ネクロニカ「君に注ぐ花」第七陣のネタバレ含みます。
今更ながらイソラの掘り下げと、コイツややこしいし面倒くさい男だな……というふせ。
ちまちまと書き溜めていたイソラ関係のSSを編纂する作業中に思い浮かんだ事を、備忘録代わりにふせにまとめています。
10割取り留めのない話。
目次
・イソラがクラーケさんを愛していること
・イソラは、生前のクラーケさんに戻ってほしいとは思っていないです。
・あくまでもIFの話(セラフィーナさんによるドール奇襲の可能性の話)
・イソラがいつかドールと敵対する(かもしれない)こと
・イソラがクラーケさんに落胆するとき
・↑上記みたいな最悪のケースを通して考察する、イソラがクラーケさんの好きなところ
・イソラの攻略ポイント
--------------------------------------------
■イソラがクラーケさんを愛していること
生前のイソラ(ネフィルティア)は、自分が何故クラーケさんに恋をしたか、愛しているか、理由も経緯も全て話していると思います。
理解してもらえるかはともかくとして、納得してもらわないと交際するにあたって失礼だと思うので。そもそも基本的にクラーケさんに惜しみなく愛情を注いでいた奴でもあるし、訊かれれば答えるので。
勿論、クラーケさんのハンデ(視力や両腕・片脚を失っていること)を考えると、「自分の好意でクラーケに無理強いしたり誘導したりはしたくない」という自制心もあったので、それなりにセーブしつつ伝えていたと思います。
……が。
現在のイソラ(ネクロマンサー)は、そのあたりの記憶はまるっと無いです。
取り戻そうとしても思い出せません。外部記憶装置は壊れてしまったし、自分の脳から記憶を抹消してしまったので。
ただ、「私はクラーケを愛していた」という記録(強い確信)だけがある。
「どうして好きになったのか」という理由が分からない。なので、「愛している」とは言いつつも、「夫にはなれない(戻れない)」とも言う。好意の中身がないから。
そして現在。
イソラは、クラーケさんを『改めて』好きになろうとしています。
もとい、「私はクラーケのどこが好きなのか」を探しています。
というのも、そもそも生前のイソラが生前のクラーケさんを好きだったのは、クラーケさんが障碍者でありながら科学者になった才女であり、彼女の智慧や聡明さ、意思の強さに惹かれたから。
勿論、それ以外の理由も沢山あったと思います。
(不意に距離が近くてどきっとするとか、読み聞かせをしているときの無邪気な顔が可愛いとか、ネクロマンサーの自分に対しても分け隔てなく接してくれるところとか、話すと飽きないところとか、リハビリを頑張っていたところとか。挙げればきりがないと思います)
しかし、今のクラーケさんは、生前のクラーケさんとは違います。
ドールに作り替えられる過程で記憶をほとんど失い、科学者としての知識も失っています。人格面(性格や趣味嗜好)は同じかもしれませんが、思考の方向性や判断能力は変わっていると思います。
乱暴な言い方をすると、今の「ドールのクラーケさん」は、生前のイソラが愛したような才女でもないし、科学者でもないし、協力者でもない。視力の喪失・四肢欠損というハンデも、今は持っていません。
更にめちゃくちゃな言い方をすると、生前のイソラ(ネフィルティア)が、今のクラーケさん(ドールでありアンデッド)と出会ったら、好きにならないかもしれません。
「貴方はアンデッドで、人間じゃない。私と並べるような知識もないし、権威もない。ハンデを克服しようとする生命の力強さもない。四肢を失ったクラーケのように、リハビリという努力をする必要もない。私が愛したクラーケじゃない」……と考える可能性もあります。
まあ、実際のところは「クラーケだから好き」で、最終的には恋に落ちそうなんですけど。
それぐらい生前のクラーケさんと今のクラーケさんは異なる――というところが、今回の話の肝です。
一方、これはイソラも同じことです。
「私はクラーケの夫だったという事実を知っていても、その記憶がない。今も愛しているけれど、そうなるに至ったきっかけや理由が分からない。これは果たして、クラーケが愛した私なのか?」という疑問を、イソラは抱えています。
クラーケさんは「それでも好き」というスタンスですが……イソラは自分自身のことも、クラーケさんのこともまだちょっと疑っています。
だからこそ、「君に注ぐ花」最終話で、「イソラと名乗ること」を決めて、「私が呼ばれて愛着が湧くぐらい、精々呼んでみればいいんじゃないですか?」と言っています。
今の私と、今の貴女で、もう一度恋をしましょう。
そういう宣言をしています。
--------------------------------------------
■イソラは、生前のクラーケさんに戻ってほしいとは思っていないです。
今のクラーケさん(アンデッド・ドール)が、生前のクラーケさんと同じ知識を得たら、クラーケさんがネクロマンサーになってしまうから。
生前のクラーケさんがネクロマンシー技術を知っていた事もそうだし、イソラはイソラ本人が力を持ち過ぎることも恐れているので。
