心覚のわかりにくさって多分「歴史がすべてわかりえるということはない、なぜならその時その場所を懸命に生きた人間のことが全てわかるなどということは刀剣男士という神様にもできないことだから」というメッセージを含んでるからじゃないかな
水心子くんが問いただした太田道灌や、ソハヤが聞いた天海はこたえてくれない。道灌の意図を察した五月雨は口をつぐむ。
将門様は三日月宗近という友のとりなしがあってだからようやく心の奥底、ごく身近な、ごくごく個人的な動機をようやく教えてくれる。
人間の動機、本心なんて、仲の良いひとにもあずかり知らぬもの、そんなに簡単に見ず知らずの刀剣男士に、そして後世からそれをながめている我々にわかり得るものではないのだから。
あと、心覚が時系列シャッフルを使ったり出陣を明記しなかったのはいくつかポイントがあってやってることだとおもうんですが、その一つには今回かなり伝奇・オカルト要素を含んでいて(天海の結界とかね)それをいつもの通りに明瞭な歴史と言い切るのを避けたのかな~と思いました。
なぜかというと御存知の通り今は「陰謀論」というものがべらぼうにはびこっていて、伝奇とは「いま言われている歴史は真実ではない! 陰謀によってかくされているのだ!」という話と大変相性がいいというか一見するとわからないくらいよく似てしまうことがある。
私は見ていて今回のシナリオを陰謀論に寄らないように伝奇をやるための手法の一環だなあと感じたということでした。そこまでしてなぜ伝奇っぽい案件に触ったかというと、これはそれも「逸話」である。物語の一つの形態であるということから避けなかったということだとおもう。