2023/07/22(土) 19:30からrabbit hole渋谷で行われた『殺意の特異点』の感想です。未通過❌
v 1.0.8 2023/12/07 01:50
2023年7月22日(土)にrabbit hole渋谷で行われた『殺意の特異点』の感想です。内容は通過済みを前提としています
本作を体験したのはもう半年近く前であり、そもそもマダミスを初めて9作目に通過したシナリオでもある(今は100作程度通過)。その結果、記憶からこぼれ落ちてしまった細かい思惑や思慮が多々ある状態だ。だが、本作品は通常の作品ではない。その骨子となるだろう部分は興味深く記憶に焼き付いて、未だありありと思い出すことができる。そんな感じで感想を書こうと思う
なお、以下で出てくるジーンを演じたのはケイトさんという方だ。その方の感想もある https://fusetter.com/tw/4eYY4rkw 個々の動きなどはそちらを読んでいただいた方がつぶさに把握できると思う
留意点
かなり妄想的・空想的な内容をかなり含みます
あくまで僕が当時プレイしてる最中に考えていたことで、それ以上でも以下でもないものです
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0. Introduction
本作を語る上で逃れられないだろうミステリ作家とミステリがある
それは"森博嗣"と"すべてがFになる"だ。元名大の助教授が書いた、第1回メフィスト賞受賞作。本感想は特にそれらと密接に関わっており、ゆえに最初にその旨明記しておく
...正直なことを言えば、本作は最初から「森博嗣っぽいなー」と思っていたところがある。"最初から"とは、パッケージとタイトルから。まだマダミスを初めて初期の頃で、全然わからないから単純に知ってる作家に結びつけただけ、だったかもしれない
それでも
森博嗣は好きな作家だ
大学生のころに影響を受けて、今もそれは続いている
万が一、この直感が正しくて
もし似た作風をマダミスで体験できるなら
そんなことを思いながら、本作を申し込んだ
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1. 背景とキャラ選択・キャラ造形
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1.1. 背景
rabbit hole渋谷店はこの時初めてだった
他のrabbit holeの店舗に比べ、どこか近未来感があるような気がして、"それも合っているな..."と思ったのを覚えている
最初、物語のイントロがGMによって読まれる
https://rabbithole.jp/event/singularity
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瀬戸内海に浮かぶ小さな島、文城(ふみき)島。
認知工学研究の第一人者、
宝生博士はこの島に研究所を設立した。
それぞれの目的を抱えながら集まった7名。
この実験で、博士が得ようとしているものは何か。
混濁した記憶の中で、あなたは何を得るのか。
交差、すれ違う思惑、ここが、殺意の特異点。
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...文城島
VR世界...
......博士が死体...
まだ分からない!
メタは良くない!
まだ島!まだ科学者!
VRだし!有限と微小のパンで似たようなの使ってたけど!
xxxに似てますよね的なのは無粋だし避けるべき!!!
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1.2. キャラ選択
そんなことを思いながらキャラ配役が始まる
(目が悪いので全体を視認したのがこの時だったように思う)
名前は、アキラ・バース・チトセ・ダリル・エリ・フィリップ・ジーン
はい
これは森博嗣の"すべてがFになる"オマージュですね
島設定や研究者設定は無くはない
島なんてクローズサークルの典型だし
研究者も人気あるモチーフだろうし
でも、A〜Gのアルファベットで統一してるのは確実に孤独な数字を意識したものに思える
ここで「孤独な数字」とは、かつて名古屋大学で出された次の問題に由来するものを指す
問
1から10までの数字を二組に分けて、それぞれグループの数字を全部掛け合わせる
このとき、二つの積が等しくなることはありますか?
もしすべてがFになるを未読なら、考えてみると楽しいかもしれない
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1.3. キャラの掘り下げ
GM配役で、僕はフィリップになった。エリのストーカーという設定の、海外から来た研究者
キャラの掘り下げでは、女性に不慣れで、でも好意を稼ごうと色々欲しいものを持ってくるよう走狗するキャラを考えた。遠くから推しを見ているタイプのストーカーとしたので、あまり設定を活かせなかった気もする。ただ情報系でストーカーならまぁ...と思う (ストレートにアプローチできたらストーカーなんてやってないだろう)
今ならもう少し別の造形を与えられるかもしれないが、当時はまだ9作目ということもあり、掘り下げが甘いところがあったと思う。ただ、本作においては、それ以上の役目を模索していたという側面もあると言い訳をさせて欲しい
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2. 物語の開始
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2.1. ジーンと話す
「犯人が誰か」
実際のところ、推理が始まってマーダーミステリーとして最も大事な問いをまず横に置いた
考えることがあったためだ
それは「特異点とは何か?」という問いだ
これを作者さんが"beyond すべてがFになる"として考えているなら
越えたいポイントはFであり、その次はGであるべきだ
ちょうど与えられた役はFに該当するだろうフィリップ
であれば
僕はGeneのキャラクタに何か声をかけるべきだ
そう思って、まずジーンに声をかけた
「君は誰なんだ?」
本当はそう問いたい
でもそれはメタの上にメタを重ねるようなものだ
森博嗣って知ってますか?から始めるわけにもいけない
だったら...
