Swのキャラ設定
長いからまとめただけ 誰でも
まだとちゅう
とりあえず
自キャラ:
レーナ コール
Lena Kohl
自キャラと同郷の領主の子供:
エメリ フォルクヴァルツ
Emelie Volquartz
街の領主様と懇意にしている学者の親に生まれ、領主様の息子と仲良くしていた幼少期、懇意にしているとは言え立場の差があるため友達、と言うよりは主従に近かった。それでも、彼女はその生活を楽しんでいたし、彼と一緒に居られる時間が大好きだった。幼い彼女が恋に落ちるには、それは十分すぎる出来事だった。
そして時は満ち、5歳の誕生日。
成人はまだ遠いものの人によっては冒険に出る人もいる歳だ。タビットにとって5歳と言うのはひとつの節目であるし、彼女もまた、大きな変化を迎えることになる。
「今日、王子様に告白するの!」
誕生会を控えルンルン気分で世界がバラ色に見えていた彼女は親にそう言うと、朝早くから意気揚々と領主様の館に向かう
「これはこれはレーナ様、お誕生日おめでとうございます。して、本日も坊ちゃまに会いに来てくれたのでしょうか?」
とフォルクヴァルツ家の執事が言う。彼は人当たりが良いことで領民にも人気だ。彼女は元気良く頷くと
「ええ!今日はエメリ様に伝えたいことがあるの!」
と言い、屋敷の中、エメリの部屋まで駆けて行く。途中、駆けることを咎める声はあっても彼女を止める声は無い、彼女がエメリに会いに屋敷まで来るのは珍しいことでは無いからだ。彼の部屋まで来た彼女は1度大きく深呼吸をしてから扉を叩く。
「誰だい?」
「私よ!レーナ!」
相手がレーナだとわかると彼は扉を開け、彼女を部屋の中へ招待する。その部屋は彼の立場に見合った豪華な部屋であった。と言っても、煌びやかな宝石や装飾が悪趣味に並べられている所謂”悪い金持ち”の様な部屋ではなく、部屋自体は広いものの、余計な贅沢はしていないであろうことがひと目でわかる内装だった。彼女はこの広くて落ち着ける部屋が好きだった。
「今日はね、私の・・・」
対面して改めて話すとなって、緊張で上手く言葉が紡げないレーナに対し彼は
「今日は君の誕生日だろう?レーナ。誕生日、おめでとう。」
彼は涼しい顔で彼女の生誕を祝ってみせた。更に彼は一つの小箱を手渡す
「これは?」
「プレゼントだよ。五歳になって大人への一歩を踏み出した君への」
レーナは恐る恐る箱を開ける。期待と楽しみで彼女の胸は今にも張り裂けそうであった。
箱を開けると中に入っていたのは青色の宝石があしらわれた美しい指輪であった。
「えっ・・・」
「綺麗だろう?君に似合うかと思って。」
彼はまたも涼しく言ってのける。その指輪が非常に高価であることはレーナにもわかる。庶民でも見ればわかる程にその指輪の装飾は、その指輪は美しかったのだ。
「君の瞳によく似た青色の宝石をあしらった指輪さ。こういうプレゼントは初めてだけど結構頑張って選んだからお気に召してくれたら嬉しいな。」
彼は浪費をするような人間でも無ければ、私欲のために家の金や領地の金を使うような人間ではない。それは彼女に限らずこの領地の全員が理解しているだろう。ではどうやって彼がこの高価な指輪を手に入れたか。彼女はその答えを1つしか知らない
「え・・・まさか・・・前からしてた貯金って・・・」
エメリは、彼はレーナと出会った頃から貯金をしていた。彼はその理由についてついぞ明かすことは無かったが、この状況になっても理解できないレーナでは無かった。
「うん・・・仕事とかはまだ出来ないからこれ以上の物は買えなかったけど、僕の精一杯の気持ちさ、受け取ってくれるかい?」
「ええ・・・ええ・・・!ありがとう!ありがとうエメリ!私すっごく嬉しい!パパやママも祝ってくれたけど、それ以上よ!ありがとうエメリ!!」
この時の彼女の気持ちを一言で形容するなら・・・いや、形容することなどできないだろう。彼女のこの素直で真っすぐで穢れのない心を表すことは非常に難しい。
ひとしきり喜んで落ち着いた彼女は、本来の目的を思い出す。
「そうだ、私、エメリに伝えたいことがあってここに来たの」
「伝えたいことかい?僕に?」
「ええ、他の誰でもない、貴方に。」