何せ、イソラというネクロマンサーを殺せなくなってしまったら、それはそれで「ネクロマンサーの殲滅、アンデッドの絶滅、ネクロマンシー技術の根絶」という使命を果たせなくなるので。
そういう事態は避けたい。
どこかのふせで、「いまは記憶が無いにしても、ネクロマンシー技術を思い出したらわたしはアンデッドを増やす可能性がある危険分子だと思うのだけれど、どうして真っ先に殺さないのかしら?」というクラーケさんの疑問が書かれていたけれど。
だから、もし、イソラが海辺の街で内部分裂を起こす時が来るとしたら、その条件のひとつとして「クラーケさんがネクロマンシー技術を思い出す(手に入れる)」があると思います。
イソラにとって、クラーケさんは愛する人。一緒にいたかった人。
だけど、同時に、殺すべき敵になった。
愛している(一緒に生きていたい・殺したくない)という感情と、殺さなくてはいけないという感情。そもそも、クラーケと戦って殺せるのか?という疑問。
ここの解決方法として、イソラにとって丁度いいのが、「セラフィーナさんによるドール達への奇襲(裏切り)」です。
--------------------------------------------
■あくまでもIFの話
(セラフィーナさんによるドール奇襲の可能性の話)
セラフィーナさんがドール達に奇襲を掛けて、海辺の街を終わらせようとするとき。
それにイソラが協力するのは、上記↑の「クラーケを殺さなければいけないが、殺したくない」という迷いが、セラフィーナさんによって解決できるから。
自分の手でクラーケさんを殺さなくて済むから。
他のドールに関しても同じです。
イソラはドール達が大切で、親愛や友愛として愛しているので、本心は殺したくない。
だけど、義務として殺さなくてはいけない。
自分の代わりに手を汚してくれるセラフィーナさんの存在が有難いし、戦闘能力という意味でもセラフィーナさんになら勝機があるので、イソラはセラフィーナさんと協力します。
--------------------------------------------
■イソラがいつかドールと敵対する(かもしれない)こと
イソラ(ネクロマンサー)が敗北した時にクラーケさんが告げた3つの条件。
「皆で遊園地に行くこと」
「絵本の朗読をしてほしい」
「一人で勝手にどこかに行かず、一緒に居てちょうだい。どこかに行くときは一緒に連れて行ってちょうだい」
それに対するイソラの解答。
「遊園地は不可能。そのためにはまず、遊園地の再建が必要」
「絵本の読み聞かせも今すぐには無理。まずは絵本の修復が必要」
「三つ目は……敗北者として、認めます」
合わせて、イソラは「私はアンデッドを滅ぼすことを諦めてはいません。私を解体しない限り、同じことを繰り返します」と、宣戦布告もしている。
提示された条件があるから今すぐにドールと争うことはないけれど、準備が整ったら「同じことを繰り返す(ドール達をコールドスリープさせようとする)」と言っています。
絵本の朗読は現状、叶えることができたので。
(例:二次創作SS)
だから、いつか遊園地の再建が叶って、皆で遊園地に行くことができたとき。
「楽しかったね」と笑い合ったその翌日から、イソラは次の目標として、「ドールのコールドスリープ」を企て始めます。
もし、クラーケさんがネクロマンシー技術を思い出す(手に入れる)ことがあったら、よりその目標は近い日に達成できるように設定されます。
三つ目の約束「一人で勝手にどこかに行かず、一緒に居てちょうだい。どこかに行くときは一緒に連れて行ってちょうだい」
こちらに関しては、そもそも、イソラは海辺の街で(セラフィーナさんを利用して)内部分裂を起こすので。
イソラは勝手にどこにも行ってないし、距離的には一緒にいます。
ただ、セラフィーナさんがドール達を滅ぼすのを待ちつつ、イソラも障害物(バルカやセンチネル)を排除しているだけです。
何なら、イソラは監視カメラや監視アンデッドを使って街の状況を把握しているので、本人の感覚としては「私はここにいますよ」と、むしろドール達の傍にいる感覚でいるかもしれません。
イソラの知覚が広いゆえのバグ。
イソラはクラーケさんとの約束を破ってはいません。少なくとも、本人はそう思っています。
どちらかといえば、「私は宣戦布告していたのに、それを忘れて平和に溺れたそちらの方が悪いんですよ」という感覚。
海辺の街が敗北して、ドール達がドールとして目覚めるまでの百年以上。
イソラ(と、バルカやセンチネル達)は、ずっと他国からの侵略に備えて防衛戦の準備をしており、同時に、海の向こうに攻め入る機会を窺っていました。
だからこそ、「私と同じ努力(襲撃への備え)が出来なかった貴方達に、私とセラフィーナの奇襲にとやかく言う筋合いはありませんよ」という主張になります。
ドール達は、バルカという主力と、センチネル達という協力者を得ています。
イソラ視点、部下に裏切られているし、手駒もドール達に奪われているんですね。
それだけの戦力を持っておきながら、内部分裂の可能性を考えて、事前に備えることをしなかったのですか?
