『アリアドネの声』 感動ネタバレ↓↓
物語構造の【サスペンス×ドラマ】の相性は良かった。【ドラマ×ミステリー】の相性も良かった。しかし【サスペンス×ミステリー】の食い合わせが微妙だった。
【要素:サスペンス】
全編、主人公視点で進み、ドローン操縦士として難易度の高い救助ミッションを遂行する迷宮内探索、一人称視点ゲームっぽくてワクワク楽しかった。いろんな障害が難易度を上げていって、メインの話の求心力になっていたと思う。
特にカメラの故障で見えない状況も、障がい者側の目線を疑似体験できてリンクしていたのも良かった。
【要素:ドラマ】
ドラマ部分も、まぁありがちではあるけど幼い頃に兄を亡くした経験から、諦めないアツさみたいなのも必然で。ちょっと暑苦しくはあったけど、まあ作中でもそういうキャラ付けだし”ザ・主人公”てキャラで読みやすくはある。
・口癖が何度も出てくる、・母親の電話に出るタイミング、はそれぞれ”テーマの主張”と”主人公の呪縛の解放”というドラマ的な役割あるもんね…と物語の制作者側の都合を少し感じた(笑)
【要素:ミステリー】
ここまで読んできたからこそ、中盤からのミステリー部分の”救助対象者は本当に障がい者なのか”問題、マジでどうでもよかった。
ミッションを遂行するのにどっちでも関係ないやろ。主人公に感情移入すればするほど、そこを葛藤するキャラでもないし「救助に集中しろよ」と違和感を持った。
読者としても、”難易度高いミッションを果たして無事にクリアすることができるのか?”というサスペンスを楽しんでいる最中に「その難易度、意味ないかもよ?」と言われても興を削がれる。
謎の部分に全く興味持てなかったんだよな…。
【要素:オチ】
オチは良かった。納得感もあり感動的だし、サスペンスの結末・ミステリーの答え・ドラマのテーマが綺麗に繋がってたと思う。
だからオチで「実はこうだったんですよ!!」て分かった時に「へえ、そうだったのね」程度だったのが残念。もっと謎に興味をそそられたかったしもっと驚きたかった。
ミステリー小説ではなくゲームシナリオとしてだったら感動もしたし驚きもあって面白くプレイできたかも。