何か言った? いただきま~す。
アーヤ:いただきます。
アーヤ:(ちょっと困ったり思い出したりするとスマホを見ちゃう癖、直らないなぁ…)
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…以上、アーヤさん&にゃボットを取り巻く日常でした。
次回は、東京ゲームショウ2019にて販売されます、冊子『ふせトラの巻 ~トライナリーのそれを伏せるなんてとんでもない!~』についてご紹介します。にゃぼちゃん関連で先にお伝えしますと、「ふせトラ行き」とさせていただきましたご質問のうち、「にゃぼちゃんの全身図」も、この冊子において、永深ゆう氏描き下ろしのイラストをお届けします。どうぞお楽しみに!