SSS.S 現行・未通過× 自陣だいじょうぶ!
5日目、HO3視点🐶
最後に、おとうさん、って呼びたかったです。
〇グッゲンハイム美術館
中に入り、警備の人に声をかけたり中を調べたりしたがエリックの言う本らしきものは見当たらなかった。
より警備の厳しい場所に保管されているのかもしれない。
警備内に侵入して目的のものを奪取する、とエリックは言った。
異を唱えたのはハリーさんだ。そこまでする必要はあるのかと彼は聞いた。
それに対し、法を守っていては守れるものも守れない、今はそんなことを言っている場合ではないとエリックは言う。
結果不承不承ではあるがハリーさんはそれを飲んだ。
エリックの言動に違和感を覚えたのはハリーさんだけではなかったらしい。カイさんも彼に二、三質問を投げかけた。
だがそれも説得される形になった。
これから武器を調達してくるから君たちは休んでいてくれ、と、
自分たちにそこそこのお金と通信機を渡し、エリックはどこかに行ってしまった。
そんなきな臭いやり取りが行われる中自分はワックワクしていた。
◆HO3/美術館--------------------------------------------------------------------------------------
そういえば20年ほど前にいたずらで警護システムを一時的にストップさせたことがある。
絶対に破れないと豪語しているセキュリティを破るスリルを味わうのが楽しかった。
当時ある犯罪組織にそれらの技術を高値で購入すると告げられ渡した記憶がある。
最もそれが原因でFBIに本格的に追われるようになったきっかけでもあるのだが。
あの時アメリカのあらゆるシステムがそれをきっかけに見直されたのだったか...
強化されたといってもこの美術館程度のセキュリティなら自分が解除することはできるだろう。
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警備の突破や解除は自分の得意分野。昔とった杵柄だ。当時を思い出し血が騒いで終始にやにやしていた。
エリックの提案にも「おもしろそーじゃん!!!」と俄然乗り気だった。
自分の力を思う存分発揮できる、役に立てる!!と有頂天だった。
〇美術館、夜
各々救急キットとペンライトとサイリウム(!?)を手に、エリックと合流。彼から銃を渡された。
全員で中に乗り込む。
エリックは事前に侵入経路を決めているようで、そんな彼を皆で追っていく。
すると一つのエレベーターの前についた。カードキーが必要なタイプだ。
堅牢なセキュリティで守られ突破は困難に思われた。
そんなドアの様子をチラーッッと覗いてみる。
◆HO3/技術-------------------------------------------------------------------------------------
この程度のシステムであればどうにかできるものだと理解する。ロックを解除できそうだ。
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フッ、他愛もないぜ。
ちょちょいといじり、ロックを解除。へへっ。ドヤ顔で振り返った。
皆が口々に「すごい」「やるじゃないか」と言ってくれる。
皆からの視線が最高に気持ちよかった。もっと見てくれ。
エレベーターに乗り地下へと下る。その時ハリーさんにこっそり話しかけられた。
「少しやりすぎだよ。
君の力は素晴らしいものだけど、こういう使い方はあまりよくないんじゃないか?」と忠告された。
調子に乗っている自覚はあったので図星を突かれた。へへっ、しか返せなくなってしまった。
「でも、今この力がみんなの役に立ってるっていうのがとっても嬉しいんだ。
もうあんなことは繰り返さない、正しいことのためにしかこの力は使わない。」と胸を張った。
そんなこちらの様子にいつもどおりハリーさんが頭にポンポン、と手をおいた。
なんだか照れ臭くなって話を続ける。
FBIに入ったのはこの力を必要とされたからで、自分は皆のような大層な大義名分は持っていなかったこと。
だから自由の女神像でハリーさんに「自由と平等」について聞かれたとき、自分なりの答えが出なかったこと。
この事件が片付いたら自分なりの答えを見つけたいということ。