「僕のためにか、嬉しいな、どんな内容だい?」
「私・・・私ね・・・ずっと前から思っていたのだけれどね・・・ずっと・・・5歳になったら言おうって思ってたことがあって・・・それでね・・・えっと・・・その・・・」
「僕は逃げないよ。落ち着いて話してごらん。」
「私・・・」
数秒の沈黙。
「私、エメリのことが好き!とっても好き!世界で一番好き!私と一生一緒に居て欲しい!」
偽りのない気持ち。これまでずっと暖め続けてきた想いがついに彼女の口から告げられた。その時の彼女の反応や、彼の反応。それらを知るのは当事者同士だけだろう。
「・・・ごめん、レーナの気持ちは嬉しい。すごく嬉しいし、叶うことなら僕も君とずっと一緒に居たい。でも、僕、女なんだ。」
瞬間、思考が止まる
気が付けば、レーナは走り出して居た。宛てがある訳でも無く、ただ無暗矢鱈に走り続けて居た。
別に誰が悪いとかそういう話では無い。彼・・・彼女は自分の性別を偽っていた訳では無いし、レーナ自身もそれで裏切られたと思っていた訳でも無い。事実、レーナが望めば性別の壁など越えて二人で一緒に居続ける未来もあっただろう。しかし、彼女は走り出した。無意識のうちに走り出した足は、もう誰にも止められない。彼女は、涙を流しながら遠く、遠くへと走って行くのだった。ここでは無いどこかへ行くために。
どれくらいの時間走り続けただろう。旅というものをついぞしたことの無かったレーナにとって、途方もない時間に思えた旅路は、その実隣町程度で終わりを告げた。気が付けば、レーナは隣街の冒険者ギルドに訪れていた。
「ようこそ!冒険者ギルドへ!冒険者登録ですか?」
見慣れないタビット族に対し、ギルドの職員は元気良く話しかける。タビット族であれば5歳で冒険者になる者も居るし、親に同伴で来た子供と間違えて新規登録者の不興を買うのはギルドとしても本望では無いからだ。
「えっと・・・私は・・・はい」
同様していたレーナの口から無意識に漏れ出たのは、肯定の意だった。
彼女が肯定の意を示すとあれよあれよと言う内に手続きは終わり、気が付けば彼女は冒険者になっていた。登録を進めているうちに彼女は自分のいる街が元居た街の隣街だと言う事も理解したが、勢いで飛び出してきてしまった負い目と、初めて見る世界への好奇心によって帰るという選択肢は完全に消失していた。それでも手紙を出すことが出来たのは、家族や友人への愛・・・と言えるのかもしれない。
「パパ、ママとみんなへ
レーナです。誕生日の日、黙って家を出て行ってしまってごめんなさい。自分でもどうしてそんなことをしたのか分からないのだけれど、気が付いたら飛び出してしまっていたの。
今は隣街で冒険者をしているわ、帰ろうと思えば帰れるのだけれど、新しい世界を知って、もう少し見てみたくなったの。だから、暫くは手紙だけでやり取りするのを許してください。いつかその時が来たらちゃんと帰って、それから改めてあの日のごめんなさいをさせて。」
「エメリへ
まず謝らせて、あの日、いきなり飛び出して行ってごめんなさい。あの時の私は驚いていて、正常な判断が出来ていなかったのだと思うわ。本当に・・・ごめんなさい。あんなに素晴らしい贈り物を貰ったのにちゃんと感謝も言えてなかったと思うわ。ありがとう。エメリ。貴方からのプレゼントは、今も大切にしているわ。
それで、いつ帰るか、また会うかの話なのだけれど、ごめんなさい。まだ自分の気持ちの整理ができていないの。自分勝手で何の保証も出来ないから、もし仮に貴方に愛する人が出来たら私のことは忘れてしまっても構わないわ。けれど、でも、まだ友達で居てくれると、私のことを一番だと言ってくれるなら、私がいつか自分の気持ちを整理してまた会うまで、待っていてくれない?勝手なお願いでごめんなさい。でも私達には、私にはまだ時間が必要なの・・・。本当にごめんなさい。それからもう一度、大好きよ、エメリ。今もその気持ちは一緒。」
タビット族の少年、いや、少女は、手紙を手に独り言ちる
「僕は逃げないと言ったろう?いつまでも待つさ。君がまた会いに来てくれるまで。」
_これは、一人の少女が自分の気持ちを理解して、帰郷を目指すまでの物語。