CoC「壊胎」 ネタバレ感想・クリア者向け
CoC「壊胎」 ネタバレ感想・クリア者向け
運命の切札を掴み取れ!
●総括
全生還!!
KPに温情をお願いしていたとはいえ、ダイスとは非情なもの。
そして自分は鬼のファンブラー、KP時は地獄のクリティカラー。
果たしてダイスの荒れようはいかにと思われたが、今回ファンブルはSANチェック時に2回ほど出たものの、それ以外には出た記憶があまりない。スペシャルやクリティカルもそれなりに出た。
戦闘中は自分の出目の酷さ以上に敵の出目が良かったような気配もある。基本シークレットダイスだったのでよくわからないが。
どんどん死ぬ気がしてきて絶望の香りが漂っていたが、結果はNPC2名を救い、ラスボスを海に沈めた上で帰って来れた。
驚きと喜びの結末。
手が届くのに手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する。
だから手を伸ばして良かった。
●KPじおんさん
NPC三上さんの演技が本当にすごい。思わず引き込まれてしまった。
ダイスの失敗に対する温情などもありがたかった。
PLから見えている範囲だけでもKPへの負担は相当なものだったので、見えない部分でもヘヴィーな準備や処理が様々にあったと察する。
感謝してもしきれない。
●PLタイラー
特撮作品を殆ど一緒に見てる奴なので、同じタイミングで「クウガ!アギト!」などとワイワイ出来たのが良かった。
また、自分の見落としや勘違いを補完してもらえて色々と助けられた。メモを裏返すのとか、基本なのに自分は気付かなかったよ……。
●PL自分
メモをたくさんとっていて偉かった。
CoCのPL経験2?回目にしてはロールプレイをやれていた。
まだ死んでない人を死んだと判断するのが早すぎる傾向があることに気付いた。というか「こうだろう」と想像して決め付けた結果、情報の見落としをしやすい。思い込みが激しいと言える。
こうしたPL経験は間違いなくKPにも活かせるなと思った。
●シナリオ
濃密。あらゆる場所に必要な情報があり、ダイスロールの成功などによりそれを得ることができれば、敵の適切な対処法を推測出来るようになっている。
謎解きというより情報の獲得と整理が肝要。
描写は陰惨でグロテスクでホラー、そして熱い。
これぞクトゥルフであり特撮(アマゾンプライム独占配信や深夜帯の方向性)でもある。
特殊戦闘に加えてチェイスなどもあり、ユニークだった。
●リアル知識
ここ最近蛇を飼いたいと考えていて、蛇について色々調べていたのだが、シナリオ中に2回進研ゼミ予習現象が起きて驚いた。
・ポッドの中にいた緑の蛇達の描写を聞いた瞬間「アオダイショウだ」と思い、何気なく言ったところ当たっていた。非実在の蛇の可能性も高いと思っていたので逆に驚いた。
後から、イグが召喚されると付近に国産の蛇がポップするという話を聞かされて笑った。
国境とかで召喚したら何が出るんだろうとか、沖縄で召喚したらハブが出て探索者一発アウトだったんじゃとかを二次会で話した。
・蛇人間の存在を知った時、「蛇にはピット器官という熱を感じる器官があるので、熱でこちらを察知出来るかもですね。犬猫は二色だけで物を見ているんですが、蛇はどうだったかな」と発言し、その後本棚で「ピット器官」と「蛇の色覚特性」に関する情報を得て「やべ、先取りしちった」と思った。どんな知識がどこで役立つかわかったもんじゃないな。
・最近妊婦さんがリアルタイムでつわりに苦しんでいるのをSNSで見ていたのに、薄々三上さんの腹が膨れて子が爆誕してくる展開は予想してたのに、三上さんが吐いた時つわりじゃなくて実験へのトラウマだと決め付けていた。今思えばあれはつわりだよな?