「その時はハリーさん、褒めてくれる?」と聞いた。
彼は嬉しそうに、「もちろんだ。」と笑ってくれた。
これがハリーさんとの最期の会話になるとは夢にも思わなかった。
〇地下
地下で二冊の古い書物を見つける。どちらも相当年季の入っている、いわゆる魔導書の類かと思われた。
それにもかなり厳重なセキュリティがかけられているようだ。
と、その時。エリックがレオさんの背後に回り込み後頭部を殴りつけ気を失わせ、
流れるままハリーさんを人質に取り、喉元にナイフを突きつけた。
戸惑う自分たちに、彼は人の変わったような冷酷な表情で以下のことを告げた。
・20年前のテロ事件に巻き込まれ家族を失い、以降事件にかかわった人間を探し回っていたこと
・一連の事件で殺されたFBI捜査官はテロの犯人たちを見逃していた人物だったこと
・20年前の事件は「とある人物」が警備システムの情報をテロリストに売ったために引き起こされたということ
・その人物こそ当時世間をにぎわせていた「ウィザード」、つまりジェームズ・エヴァンスであること
・あの事件を引き起こしたお前に報復したい、苦しませてやりたい
◆HO3/犯罪者----------------------------------------------------------------------------------
20年前、確かに自分は両親の気を引くためにあらゆる犯罪を行った。
人の死にかかわらないが目立つ犯罪行為を何度も行ってきた。
その犯行にも、確かに覚えはある。
けれど、テロ事件に関与してしまっていたなど知るはずもなかった。
エリックが語ったことが真実なら多くの人間が死ぬ事件に結果的に加担してしまったのだ。
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人殺しだけはしていない、しないと心に決めていた。全部親の気を引きたくてやったことだ。
それが、大勢の人間を巻き込む大事件の発端になっていたなんて。
でも自分は売っただけだ、それをどう使うかはその人次第。
包丁を売ったからといって、その包丁で人が死んだら包丁を売った人間は罪に問われるのか?それと同じだ。
でも肩口にナイフを突きつけられ、血を流すハリーさんの姿を目にしてそんなことは言ってられなかった。
報復?何が望みだ、いったい何をすればお前の気は済むんだ、と叫んだ。
今すぐ魔術書にかけられたセキュリティを解け。さもないとハリーを殺す。
エリックの返答はシンプルだった。
いけない、とハリーさんが叫ぶ。
一瞬警備システムに目が行った。そうすれば、ハリーさんは助けてもらえるのか?
ハリーさんとしたいろいろな約束、たわいもない雑談、思い出がちらついた。
もう、そんなささやかな幸せが、二度と手に入らないかもしれない?
親に見捨てられボロボロだったときの孤独と空虚が一気によみがえってきた。
いやだ。もう失いたくない。
一歩、そちらのほうに足を延ばした。
ルーシーが声を上げる。やめて、あの本がこの男の手に渡ればまた大勢人が死ぬ、と。
振り返って怒鳴り返す。自分の過去のこと、全部遊びでやったことだということ、その結果すべてを失ったこと、
ハリーさんが、自分を救ってくれた恩人だということ。
一人の大切な人間とそのほか大勢の関係ない人間だったら君は後者を選ぶんだろう。
でもおれはFBIになりたくてなったんじゃない。そんな正義も信念もおれにはない。
それにまたルーシーが叫ぶ。
あなたのせいで結果的に何人もの人が死んだ。
その悲劇にあなたはまた加担しようとしている。また同じことを繰り返すの?
返答ができなかった。
その間もカイさんがどうにかできないか模索してくれていたようだ。
今思えばもっとうまい立ち回りができたかもなーと思う…
(セキュリティを開けるふりして時間を稼いでる間に二人にハリーさんを奪還してもらうとか…)
でも結果、そういう行動はとらなかった。
ハリーさんに声をかけた。
「おれ、さっき言いましたよね。「正しいことのためにしかこの力は使わない」って。
そうします。
ハリーさんが認めてくれたこの力は、ここで使うべきじゃない。」
エリックを睨んで言い放つ。
「その話には乗らない。お前の言いなりにはならない。」
こちらの返答を聞いた彼は冷たい表情を浮かべ口を開く。
