『毒戦 BELIEVER』チョ・ジヌンとリュ・ジュンヨルそれぞれが思う結末に関するインタビュー訳。めちゃくちゃネタバレなので鑑賞後に読んでください。パンフ(未読)のインタビューと被ってるかも。
出展:https://www.google.co.jp/amp/s/www.hankyung.com/entertainment/amp/201805249111H
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エンディングに関する大大大ネタバレなので絶対鑑賞後に読んでください!
OKな方だけどうぞ!
◇ チョ・ジヌン「ラクがウォノを殺したと思う」
「この映画は必ずしも観なくてもいいですよ」チョ・ジヌンは愛情まじりの苛立ちを見せた。理由は結末においてリュジュンヨルが吐き出した一言によるものだ。『それでどうするつもりですか?』自分があんなにも捕まえたがっていた組織の隠されたボス、ラクを取り逃がし、ノルウェーに隠れ住んでいる彼を再び探し出した後、ウォノが受ける問いかけだ。
「エンディングにおいて言いたいことが本当に多いんだけど、どんな単語から始めればいいか分かりません。僕にとってはかなり不親切(な展開)でした。殺せば終わりなのに、何故そうできないでいるのか、この映画は何故ウォノと観客にそんな問いを投げかけるのかと思ったんです」
チョ・ジヌンはイ監督に苛立ちをぶつけた。単なる娯楽映画なのに、チョ・ジヌンの人生においてあまりに大きな問いかけを投げかけられたためだ。
「僕はエンディングを排除して走っていきました。オープンエンドが良いという人もいるけれど、僕はあまり好きじゃありません。『人生で幸せだったことはあるか?』と問いかけるのも、ラクへの質問なのか自分へのものなのかよく分かりません」
オープンエンドはもどかしさを解消できない可能性もあり、観客がそれぞれ考える結論を出すことも可能であり、好みが分かれるものではある。(※以下、エクステンデッド版収録のアナザーエンディングに触れる部分なので訳を省略します)〜〜〜という結末も撮っておいたが、監督にとっては今のエンディングが最善であった。
しかし、ウォノを直接演じたチョ・ジヌンの考えは違った。銃を手にしラクに明け渡した後視線を送り、窓の外を見やれば、「おれはお前によってなら死ねる」という意味だと。ラクに会うために来たので、自殺するようなものではないかというのがチョ・ジヌンの考えだ。
「僕のように苛々したならこの映画は観ないほうがいいですよ。40年以上生きてきて、初めて投げかけられた問いです。これを感じる観客がいらしたらとても有難いと思います。同質感が感じられるだろうから」
◇ リュ・ジュンヨル「誰が死んだのかは重要ではありません」
リュ・ジュンヨルにとって『毒戦』は容易い挑戦でなかった。俳優は普通、役柄に関する答えをシナリオの中に探してキャラクターを完成させていくが、『毒戦』にはキャラクターたちの背景と説明が皆無だったためだ。手探り状態であったリュ・ジュンヨルは、「前史(キャラクターのこれまでの人生や背景)がないのが前史だ」という考えでラクを作り上げ出した。
「最後に一度だけ笑う場面があります。そのときの微笑は溜飲が下がる思いでした。俳優が役から抜け出せないというのをよく聞くけれど、僕は共感できなかったんですよ。だけど今回の映画を撮影しながら、すごく鬱々として、寂しく、空虚な感情が生まれたんです。とても面白い経験でした。なので笑うシーンで痛快さを感じたんだと思います」
リュ・ジュンヨルがもっとも悩んだのがエンディングシーンだった。ノルウェーでラクとウォノは、それ以前にはなかった新たな感情を持って再会する。リュ・ジュンヨルは自身が感じたもどかしさをこの場面ひとつで解消したかったという。
「最後のシーンを撮ってチョ・ジヌン先輩とハグしたんですけど、単純に『お疲れさま』という感じより、ラクとウォノの感情にピリオドが打たれた感じがしました。そのとき初めてラクが誰なのか分かった気がしながら、撮影を終えたんです」
『毒戦』を観たある人たちは「ラクがウォノを殺した」、またある人たちは「ウォノが自殺した」など、エンディングに関して様々な推測をした。しかしリュ・ジュンヨルにとって、結末はそんなに重要ではなかった。
「監督が撮ろうと言ったら撮るし、監督が終わりだと言えばそこまでが僕の演技です。誰が死んだのか知り得ないなら、結末もただ『誰が死んだ?』という問いかけをもって終わるにすぎません。観る人が映画を観ながら、ラクとウォノの人生と感情を感じてくれたらと思います」
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インタビューは以上なんですけど、この違いすごくないですか?最後まで分からないままだった混乱チョ・ジヌンと分かっちゃった達観リュ・ジュンヨル、めちゃくちゃウォノとラクじゃないですか?
わたし結構チョ・ジヌンの作品観てきたけど、ノルウェーでのウォノは本当に見たことない顔してたんですよ。途方に暮れた顔…途方に暮れたまま何かを見つけてしまった顔。自分でも何を見つけたのかよく分かってないし、それに向き合うのは多分すごく怖い。そういう顔。
ウォノというかチョ・ジヌンのその顔を引き出したのがラクというかリュ・ジュンヨルなんだなぁ……っていうのがすごいくらくらしちゃう。好き……。