●蛇人間、イグ
とにかくビジュアルが勝利していた。
イグは最早モンスターハンターのラスボスだった。見た目が強そうなので戦って勝てるビジョンが見えなかった。カッコよくて良かった。
丸呑みしてくるのでvoreヘキの人にオススメだなとかどうしようもないことを考えていた。
蛇山とか名前が安直で草。
●戦闘
敵が三体襲ってくるシーンでは、伴場がD-3に変身して戦ってくれた。
切札は消化器を使って応戦したりした。
なかなか敵が死ななかったので、まさかここで死ぬのはこちらか?と不安になったりもした。
銃を持っている蛇人間Aが好き。
ラストバトルでは切札がD-4に変身。
変身の瞬間が最高に楽しかった。
イグを倒すと最悪の事態になるというのが分かっていたので、そもそもダメージを与える意味があるのかという懸念があった。
見栄えする高火力技は成功率が低いだけでなく、失敗すると自爆ダメージが入るものが多く、仲間が救援を呼んでいる間の時間稼ぎという戦闘の意味合いを考えると使用するメリットがPL目線では皆無だった。
後から知ったことだが、高火力技で船に穴を開けることでチェイスをスキップしてエンディングフェーズに突入出来るらしいが、いやそんな……流れは思い付かんて。
結果として最も成功率の高いこぶしを振い続けた。イグに飲み込まれてもなお胃を殴り続けた。君が吐くまで殴るのをやめない!!
延々背負い投げする方が良かったのかもしれないと後で思ったが、いくらなんでも絵面がシュールすぎる。格ゲーの要ナーフハメ技だしコロコロコミックなんよ。
イグが「すなー!!」ってツッコんできてもおかしくない。
最終的にD-4の耐久力が0になり、吹き飛ばされてしまったが、転んだとてタダでは起きたくないわけで。
「D-2の近くにすっ飛んだことになりませんか!」とKPに交渉。
幸運ロールに成功したことで、そばにいた(ことになった)D-2を救うことができたので、結果オーライだった。
●チェイス
本陣最大の見せ場。
伴場と切札が交代でダイスロールをしたが、出目の良さにKPが感嘆。
「チェイスの出目がこんなに安定することがあるんだ、と驚いています」
これが……俺たちの運命力?
●ラッキーダイス
KPさんが事前に設定してくださっていたラッキーダイスなるおまけルール。
特定の値を出したら失敗でも成功になるというものなのだが、まさか出るとは思わなかった。
ヤバい場面での切札のダイスロールで、1/100のラッキーダイス目を引くという珍事が発生。
失敗が成功に捻じ曲がる!これが俺の運命力!?
●切札のロールプレイ
真面目でテンションが低い時のオモコロのアルファさんを脳内にインストールしてやっていた。
冷静というかどっか冷めたような雰囲気でやれたのではなかろうか?(ところどころテンションがおかしくなっていたのは仕様です)
以下のセリフはうろ覚え。
・自身の手の焼印を見て「銭湯に入れなくなる!営業にも影響が!」と生還した後の心配ばかりしている切札。
・「ここを出たら私達を攫った奴らと異星人とかいうのを両方訴えて賠償金を貰いませんか?証人が多い方が有利なので、一緒に訴えましょう。勝訴!勝訴!」と謎のやる気を見せる。成果や勝利にこだわる人間なので、絶望的な状況の中で余計にこうなってしまったのだろう。「異星人を人の法で裁けるんでしょうか……」と真っ当な懸念を呈する伴場。三上さんも困惑していたが、最終的には全員勝訴教に染まりつつあった。
・三上さんに赤い字で書いた「好きです」というメモを「これは僕の気持ちです」と言いながら見せたのはPLから見ても奇行だった。切札的には相手の動揺を誘える言葉なら何でも良かったらしい。
・「拷問は、犯罪ですよ」
・「名前で判断するのは、良くないですよ」
・「未練とかないんですか?」「切札さんこそ……」「僕がいなくても仕事は回ります。替えが効く人間なんです。それに、僕がここで終わったとしても、今後も人類が発展していくならいいんじゃないかと思ってます」