彼は歌を口ずさみ始めた。すると彼の体に黄金の巨大な触手が重なり、纏われる。
「これがお前が選んだ未来だ。」
そしてハリーさんの首元をナイフで掻き切った。
彼の体が崩れ落ち、血しぶきが散った。
次に触手をルーシーとカイさんに向け、壁まで吹き飛ばす。
あんな巨大なもので払われればひとたまりもない。二人とも地面にそのまま倒れこんだ。
その音にレオさんが目を覚ました。それに気づいたエリックは振り返り、レオさんに優しい表情を向けた。
2人の視線が交差する。
「手荒いことをしてすまないね。」
「エリック。お前がやっていることはテロリストと同じだ。」
半狂乱になり、エリックやその触手に向けて発砲した。命中はしたが弾はすべてはじかれた。
もう、どうしようもない。
そう思った時、青い炎がちらついた。
〇黒服の男たち
ここからの記憶は曖昧だ。
気が付けばエリックの姿はなく、眼帯をした青い髪の男とサングラスをした黒服の男がいた。
この二人が自分たちを助けてくれたらしい。
この二人に誘導され、ここから一旦引き上げることに。
放心してろくに動けない自分をルーシーが引っ張っていってくれた。
引きずられるようにしてみんなについていく。
一瞬ハリーさんの顔が見えた。その表情はおだやかに思えた。
男たちに連れられ椅子に座らされる。部屋の奥には見知った顔があった。ルーカスだ。
彼らは自らを「秘密結社デルタグリーン」と名乗った。聞いたことのない名前だ。
なんでもエリックのような魔術的な脅威からこの世界を守る役割を担っているらしいが…。
本来は地球規模の危機でないと顔を出さず、今回のような個人の救出などは専門外らしい。
ずっと自分たちに張り付いていた視線。それはこいつらのものだったのだ。
ずっと見ていたのだ。
エリックが「ジェラフマン」の一員であることも、魔術的脅威であることも、
自分たちが接触したことも、騙されて協力させられていたことも、ハリーさんが人質に取られていたところも。
自分たちは泳がされていた。まんまと掌の上で踊らされていたのだ。
なら教えてくれてもよかったじゃないか。
そうであればハリーさんは死ななかったし、本の奪取もされなかっただろう。
こいつらの言う「地球の危機」がこんなに差し迫った問題になることもなかったんじゃないのか。
突っかかりそうになるのを何度もこらえた。
わかっている。これはただの責任転嫁。八つ当たりだ。
でもこのときはそんなやり場のない感情を抑えるのに必死だった。
黒服の二人が去り、ルーカスが声をかけてきた。
なんでもルーカスがあの二人を呼び自分たちの窮地を救ってくれたらしい。
大けがをしているルーシーとカイさんの様子を気にしつつ、
彼は「四人で話したいことがあるだろう」と、部屋の外で自分たちの話がまとまるのを待ってくれるようだった。
四人で、これからのことを話した。いろいろと話した。
弱音を吐いた。叱られた。八つ当たりした。それでいい、と言ってくれた。
結論は「全員で事件を追う」ことで一致した。
〇病院
自分たちの下に誰かが訪ねてきた。イーサンさんとメリッサだ。
尋ねられ、ことの顛末を話すカイさん(デルタグリーンに関しては口止めをされてるので伏せている)の話を
イーサンさんは半信半疑のようだった。
「よくわからないこの世のものとは思えない力」って話されんだもん。そらそうだわな。
聞き終わり、全員にねぎらいの言葉をかけた後、イーサンさんは立ち上がった。
そしてそのままこちらのほうにやってきた。
不思議そうな顔をしていると、何やら渡すものがあるという。
差し出されたのは手紙と小包だった。有事の際に渡すよう、言われていたらしい。
苦しいくらいに胸が鳴った。
確かに受け取ったのを見届けると彼は去っていった。
メリッサはルーシーと言葉を交わしていた。すると急に彼女がよろめいた。
あわててそれを受け止めるルーシー。
一瞬意識を失っていたようだ。だが彼女はすぐに気を取り直した。
最近よくあるらしい。持病なのだという。初耳だ。
そうだ、彼女には聞きたいことがあった。
インスマスで見かけた絵画の話を彼女にする。金髪の少女と一緒に写っていた絵だ。
尋ねて様子を見たが、知らないと彼女は答える。
声には変わらず抑揚はないが、目には困惑の色が伺える。
よく分からないが、誤魔化しているように思った。
何か話せない事情があるのか?