それは、貴方達の怠慢ではないですか?と、イソラは考えています。
……ただし。
この話をするにあたって、そもそも、ドール達がそんな怠慢をするか?という疑問はあるんですよね。
ドール達がイソラやセラフィーナさんのことをよく見ていて、二人の様子を観察しているなら、何かしらの予兆は察知しそうだな、と。
ドール達もNPCもそんなに浅い関係ではないと思うんですよ。未練を持っている間柄ですし。
勿論、セラフィーナさんは軍人として優れているので、姉妹同士の未練を越える残酷さがあれば、可能になってしまうかもしれない……という観点もあります。
セラフィーナさんが奇襲という強攻策を取るとしたら、どこかでドール達の関係が希薄になっていた(信頼関係に綻びがあった)んだろうな、とも思います。
なので、これはそういう、本当に最悪なことになった場合の話。
嫌な話題ではありますが、こういう「嫌な話題」を通して見えて来るものもあるので、あえて話を続けます。
--------------------------------------------
■イソラがクラーケさんに落胆するとき
イソラとセラフィーナさんの奇襲が成功した時、イソラはドール達に落胆します。
クラーケさんに対してもそう。
一度は自分(イソラ)に勝ったドール達だからこそ、二度目も勝ってくれるなら見直したけれど、そうじゃなかったので。
「ああ、貴方達はこの程度だったんですか」という落胆。
ましてや、場合によっては、クラーケさんの死因は自殺になるので。
「奪おうとする者(セラフィーナやイソラ)に対して、戦う力があるくせに、クラーケはそれを使わなかったのか」
「生前のクラーケは戦い続けたのに、今のクラーケは諦めたのか」
「貴方の覚悟はその程度だったのか」
……という、落胆になります。
このあたりを整理すると、多分、イソラはクラーケさんに死んでほしい(セラフィーナに殺されてほしい)とは思いつつも、同時に「負けないでほしい」「最後まで抗ってほしい」と思っていたんでしょうね。
奇襲を仕掛けたセラフィーナさんを倒した上で、自分(イソラ)のところに来て欲しかった。
自分に滅ぼされて良いと思うなら、その脚で自分のところに辿り着いて欲しかった。
殺し合いの場に来なかったのは、クラーケ、貴女の方じゃないですか。
……とはいえ、イソラの↑こういう思考。
言い換えると、「セラフィーナが負けても良かった。それでクラーケが抗い、勝利して、私の元へ辿り着くならそれでも良かった」なので。
セラフィーナさんはイソラの協力者なんですけど、イソラにとって所詮手駒なんですね。踏み台ともいう。
クラーケさんの頑張っている姿を見たいから、そのために用意した手駒……という扱いになるんでしょうね。
親友に対して何やっているんだコイツは。でも、イソラはこういう奴です。
だって、イソラが唆した訳ではなくて、セラフィーナさんがセラフィーナさんの意思で奇襲を仕掛けてくれたので……本当に、丁度良かったんでしょうね。
イソラが植物兵器桜を連れて海の向こうへと出立しようとした時、クラーケさん(と、ドール達)は、イソラを引き留めるために戦いを挑みました。
でも、今度はそれが出来なかった……という状況です。
姉妹同士の協力に失敗し、敵による奇襲を許してしまった。
なので、「前は出来たことがどうして今は出来ないんですか?」という寂しさがあったんでしょうね。
イソラは多分、「成長を止めた者」「それどころか退化した者」「思考停止した者」「戦うことを諦めた者」に対して、かなり厳しいんだと思います。
よく考えたら、「成長を止めた者」って、アンデッドの特徴ですね。だから余計に嫌いなんでしょうね。
そういう意味では、クラーケさんがイソラの元に辿り着くことを諦めて、左手薬指のリボンを外して自殺してしまうのは……イソラにとっても、スン……となる事でもあります。
会話しない方が悪い、という話でもあるんですけどね。
でも、数々の戦争を経験してきた生前のイソラの恨みを引き継いだ今のイソラにとっては、「敵がまともに会話してくれるとでも?」と思っていそうです。
とはいえ、クラーケさんが自殺してしまった(死んでしまった)以上、イソラはクラーケさんへの未練を失う……というか、執着を無くすので。
寂しいことでもありつつ、お互いがお互いから解放された瞬間でもあるのかもしれません。
イソラが生き残っていたら、クラーケさんの遺体を弔って(これはイソラの自己満足)、後腐れなく海の向こうへ旅立てるので。