この時の会話好き。
お互いAかっこCだったので、いざという時にタブードライバーの取り合いになる可能性が若干あった。
タブードライバーハオレノモノダー!!パンツハワタサン‼︎
・不定の狂気で健忘症を引いた時、良いのを引いたと思った。全てを忘れたつもりで一から他人を使って状況確認していくことは、考えを整理するのに役立つ。長期アニメなどにある主要人物の記憶喪失回も、大体中盤で発生して、それまでの出来事を思い出すという形で視聴者におさらいをさせたり、新規視聴者の参入タイミングにしたりするんだ。
・イグに丸呑みされた切札が口から顔だけ出して何か言った後に「着ぐるみには慣れてるんで!」と言ってたの、そういう問題じゃなさすぎる。
・追ってくるイグに対して「お茶してろ!お茶してろ!!おー茶!!おー茶!!」と囃し立てる。
・70もある跳躍を失敗してくれるイグ。落ちていくイグに向かって切札が叫ぶ。
「裁判には来いよ!」無理である。
・ヘリコプターの中で、神話生物に対抗する組織に入るか、記憶を消して日常に帰るかの決断を迫られる2人。
先に答えた伴場は日常に帰っていくのかとPLは予想していたが、なんと組織への所属を決断。
その後の切札の答えは。
「……僕、大学の頃にヒーローショーのスーツアクターをやっていまして。そこで業界の闇を見たりだとか色々あって、業界に失望して辞めたんです。
今の会社に入ってからは、上司に言われて仕方なく月天カードマンなんてのをやっていますが、結局売上にしか希望が持てなくて。
ここに来て、そもそもどうしてヒーローに憧れていたんだっけと考えて。
人を助けたいから、ヒーローになりたかったんでした。
だから、僕は組織に入ります」
・囮に使えるかもしれないと思い、白衣に包んで持ち運んでいたアオダイショウ一匹は、結局最後まで使い所さんが無かったので持ち帰って飼うことになった。
名前はイイヘビ。ネーミングセンス皆無の切札。
・小沢さん相手にはかなり砕けた態度を取るようになっていた切札。ボコボコに負けてから「いやー本番じゃないからなー運命力がなー」と負け惜しみを言う。月天市場にいた頃は言い訳など誰にも溢さなかっただろうに、組織に入って色々変わったんだろうな。
・三上さんの出産報告を聞いてテンション高く「えっ名前は?男?女?」と食い付き、ダッシュで三上さんの病室に向かう切札。
「廊下は走るもんですよ!そういえばあの時もこうして走りましたよね!」
三上さんにドアを開けてもらった際にはしっかりと名乗っていく。
「私、月天い、あっちげえ、ファングの切札月人です」
(転職してしばらくは前の会社の名前ポロッと出てしまう現象)
タイラーに「ファングの切札って何かかっこいいな」と言われて確かにと思った。組織の切札になれるよう頑張れ。
・三上さんの子供を見て開口一番「お子さんのお名前は、“最強”ですか?」と異次元の質問をする切札。「僕は飼ってる蛇にイイヘビと名付けたので、悪い蛇にはならないと思います」と謎に言霊信仰を述べ始める。三上さんがその後お子さんにどんな名前を付けたかは神のみぞ知るが、“最強”ではないことを祈る。
・「三上さんのそんな顔が見れるなら、ヒーローも悪くはないですね」
三上の横で、窓の外、晴れた空を眺める切札。
ドーンとハッピーエンド!
●特撮オタクとして
・敵がグロンギ語のようなものを喋り出した時は大喜びだった。こちらがボソギデジャス!(殺してやる)と言った時にポカーンとされた時はええーッ!?となったが、どうやら法則が微妙にグロンギとは違ったらしい。そりゃ通じんわ。
・小沢瞳子さんの名前が出てきた時アギトの小沢さんを思い出して興奮した。実物に出会ったらマジで小沢さんのイメージに近い人でさらに興奮した。
・D-2、アギトのG-3ポジだよなぁ。好き。
・リボル剣、リボルケイン!