レオさんが無理はするな、一人じゃないのだから何かあったら頼れ、と彼女に声をかけた。
メリッサは依然読めない表情のまま、ありがとうございます、と言った。
全員に見送られ、彼女もこの場を去っていった。
さて、と受け取った手紙と小包を見る。
少し見るのが怖かった。
でも今見れなかったら一生見る勇気が出ないかも知れない。
ひといきついて、えい!!!!!と開けた。
〇手紙と小包
◆ジェームズへ------------------------------------------------------------------------
この手紙が君の手に渡っているということは私はすでに亡くなっているのだと思う、
私の身に何かあった時にイーサンに頼んでいるのだからね。
何かあった時のために手紙を書こうと思ったのはいいがこういう手紙に何を書くか悩んでしまうな
...そうそう。君との出会いでも語ろうか。
君との出会いは強烈だったね。
君については当時署内では話題で持ちきりで、すさまじい才能を持った愉快犯だと皆口々にしていた。
追いかけるうちに君を捕まえて改めて顔を見たとき驚いたよ。
君はまだ20歳で私にとっては子供のようなものだった。
あの時の君は、とてもではないがいい状態だと思えなかった。放っておけなかったんだ。
気が付けば一緒に働かないかと声をかけていたよ。
あの時君を誘ったのは間違いではなかったと思っている、
今の仲間たちと仕事に励む君を見ていると、よりそう思える。
たとえどんな過去をもってどんなことがあったとしても、
本人がやり直したいと心の底から望むならやり直せないことはないと思っている。
君が頑張っている努力は誰かが認めてくれるだろうし、私も認めている。
これから先、何があったとしても大丈夫。
無責任な言葉に聞こえるだろうけどね。
もうおしまいだって思うことが人生には何度かあるが、意外とどうにかなるものだよ。
それに今の君には、居場所があって、仲間がいる。
それに、君は、私の誇る立派な捜査官だ。
君が必死に積み上げてきたものを私は見てきている。きっと、本部の仲間たちもね。
だから、大丈夫。君は、1人じゃない
...君と出会えて良かったよ。
君と過ごした日々は私にとってのかけがえのないものだった。ありがとう。
君は君のまま、信じたように生きなさい。
君が健やかで、幸福でいることを願う。
ハリー・リード
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丁寧な文字でつづられている。
小包の中には時計が入っていた。
いつぞやあなたが見ていて素敵だとハリーに話していた時計だ。
覚えていてくれたのだろう。
ふとハリーの顔が思い浮かんだ。
彼は優しいだけではなく時には厳しく指導することもあった。
しかし自分にとって父親のように時に甘やかしてくれる人だった。
そんな彼はもういないのだと改めて理解する。
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彼はもういない。
でも、少なくとも彼の最期で、彼に誇れるような人間でいられたと思う。
また会った時に、「よく頑張ったね」って褒めてもらえるように。
胸を張って会えるように、頑張るよ。
お父さん。
〇みんな~~~~~~~~~~~~
・ルーシー
こちらからの怒鳴りを同じだけの熱量で返してくれた。
う~~~~~~~~~~ありがと~~~~~~~~~~~~~~~~;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
こっちはルーシーの両親死なせちゃってる発端なわけなんだよね。憎くないわけないと思うんだ。
なのにこっち側にいてくれるんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大怪我だって負った。
あなたのせいじゃないって言ってくれるけど、やっぱり申し訳なくて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
弱音はいたりいじけたりすねたりしちゃうのを引っ張ってくれる第一声をいつももらってる。
ふせ拝見しましたが、ルーシーちゃんの名前の由来である「光の槍」。とっても似合ってるなあって思いました。
・カイさん
デルタグリーン組が去ってからの話し合いの場面で、
いじけて当たり散らすこちらに「それでいい」って言ってくれました。
ほんとこの人一日目から優しすぎるんだよなーーーーーーーーーーーーーーー;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
この人だって大怪我負ってるんですよ。全然関係ないのにその場に居たってだけでとばっちり食らってるんですよ今回。
ハリーさんが人質になってる時だって手を尽くせないか考えてくれているみたいだった、
でもそれを結果反故にした感じなんですよねこっちは・・・・・・・・・・・・
そのうえ八つ当たりされてるのに許すんですよ。なんて懐の深さだよマリアナ海溝か????????????????
セッション中ちゃんと謝ってなかったなって思いました・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい;;;;;;;;;
・レオさん
気を失っていたり出目が振るわなかったりしていたけど、
話し合いのところで「あの選択は間違っていなかったと思う。」と言ってくれたのがうれしくて・・・・・・
あんだけ守る守る言ってたくせに結果ハリーさんを死なせてしまった、
というより「殺させる選択をとった」ってのがずっと、ずっと引っかかってて・・・・・・・・・・・・・・・・
レオさんの親友であるエリックにこんな人殺しをさせないためにも、
あそこは言うこと聞いてた方がよかったのか?とかも考えていたので・・・・・・・・・・・・・・
うじうじ悩んでいたのが、ひとつほぐれた感じがして。ちょっと気持ちが軽くなりました。
今日中にハリーさんの時計つけてる差分用意します。
次も頑張ります。