「やぁ、初めましてだね」
「変な実験に巻き込まれてしまったね」
「分からないことが多いけれど」
「でもひとつ言えることがある」
「きっと君は孤独じゃない」
これ以上話すとメタかな?
「だって、みんなの頭文字を取るとA〜Gになってる」
「でもFなはずの僕はP!」
「Phillipだからね!」
「もし仲間はずれがいるとするとしたら、それはきっと僕だよ」
「心配しなくていい」
そんなおちゃらけを言って誤魔化す
でも、本作を小説とすれば、きっと君は物語の核心だと思うんだ
これは僕の考えすぎかもしれないし、単なる過剰な妄想かもしれないけど
でも万が一それが当たっていたなら、シナリオが佳境に入った時にでも思い出してくれたらいいな
そんなことを思いながらジーンとの会話から離れた
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2.2. 他の人と話す
他の人と色々話す
エリに話かけて、何か欲しいものはないですかと聞く
軽く(本当に軽く)好意をアピールしながら、あなたのシモベですよ感を出す
エリが女王様であってくれたらいっそ楽なのにと思う
他にはチトセと話をして、どこかでお会いしたっけ?とかそんな話を話す
(正直に言えば、この辺りの推理本体の会話はあまり覚えていない)
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3. 物語の終盤
細かい推理やPRは正直失念したところが多い
なので覚えている終盤を書く
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3.1. 物語の終盤
推理自体はある程度順調に進み、ダリルかジーンが犯人では、となっていた気がする
ジーンは記憶なしで分からない...みたいな感じだった
では誰が犯人なのか?
いや
問うべきは別かもしれない
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3.2. the Perfect Genocider
調査を進めるうちに、The Perfect Genociderなる存在が浮かび上がってくる
(細かいツッコミは割愛する)
通称PG
これを聞いて、漠然とした疑問が生じる
なぜ「PG」と略記を用いているのだろう
呼びにくいなら何かそれっぽい名前をつければいいじゃないか
大量破壊兵器とか虐殺器官とか
「PG」
きっとこの略記には意味があるはずだ
そう思って思案を巡らせると、最初のGeneの考察が想起された
例えば「PG」のGがGeneのGなら
別に何かPがあるのではないか?
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3.3. ジーンは何者か
ジーンがPGであることは多分そうだろう
でもそれをPerfect Genociderとするのは誤りなのではないか?
他にPがあるんじゃないか
推理も残り5分くらいになって、ひたすらPになりそうなものを探す
P、P、P...
それっぽいのはない
どれも基本Perfectだ
...行き詰まって机を見渡すと、そういえばと思い出すものがあった
それは最初GMに、物語には関係がないですが、と紹介された小謎の紙
それには矢印がいくつか書いてあった
そういえば解いてなかったなと解いてみる
(他の人も解けてたけど、議論or密談で聞けなかった)
数秒考え、椅子の配置と符号していることに気付き、人の頭文字を対応させる
答えは「Peace」
この瞬間
たぶんこの瞬間にジーンを正しく認識できたと思う
ジーンはPGだ
それは間違いない
しかし、Perfect Genociderであるのはその一側面でしかない
もうひとつの側面はPeace Gene
博士がAIを作ったのは平和のため、みたいな記述がどこかのカードにもあった
であれば、平和の遺伝子はまさにもう1つの側面なんじゃないだろうか
そう考えて、思慮の世界から意識を戻し、議論が進む机に帰ってくる
おそらく犯人はダリルだ
...
......そしてジーンくん
特異点の向こうであれば
16進数なんか飛び越えてしまえば
君はきっと孤独ではないんだよ
Fを冠してPを擁するフィリップであれば、それくらい思ってもいいだろうか
「君は独りじゃない」
これは僕がジーンにかけた声だ。
犯人投票のあとジーンがボタンを押すかの選択を迫られる展開になり、ジーンに一言声をかけれるチャンスが来たから
そうして本作は幕を閉じた
(もちろん、僕の一言が最後の一言ではなく、ジーンの選択があってfinだが、フィリップとしてはそこで綺麗に役目を果たし終えたかと思う)
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4. 終わりに
本作はマダミスを初めて9作目に通過したシナリオだ
そんな初期に、また半年ほど前に体験したにもかかわらず、非常に記憶に残っている作品でもある。fusetterを書く習慣が昔からあれば、感想をきちっと書いておきたかった作品No1といっても過言ではない。産業スパイの話とか、それとエリの話とか、カードをどういう意図で引いたとか、シナリオ上のギミックとか。本当に色々書きたくても仔細を忘れてしまった物語が沢山ある
ただ、当時のジーンに対する思いは熱烈に覚えていて、今でもこうして書けるのなら、もうそれを書くことは使命かと思って筆(?)を取っている
反省点は多くある
本作を推理ではなく、物語として理解しすぎてしまったこと。中々いい感じの役を降ろせず、ストーカーPRが不完全燃焼だったこと。などなど
もちろん、推理はちゃんとやってダリルか或いはという所までは考えた。ジーンについての思慮はそれをサポートする一因にすぎない。エリにも、ストーカーというか、スカッとしてないタイプの好意を示していた。産業スパイも追った。しかし、それ以上に『殺意の特異点』たらしめようという意識が強すぎたかもしれない
そんな拙い自分語りも多く含む内容だが、これを読んだ人が楽しんでもらえていると幸いだ