まあ、このルートに行く事はよっぽどの事がない限り、無いと思いますが……。
こういう別れ方をした後だったら、そもそも転生パロの方でも、イソラがクラーケさんと出会うことは無いかもしれません。
迷子になってたら助けるとか、それぐらいの親切はしますけど、恋愛や結婚はしないと思います。
逃げても追いかけて来ない相手って、張り合いがないですし。
クラーケさんがイソラに引いたように、イソラもクラーケさんに冷めたと思うので。
多分、出会わない方が幸せ。
逆に言えば、転生パロ(現代IF)でクラーケさんにまた恋をするイソラは、転生前でもずっとクラーケさんのこと好きだったイソラなんでしょうね。
--------------------------------------------
■上記みたいな最悪のケースを通して考察する、イソラがクラーケさんの好きなところ
イソラ(ネクロマンサーでありアンデッド)が、今のクラーケさん(ドールでありアンデッド)を好きなところ。
強いて言葉にするなら、「自分(ネクロマンサー)よりも強いところ」「自分(イソラ)に対して遠慮をしないところ」なんでしょうね。
我儘を言うし、振り回すし、たまに自分の話を聞かないし、我儘を貫き通すし、あれ欲しいこれ欲しい言うし、勝手に付いて来るし、付き纏うし、時間を使わされるし、思考も圧迫される。
自分(イソラ)の都合なんて考えない。
自分(イソラ)を恐れることもしない。
人によっては「他人を嫌う理由」にもなりそうなんですけど、イソラの場合は「他人を好きになる理由」になります。
生前のイソラもそうだったと思いますが、今のイソラも「他人から頼まれると嫌と言えない」タイプなので、何かとタスクを持って来るクラーケさん(読み聞かせしてほしい等)は、ちょっと面倒くさいなと思いつつ嫌いになれないんだと思います。
他人に頼られると嬉しいタイプ。
(これは少しクラーケさんと似ているかもしれません)
でも、頑固なところも似た者同士なので、「命はイソラに奪われたい」に対しては「嫌ですけど?」と答えます。
イソラはイソラで、譲れないものがあるので。
油断したら内部分裂の隙を狙って来るので、油断しないのがイソラの攻略ポイントかなと思います。
暇を与えたら多分、「そろそろドール達のコールドスリープ作戦を考えようかな」します。
--------------------------------------------
■イソラの攻略ポイント
・適度に休ませること。
イソラは基本的に「暇があればあるだけ仕事する」タイプなので、程々に仕事を遅延させるとよいでしょう。イソラをキレさせない程度にお茶や遊びに誘って、休ませるとよいです。人の心が全く無い訳でもないので、ドールからの気遣いや心配を感じたら、イソラは手を止めます。まあ、すぐに働き出しますが。
・暇を与えないこと。
今あるタスクを完了したら、イソラは「そろそろドールをコールドスリープさせるか」と考え始めます。なので、適度に「あれやりたい」「これが欲しい」と言って、タスクを増やしましょう。忙しくさせたら、コールドスリープについて考えることを遅らせることができます。
前述の「適度に休ませること」とコンボして行きましょう。
・たまには力ずくで分からせること。
時折、ドールの心配を振り切って、どこかに行ったり(一応海辺の街にはいます)作業に夢中になったり(これは多分普通に本人が楽しくてやっている)します。休みや遊びに誘っても躱されることがあるでしょう。そういう時は力ずくです。会話をしないと力ずくで黙らされると思い知ることで、イソラは自重します。ビンタ一発ぐらいで好感度は変わりません。やれ。
・クラーケさんからキスをしたり、スキンシップすること。
イソラがNow Loadingします。イソラに考える暇を与える→作業が捗る→タスクが完了する、という流れがあるので、イソラの思考領域を減らしましょう。パソコンのバックグラウンド処理が重くなると、全体の動作が重くなるのと同じです。「クラーケにキスされた?何故?」という疑問で、一週間は思い悩みます。恋は盲目です。ついでに何やかんやでクラーケさんのことが好きなイソラなので、思い出し照れをしたり、それによる混乱で多少バグります。
思考がまとまってきました。小説書いて来ます。
--------------------------------------------
2024/10/17