・D-4の肩が蛇の口になってるの良デザ。見た目でクウガアルティメットを思い出す。
・片方がタブードライバーで暴走した時はもう片方がワクチン銃で処分することが想定されているのだろう。そこで思い出されたのは、クウガの最終話前に、五代が一条に対して、自分がもし暴走したらベルトを撃って殺すことを頼むシーン。
いやぁ……ここをオマージュするとは通だよな……。
・ドライバーの音声が素材としてあるの何事!?ギーツよりも前に出ているシナリオなのにギーツのヴィジョンドライバーの変身音に似ているとかいう凄さ。カッコよくて、変身のシーンでは本当に興奮した。後でタブードライバーの音声も聴かせてもらったが、音声が何度も繰り返されてバグってる感じが良かった。ギーツのバッファがジャマトバックルで変身した時の音声みたいな感じ。これまたギーツを先取り?
●小ネタ
・最初のダイスロール練習で、伴場が組み付きを成功させていたのを見て「無を取得したんだ、RTAだったらこれでエンディングに突入だ」としょうもないことを言っていたのだが、セッション終了後に盤面上にガチの「無(空のスクリーンパネル?)」が発生して爆笑した。
あの時取得された無です。
・自「組織の催しで、恐竜の着ぐるみを着て走る切札」
タイラー「ヴァンがそれ見たら取り乱すからやめろ」
・タイラー「どうしてあそこにアオダイショウがいたんだろう」
自「どうしてアオダイショウなの!?どうしてアオダイショウなの!?それはねそれは?それはねそれは?ニョーーーニョーーー(うろ覚え亀ラップ)」
タイラー「やめろwww」
自「このまま謎が明かされなかったらエンディングでアオダイショウラップをしてしまう」
タイラー「産んだんじゃない?俺たちが……」
自「じゃあ無限に蛇売れるやん」
●後日談 切札編
切札の退職が決まったことで、月天カードマンCMシリーズは突然の打ち切りを迎えた。
月天カードマンが使命を終え、月へと帰っていく無駄に壮大で感動的なCMは話題に。
次回作の「月天カードウーマン」は果たして受け入れられるのか――。
若手人気女性アイドルを起用しているのだから、受け入れられないわけがないだろう。
やはり自分も替えの利く人材だったのだと思いつつ、ビルをあとにする切札。
そこに駆け寄る1人の子供がいた。
「おじさん、やめちゃうの?月天カードマン!CM楽しみにしてたのに!パパに月天カード作らせたりして応援してたのに!」
「……これまで応援ありがとう。月天市場は辞めるけど、ヒーローは辞めないよ。僕は本物のヒーローになるから。これからも応援よろしくね」
その後、切札は組織でトレーニングに明け暮れる日々を送っていた。
売上にもノルマにも縛られることはない。しかし守らなければならないものも、やり甲斐もある。
切札が以前よりも明るくなったことを、人の心理に聡い伴場は気付いているだろう。
三上の子にF.A.N.Gカードマン(組織関係の施設で使用できるポイントカードのキャラクター)姿を見せて泣き止ませたり、伴場や小沢と共にトレーニングに励む日々は、それまでとは比べ物にならないほど充実しているのだ。
アオダイショウのイイヘビも、切札のもとで特に謀反を起こす様子もなく呑気に暮らしている。
異星人の蛇人間はともかく、この星の蛇は我々の良き隣人なのだ。
自分を含めた全てに、いずれ終わりが来ることは分かっている。
それでも切札は明日に向かって走り出す。
運命の切札となるために。
戦え!元月天カードマン!現F.A.N.Gカードマン!
END
――
クトゥルフ神話TRPG「壊胎」
ライター:むつー様
KP:じおん様
PC/PL:
切札 月人/ラグナ
伴場 ヴァン/タイラー